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組織の成果に関わる部下のマネジメント!ツボを押さえれば大きく改善

今まで経験したことのない業務に直面した際、誰もがどのように対応していくべきなのか悩むのではないでしょうか。

例えば、マネージャー職の経験が1度もない人が、はじめて部下(メンバー)を持ったときです。

どのように部下(メンバー)をマネジメントし、成果をあげていけばよいのかの方法論を最初から持ち合わせている人はいないでしょう。

マネージャーとして突然の抜てきをされた人や、マネージャーとして歩き始めた人、あらためて部下(メンバー)のマネジメント方法について知りたい人は、この記事を読んで、マネジメントのツボを心得ておくのがおすすめです。

部下のマネジメントに不可欠な4業務

“メンバー(部下)のマネジメント”とわずかひと言で表現されるものの中には、さまざまな項目があります。

大きく4つにわけて、基本的にマネージャーが取り組むべき順にしています。

メンバーを持った経験のない大半の人は、まず何から取り組んだらいいのかさえわかりません。

頭を抱えてしまう人もいるでしょう。

しかし、メンバーのマネジメントは、決して難しいものでもないのです。

(1)から(4)の順に進めていけば、結果はおのずとついてくるでしょう。

(1)適切な目標の設定

マネージャーは最初に目標、すなわち、ゴールを明確に示してあげましょう。

ビジネスは時間が勝負です。

最初にゴールを提示してあげた時点で、メンバーはゴールへの最短コースを本人なりに考えます。

時間が経過してから最短コースを考えたとしても、経過した時間は取り戻せないのです。

しかし、目標なら何でもいいというわけでもありません。

メンバー本人の能力より低い目標なら、成長を期待できないのは明らかでしょう。

逆に、能力に対して高すぎる目標も考えものです。

早い段階で、諦めてしまう可能性があるからです。

高すぎず低すぎず、頃合いの目標レベルにマネージャーは加減する必要があります。

その際にはメンバーの性格のみならず、すぐれているところやよくない面などにも合わせて着目してあげるのがいいでしょう。

メンバーからの納得が得られやすくなる上、メンバーのモチベーション維持にも有効です。

(2)部下の育成

メンバーが未経験の仕事にはじめて挑むようなときには、サポートが必要になる場合も少なくないでしょう。

適切な距離を保ちつつ、指導・育成するのが効果的で、成長も早くなります。

適切な距離と指導ポイントの把握には、ふだんのコミュニケーションがものをいいます

理解度・性格・個性などをしっかり把握できていれば、うっかりミスなどを未然に防ぐのが可能です。

仕事の進捗ペースも常に確認し、問題のないときにはふだんの努力に感謝のことばをかけるのがいいでしょう。

もし予定どおりに進んでいないようなら、サポートしてあげるのが適切な対処の方法です。

(3)部下のモチベーションアップ

メンバーのモチベーションアップもマネージャーの重要な仕事です。

まだまだ成長の過程にあるメンバーは、モチベーションの維持も容易ではありません。

先輩でもあるマネージャーなら、モチベーション維持のノウハウもしっかりと心得ているでしょう。

さらに、マネージャーの対処次第で、メンバーのモチベーションは大きく変化します。

メンバーから相談を受けたときには、気軽に応じてあげるのが理想的です。

自分で考えるよう突き放してしまうと、メンバーからの信頼は得られません。

また、信頼を得るためには、メンバーを信頼してあげるのも大切です。
信頼されているのを感じ取ったメンバーは、仕事に対して積極的に向き合いはじめます。

ただし、注意点がまったくないわけではありません。

メンバーの心が、なえてしまうほどの大きな負担は考えものです。

頃合いの大きさでないと、モチベーションアップどころか成長の妨げともなってしまいます。

従業員のモチベーションアップには、“ウェルビーイング経営”も有効です。

次の記事で、モチベーションアップについての理解を深めてみてはいかがでしょう。
ウェルビーイング経営とは?導入のメリットや成功させる方法を解説

(4)部下への適正な評価とフィードバック

メンバーを適正に評価し、フィードバックすることもマネージャーには必要です。

目標の達成がどのくらいできているのか、フィードバックがないとメンバーには客観的な判断が難しいからです。

フィードバックでは改善点の指摘のみにはとどめず、褒めることも欠かせません

小さなことでもいいのです。

1on1ミーティングは、フィードバックに絶好の機会となるでしょう。

日ごろのコミュニケーション円滑化にも役立ちます。

1on1ミーティングでツールを利用すれば、より効率的な管理が可能となるはずです。

メンバーが以前に話した内容の管理も容易にできるのです。

1on1ミーティングについては、次の記事が参考になるでしょう。
マネジメントにおける1on1ミーティングの役割・活用法を徹底解説

部下をうまくマネジメントできないマネージャーの共通点

共通点がわかれば、NGのマネージャー像が浮かび上がってくるでしょう。

メンバーをうまくマネジメントできているのは、以下の各項目とは対極の共通点を持つマネージャーです。

5つあげてみましたが、いずれも常識的にすぐわかるようなものばかりではないでしょうか。

すべてを戒めの見本とすればいいのです。

同じようなマネージャーとならないためには、原因を知り、すべてをなくしてしまうつもりでマネジメントに臨むのがいいでしょう。

コミュニケーションの大切さに対する認識の不足

日常の仕事ぶりのみでメンバーのすべてを把握できると考え、コミュニケーションの重要性をさほど感じてはいないマネージャーも1部にはいるようです。

しかし、これは誤りです。

コミュニケーションを積極的に取るようにしてはじめて、メンバーの見えなかった部分まで見えるようになってきます
各メンバーを正確に把握できてこそ、チーム全体を正しい方向に導けるのです。

以下の記事には、コミュニケーション活性化の具体的な方法が書いてあります。
社員のコミュニケーションを活性化させる方法は?具体例や注意点を解説

リーダーシップの欠如

メンバーをうまくマネジメントするには、リーダーシップを発揮しなければなりません。

目標の達成を目指して、チーム全体をけん引する能力がリーダーシップです。

能力とはいっても、生まれつき備わっているものでもありません。

また、高圧的にチームを引っ張ろうとしても、ついてくるメンバーはいないでしょう。

メンバーのお手本となれるよう、背中で引っ張ることをはっきりと意識すればいいのです。

次の記事では、理想的なリーダー像がどういったものか書かれています。
チームの生産性が向上しない原因とは?リーダーの役割5つを解説

マネジメント理論などの無理強い

確かにマネジメント理論は、多くの現場に適用が可能です。

マネジメント理論を体系的に学べる研修や書籍も、数多く売りに出されています。

しかし、チームは多彩なメンバーから構成されているのです。

メンバーの個性によっては、合わない場合もありえます。

たとえお金をかけて習得したマネジメント理論であったとしても、みずからのチームに押しつけるのはよくありません。

決していい結果は望めないでしょう。

もちろん、マネージメントについての勉強は大切です。

ただ、メンバーの意見に耳を貸さなくなる場合も出てくるため、無理強いになっていないか、常に確認するように心がけることが大切です。

部下の能力の把握が不十分

メンバーに割り振る仕事を考える上でも、能力の十分な把握は欠かせません

いくら努力してもメンバーの能力から考えて、達成が不可能な種類の仕事を割りふったとしましょう。

メンバーはやる気を失い、ともするとつぶれてしまう可能性すらあります。

仕事の量についても同様です。

メンバー本人の現状の能力から見て、110%くらい頑張れば達成できる仕事と量を割り振るのが妥当でしょう。

メンバーに過度な負担がかからず、成長もしてくれます。

能力を十分に把握できていれば、メンバーの仕事の進み具合が思わしくないときに、適切な判断ができるようになります。

例えば、依頼した仕事に対して知見のある別メンバーに、ヘルプを頼めるのです。

状況の分析が不十分

メンバーに適切な仕事を割り振るためには、マネージャーの分析力もなくてはならない要素の1つです。

すぐれた分析力を持つマネージャーなら、メンバーの課題をすぐに見つけられるでしょう。

メンバーの成長にとって優先するべきポイントも早期に発見し、割り振る仕事の中に組み込めるのです。

また、すぐれた分析力を持つマネージャーでも報告・連絡・相談の3つなくしては、的確な分析をすることは難しいのではないでしょうか。

密な報連相を実現するためにも、メンバーから話しかけやすい関係性を常日ごろつくっておくのも大切です。

まずマネージャー自身から、仕事の進み具合を尋ねるなど、積極的に話しかけてみるのがいいでしょう。

マネージャーに抵抗を感じることなく話しかけられるようになったメンバーからは、日ごろ直接は見られないチーム内情報の提供も期待できます。

チームの正確な分析もできるようになるのです。

メンバーの課題を分析し、正しい方向に導くのがマネージャーの大切な役割です。

部下の育成マネジメント方法

すでに確立されているメンバーの育成マネジメント手法4つを、まず紹介しています。

中には、ゲームの研究者が考案・提唱したユニークな理論も含まれています。

メンバーのマネジメント業務の中でも、こと育成については大きな関心をお持ちではないでしょうか。
メンバーの成長が、組織の生産性を大きく左右するからです。

高いレベルにまで成長したメンバーは自身で考え、動いてもくれます。

マネージャーの負担の軽減にもつながるのです。

(1)バートルテスト

イギリスのゲーム研究者が考案した、ゲーマーをタイプごとに分類する方法です。

テストの名称は、考案者リチャード・バートルの名前が由来です。

ゲーム?と思うかもしれません。

しかし、ゲームの要素を組織の構築やマーケティングに取り入れる“ゲーミフィケーション”が、ここのところ話題になっています
メンバーや顧客のモチベーション向上などに効果的な手法として、注目されるようになってきました。

バートルテストでは、ゲーマーの気質を次の4タイプに分類します。

アチーバー(達成者)

ゲームそのものへの興味が大きく、ステージのアップなどゲーム内の目標を独力で達成することが、モチベーション維持に強い関わりを持ちます。

目標を達成できるのなら、努力を地道に積み重ねたとしても苦になりません。

アチーバーと目されるメンバーには、能力よりやや困難な目標を設定してあげるのがいいでしょう。

さらに、達成の過程を評価・フィードバックするのが、育成上も有効です。

エクスプローラー(探検家)

ゲーム自体への興味が大きいのは、アチーバーと同様です。

ただ、オンライン上のゲーマーやゲーム内に登場する人物たちとの関わりを求める点で、アチーバーとは異なります。

ステージアップやゲーム内での課題の達成に対する興味は、大きくありません。

過去に経験のないものを見つけたり、新しい知識を得たりしたときに喜びを感じます。

地道な目標の達成には、飽きてしまう傾向があります。

新しい企画に挑んでもらうなどすれば、本人、さらには、組織にも高い効果を期待できるでしょう。

ソーシャライザー(社交家)

ゲームそのものへの興味は大きくありません。

そもそも、友だちなど他者とゲームで遊ぶのが、ソーシャライザーの目的です。

よって、他者との関わりや協力を求める点ではエクスプローラーと同じです。

ソーシャライザーに分類されるメンバーのモチベーションは、チーム内の人間関係から大きな影響を受けます。

配属先を考えるときには、もともといるメンバーとの性格的な相性などを考慮してあげるのがいいでしょう。

キラー(殺し屋)

ゲームなら、格闘ゲームを好むタイプです。

ゲーム内での課題のクリアより、自身が他者より優位に立っているのを確認できたときに、喜びや満足を感じます。

チームプレイよりも、個人プレイを好みます。

キラータイプのメンバーには成果主義など、評価を明確化する人事の制度が適していると考えていいでしょう。

資格の取得に挑戦してもらうなど、社外の人たちとの比較が明らかとなるようにするのも1つです。

(2)Will/Skillマトリックス

Will(やる気)とSkill(能力)の2つの項目で、メンバーを以下4つの属性に分ける方法です。

  1. やる気と能力、いずれの度合いも大きい
  2. 能力は高いものの、やる気の度合いは小さい
  3. やる気の度合いは大きいものの、能力は低い
  4. やる気と能力、いずれの度合いも小さい

1.の場合⇒委任
メンバー育成の目標とすべき人材で、仕事のほとんどを任せられます。

細かな指示は、モチベーションを下げる結果となります。

モチベーションが下がらないよう、業績は評価に反映し、積極的に褒めるようにもしましょう。

2.の場合⇒指示
高い能力を持っており、ベテランの従業員が多い属性でもあり、マネジメントの難しいタイプです。

やる気(モチベーション)の度合いを大きくするためには、昇給・昇進を考えてあげるのも1つではあります。

効果が見られないときには、1on1ミーティングで対策のヒントをつかめるでしょう。

1on1ミーティングでメンバーの自律性を高める方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

マネジメントにおける1on1ミーティングの役割・活用法を徹底解説

3.の場合⇒指導
新人に多いタイプです。

指導からはじめるのがいいでしょう。

ことばによる指導のみでは、仕事を完全に身につけられないときがほとんどです。

実際に仕事をしてもらうところまで、見届ける必要があります。

やる気はあるので、伸びしろは大きいです。

数をこなす機会を提供すれば、多くのものを吸収できます。

成長も早いのが通常です。

新人向けの研修カリキュラムを組むなどしてみてはいかがでしょうか。

4.の場合⇒命令
自主的な成長の期待は、困難と考えていいでしょう。

しかし、きちんと育成すれば成長の可能性も期待できます。

能力とやる気は、別個のものではありません。
むしろお互いの関係は深く、どちらか一方に成長が見られると他方も成長する場合が少なくないのです。

1on1ミーティングでやる気が出ない原因などをヒアリングすることが推奨されます。

(3)OJT

“On the Job Training”の頭文字を取って、命名されているトレーニング方法です。

現場に出向き、実際の仕事を体験してもらいながら育成していきます。

人間は慣れさえすれば、自然と仕事の手順などを覚えるものです。

ただ、育成を任せられるほど、時間的な余裕を持つほかのメンバーがいない場合については考えなければなりません。

中途でもメンバー(人材)を採用できるようにしておくためにも、日ごろから育成カリキュラムの整備は怠らないようにしましょう。

(4)Off-JT

研修や勉強会などでの講義により理論的な知識を伝えるのが、“Off-JT(Off the Job Training)”です。

新人に対して実施される場合のみを、指しているわけではありません。

スキルアップ研修などのように、キャリアに応じて実施されるOff-JTもあります。

職能別や階層別のOff-JTが、一般的な企業において実施されています。

人事部や人材の開発を担当する部署が、予算も内容も実施の時期も計画するのが通常です。

実施する会場や講師の手配をするのも、もちろんです。

(5)育成の計画を立案

(1)~(4)の育成フレームワークは、きちんとした計画を立てたうえで用いるのが効果的です。

いきなり現場に立ったときより、円滑に仕事をはじめられます。

中長期的な計画の立案前にマネージャーがまずするべきなのは、企業が求める人材の定義づけです。

的確に理想的な人材像を描ければ、自然といい計画もできあがってきます。

計画の立案時に、メンバーの仕事量や適性の考慮などをしなければならないのは、もちろんです。

マネージャーは各フレームワークの理論を、しっかりと頭に入れておくべきでしょう。

まとめ 部下のマネジメントは計画的に

メンバーをうまくマネジメントするのに大切なのは、計画性をともなったマネジメントの実施です。

その場の思いつきで実施される計画性をともなわないマネジメントでは、メンバーが理想的な形で動いてくれることは期待できないでしょう。

ぜひ本記事で紹介しているマネジメントのツボを参考に、組織の成果改善につなげていってください。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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