1on1ミーティングでうまくいかない原因は?
せっかく1on1ミーティングを実施しても、メンバーが心を開かない、会話が続かないなどといった時間で終わっている事例があります。
ここでは、1on1ミーティングがうまくいかない原因についてご紹介します。
1on1ミーティング目的の共有不足
マネージャーとメンバーで何のために1on1ミーティングを実施するのか、相違がある場合があります。
貴重な業務時間を割き実施しても、1on1ミーティングをする目的が伝わっていないと、メンバーは意味のある時間だという認識を持てず、本音を引き出せません。
事前準備の不足
いざミーティングがはじまってもマネージャーは何を質問していいかわからないことがあります。
その場しのぎで、内容が薄い質問や回答の面談をしても信頼関係を構築することはできません。
まずは、日々メンバーに関心を持ち質問を考え、1on1ミーティングへの事前準備を必ず行いましょう。
マネージャーの意識や態度
メンバーは、マネージャーと面談するだけで緊張している場合があります。
マネージャーが高圧的・消極的・無気力な態度、さらに罵倒するような言葉遣いでは、メンバーはプレッシャーを感じ、信頼関係は構築できません。
またマネージャーが一方的に話して終わることもあまり良くないです。
マネージャーから評価のみをメンバーに伝える、またはマネージャーの話をひたすら話すだけではメンバーの成長へ結びつきません。
まずはメンバーと同じ目線で、否定せずに寄り添いながら話を進めます。
メンバーの本音を引き出すためには、マネージャーは最小限の質問でメンバーが主体的に話せるよう心掛けましょう。
マネージャーの1on1ミーティングのスキル不足
1on1ミーティングの成功には、マネージャーの面談スキルが重要な要素です。
メンバーの話に耳を傾けるといっても、ただ質問をすればいいわけではありません。
質問を交え、メンバーが話したくなる、または課題に対して自己解決につながるきっかけになるようなファシリテーションが必要です。
メンバー一人ひとりのキャリア・年齢・性格に合わせ、質問を選びます。
メンバーの感情や情景を思い出しながら話してもらうよう、都度工夫しましょう。
1on1ミーティングを成功させるには?
ここまでうまくいかない例をご紹介しましたが、1on1ミーティングを成功させるには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
1on1ミーティングを成功させるポイント3つをご紹介します。
信頼関係の構築が大切
メンバーに心を開いて本音を話してもらうには、信頼関係の構築が大切です。
信頼関係は、メンバーの成長に大きく影響を及ぼします。
そのため1on1ミーティングに限らず、日頃から社内コミュニケーションは会社全体でよくしていく必要があります。
マネージャーは、メンバーとのコミュニケーションを常に心掛けましょう。
メンバーが話しやすくなる雰囲気づくり
マネージャーと1対1で、面接のような形式ばったミーティングでは、メンバーの本音は引き出しにくい状況です。
そのため、すぐに業務の話をするのではなく、アイスブレイクから話しはじめましょう。
プライベートや時事などの話題を交えて、メンバーが気軽に話せる雰囲気を作ることがポイントです。
メンバーの話を傾聴する
1on1ミーティングは、メンバーが主役の時間です。
なるべくマネージャーが耳を傾け、気になる点はメモを取りながら、最後までしっかり聞きましょう。
メンバーの話を傾聴(コーチング)したうえで承認(フィードバック)、課題解決 / 提案(ティーチング)の3つのスキルでメンバーの業務のサポートをしましょう。
実施前に準備すべきこと
1on1ミーティングを実施する前に、話す内容や課題を事前に準備すると、メンバーの成長を促進する有効な時間になります。
また話に詰まったり、雑談で終わることも防げます。
準備することは、下記の4つです。
- 1on1ミーティングの目的を認識する
- メンバーの現状を把握する
- 前回のミーティング内容を確認する
- メンバーの課題や悩みを仮定する
1on1ミーティングの目的を認識する
1on1ミーティングのうまくいっていない例でご紹介したように、ミーティングの目的を理解することは重要です。
1on1ミーティングの目的は、次の3つがあげられます。
- メンバーが活き活き働くためのサポートをする
- 気持ちよく働けるよう、お互いの考えをすり合わせる
- 組織として成長し生産性を上げる
メンバーの現状を把握する
ミーティング実施前に、メンバーの直近の仕事の状況を把握します。
把握していないと、メンバーからの悩みや相談があった場合、的確にアドバイスを伝えることができないためです。
直近で成果を上げた内容、改善点、パフォーマンスが上がっていることなど具体的にメモなどしておくとおすすめします。
前回のミーティング内容を確認する
前回のミーティング内容を確認することで、メンバーの行動が改善されたか、成長の進歩などを把握できます。
前回の内容のポイントを頭に入れるだけでも、ミーティングの質が上がります。
メンバーの課題や悩みを仮定する
メンバーの現状と前回のミーティング内容を把握したうえで、今メンバーが何に悩んでいるのか、どのような課題を感じているか想像すると、メンバーへのアドバイスもスムーズに行えます。
上記以外にも、質問や話題を準備をすることで、メンバーの成長やモチベーションに必要な話も計画的に引き出せるでしょう。
また事前準備には、アジェンダの作成をおすすめします。
マネージャーは、アジェンダに沿った質問を用意し、メンバーの本音を引き出し課題解消に向け話し合います。
【目的別】1on1ミーティングで使える具体的な質問集
ここでは、メンバーを理解するため、目的別で質問をご紹介します。
明日から使えるため、ぜひ次回の1on1ミーティングで実践してみてください。
プライベート、人となりを理解する
相手のことをよく知ることで、信頼関係の構築が期待できます。
メンバーの回答に共感し、共通点があれば話を広げてアイスブレイクとしても活用してください。
プライベート、人となりを理解する質問
- 休日の過ごし方は?
- 最近、良かったことは?
- 趣味・ハマっていることは?
- 学生時代、熱中していたことは?
健康状態について
業務をするうえで、健康状態は重要事項です。
現状の業務がメンバーの健康に影響を与えていないか、慎重に確認します。
健康状態についての質問
- 最近、眠れているか?
- 週末は、休めているか?
- 業務量は適切か?
- 業務時間内に仕事を終えているか?
- 家に持ち帰って仕事をしていないか?
- 人間関係でストレスはないか?
- 周囲の人たちとコミュニケーションは取れているか?
- 健康上で、悩んでいることはないか?
業務について・モチベーションについて
得意なことを、前向きに取り組んでいることを聞き、モチベーションを把握します。
要望をできる限り受け入れ、さらにやる気を伸ばし組織の活性化にもつなげられるでしょう。
業務について・モチベーションについての質問
- 今の業務はどのように感じている?
- どんな時にやりがいを感じる?
- ストレスを感じることはどのような時?
- 現在の立場で思うことは?
- 自信があるところは?
- 仕事上でモチベーションが上がるときはどのような時?
- 仕事で楽しい時はどのような時?
- 最近、成功した業務、うまくできた業務は?
- 仕事において、何を大切にしてる?
- 今後、チャレンジしたい・興味がある業務は?
- 自分の強みは?
課題共有、改善について
メンバーのやる気を削いでる原因を知ることで、離職率低下にもつながります。
課題に対し一方的に解決策を伝えるのではなく、改善に向け話し合いましょう。
業務について・モチベーションについての質問
- 仕事上で困っていることは?
- 気になることや不安に思っていることは?
- 現状、感じている課題は?
- モチベーションが下がることはどんな時?
- 課題を改善、解決するために解決策は?
- 業務上でサポートしてほしいことは?
- 今の業務で過小評価されていると感じることは?
- 無駄な業務だと感じることは?
目標の進捗について
目標に向けての熱意や工夫してる点を共有し、フォローできることはないか確認します。
目標の進捗についての質問
- 今期の目標についてどのように取り組んでいる?
- 目標に向けてどのくらい達成できた?
- 目標においてどのような結果を出した?
- 結果が出た要因は?
- 結果が出なかった要因は?
- 目標に対してどのような達成感を感じた?
- チームの中でどのように貢献した?
チームに対する意見、課題について
チームワークにおいて、悩んでいることを確認します。
チームに対する意見、課題についての質問
- チームの良いところは?
- チームの改善点は?
- 最近、チーム内で気になることは?
- チーム全体で課題を感じていることは?
- チームについてマネージャーに要望は?
今後のキャリアについて
メンバーが目指しているビジョンを共有します。
意欲を引き出すように心がけてください。
今後のキャリアについての質問
- 今後は、どのようなキャリアを考えてる?
- 5年後どのようになりたい?
- 10年後どのようになりたい?
- 将来のキャリアのために、今何が必要?
- 今後、現状以上の責任のある業務は引き受けられる?
- 社内で目指したいポジションは?
- 社内で目指したい人(ロールモデル)は?
- 現在の職務で適正や能力は生かされている?
- 仕事の難易度や量は、今後どのようになっていきたい?
- 今後、チームでどのように貢献していきたい?
- 他部署で気になる業務は?
- これからどのようなスキルを伸ばしていきたい?
- チャレンジしたいことは?
悩みや相談、気になることについて
- その他、気になっていることは?
- 相談したいことは?
- 業務以外でマネージャーにお願いしたいことは?
上記の質問でも、メンバーが心を開かない場合は、マネージャー自身の身の上話をして共感を得るなど、先に自己開示すると有効です。
1on1ミーティングの基本的な流れと注意点
最後に1on1ミーティングの効果が出やすい基本的な流れをご紹介します。
アイスブレイク
初めから本題に入ると、両者固く話が弾まない可能性もあるため、まずアイスブレイクでメンバーが話しやすい雰囲気作りを心がけましょう。
「元気ですか?」「最近どうですか?」など、当たり障りのないことを聞き、メンバーに話してもらい口を馴らします。
注意点は、マネージャーが話したいことを一方的に話し、本題に入ることです。
それではアイスブレイクになりませんので、メンバー主体で話すことが重要です。
アジェンダの確認
事前に作成したアジェンダをもとに、メンバーの議題解消に向けて話し合い、先ほどご紹介した質問を使用してください。
また、マネージャーからフィードバックや伝えたいことを理解してもらいます。
ここでの注意点は、マネージャー側のアジェンダのみを解消しがちなので、先にメンバーのアジェンダの共有と解消をするとスムーズです。
アジェンダの解消
メンバーの議題に対して、マネージャーがよかったと思うことを伝えます。
具体的なフィードバックを伝えメンバーの理解を深めましょう。
メンバーの質問に対して質問で返すことは、内省支援や自分で考えることを促進することにはなりません。
気づきや、きっかけ作りを意識したフィードバックを心がけましょう。
ネクストアクション決め
次回の1on1ミーティングまで、どのような行動をするかや目標を設定し成長を促進します。
アジェンダの解消だけにとどまり、終わると1on1ミーティングの意味をなしません。
メンバーに考えてもらうか、マネージャーからアドバイスし次回のミーティングで報告してもらいましょう。
気づきがあれば行動は変わるので、具体的な行動を決めることが重要です。
1on1ミーティングを成功させるにはメンバーに合った質問を選ぶ
1on1ミーティングで使える質問と、成功するミーティング方法についてご紹介しました。
1on1ミーティングの目的共有をしっかり行ったうえで、メンバーの現状を把握し、事前準備をして臨むことが重要です。
さらにメンバーの能力を最大に発揮するには、メンバー1人ひとりの立場に合った質問を選び、メンバーの本音を引き出すことで信頼関係の構築へつながります。
メンバーが、「話してよかった」と思ってもらえるような質問を的確に使えるよう、1on1ミーティングのうまくいかない例と成功させるポイントを意識しながら、実施してください。