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テレワーク中の社員の監視は逆効果?その4つの理由も紹介

「社員がちゃんと働いているか気になる」

「テレワークになってから生産性が低下した気がする」

このような悩みから、監視システムなどを導入して、社員の一挙手一投足をマネジメントしようとしてしまっていませんか?

実は、監視システムなどによる社員への過度な干渉は、生産性を向上させるどころか逆効果になってしまう可能性があります。

この記事では、社員に対する監視が及ぼすネガティブな側面と、テレワークが一般的になって発生した課題への対応策を紹介します。

最後まで読んで、社員の監視ではなく、信頼関係を作り上げることでの生産性上昇を目指しましょう。

テレワーク社員への監視が増えてしまう理由とは

テレワークが普及した近年、需要が急増しているビジネスとして挙げられるのが社員の勤務状況をモニタリングするツールです。

例としては、パソコンのカメラを使って社員の勤務状況をチェックできるようにしたり、パソコンの画面スクリーンショットが定期的に記録されていくといったものです。

テレワークへの移行により、社員の生産性やエンゲージメントの低下を懸念し、対策としてこのようなツールの導入が進められています。

テレワークで発生した課題TOP5

1位:できる業務が限られている
2位:従業員同士の間でコミュニケーションが取りづらい
3位:紙の書類資料が電子化されていない
4位:テレワークできない従業員との間で不公平感がある
5位:労働時間の申告が適正かどうか確認が難しい

上記のランキングは、厚生労働省によって行われた『テレワークの労務管理等に関する実態調査』内のテレワークで発生したと感じられる課題TOP5の結果です。

1位と3位は、社員が出勤しないことで発生する業務効率に関する課題で、2位と4位は社員同士の関係性に関する課題でした。

その中で、5位としてランクインしたのが、労働時間の申告が適正かどうか確認が難しいといった課題です。

社員の勤務状況の把握が難しいテレワークでは、労働時間の申告が適正かどうかを証明するものは多くありません。

そういった状況で、可能な限りの勤務状況の明瞭さを出すためにも、勤務状態をモニタリングできるツールの導入が進んでいるのでしょう。

社員の勤怠状況への不安からの監視

テレワークの導入で社員の勤怠状況が不明瞭となってしまったため、社員がちゃんと働いているのかマネージャーや経営陣が不安になり、社員の監視を強化する企業もあるのではないでしょうか。

不安になる原因のほとんどは、社員とマネージャー間での信頼関係の構築が不十分であるということです。

また、社員を監視したくなる心理の背景には、「長い時間仕事をする人を高く評価しましょう」といった、成果よりもいかに長く働いたかを評価する価値観が根付いてしまっている場合もあります。

生産性低下への懸念からの監視

経済産業省が2021年に発表したコロナ禍の経済への影響に関する基礎データによりますと、「オフィス勤務に比べて、在宅勤務の方が生産性が低い」と回答した企業の割合が92.3%にも及びました。

テレワーク導入により生産性の低下を実感しているのであれば、会社が何かしらの対策を打つのはごく普通のことです。

しかし、モニタリングツールを導入して、社員の勤務状況を逐一チェックしていると、生産性向上には逆効果になってしまう可能性が高いです。

社員を常にモニタリングするということは、言い換えると、社員の勤務状況が信頼できないと会社側がメッセージを発信しているようなものです。

たとえそのメッセージが会社側の意図とは違ったとしても、社員側が受け取る印象はネガティブなものが多いでしょう。

社員の監視が逆効果である4つの理由

モニタリングツールなどの使用により、結果として社員の監視をしているような形になってしまうと、さまざまなネガティブな影響があります。

生産性向上のために、良かれと思ってしたはずの対策がなぜ逆効果になってしまうのか、4つの理由をもとに考察していきましょう。

監視は社員へのストレス

過度な社員の勤務状況のモニタリングが逆効果である大きな理由は、それが社員のストレスの原因になってしまうからです。

どういった形であれ、社員が監視を受けていると感じると、自分は働いている組織から信頼されていないのではないかという印象を受けてしまう場合があり、それはストレスへと繋がってしまいます。

また、たとえ信頼されていないという印象は受けなかったとしても、常に誰かに見られているような感覚を持ちながら仕事をするのは、あまり気持ちのいいものではないですよね。

監視によるストレスが蓄積されると、うつ病の発生率を高めてしまったり、社員が突然の離職に走ってしまう可能性が高まりますので注意が必要です。

監視は自律性につながらない

社員の業務を事細かにチェックできるようになると、結果よりも工程に目がいき、マネージャーが細かな所にまで指示を出しやすくなります。

一見すると、細かな指導が行えてミスも減りそうなので、よいことのように思えますが、大きな問題があります。

というのも、細かに指示を出された社員は、自分の頭で考える必要が減るので、やがては自律性の無い指示待ち社員へと変わってしまう可能性があるのです。

社員の自律性が育たないと、いつまでも細かく監視をし、指示を出していかなくてはならなくなり、マネージャーの負担は大きくなる一方です。

柔軟な働き方が必要とされる現代において、社員の自律性は欠かせませんので、業務の過度なモニタリングは避けるほうが無難です。

監視は信頼関係を損なう

前述の通り、社員が監視を受けていると感じると、信頼関係を壊してしまう可能性があります。

信頼関係が壊れると、社員の心理的安全性が損なわれ、100%のパフォーマンスが発揮できなくなったり、仕事に対する意欲の低迷や生産性の低下などの問題が発生します。

一度壊れた信頼関係を再構築するのは一筋縄ではいきませんので、もし勤務状況をモニタリングするなど社員が監視を受けていると感じる可能性がある施策を行う場合には、細心の注意と配慮が大切です。

行き過ぎた監視はプライバシーの侵害

社員への干渉は行き過ぎるとプライバシーの侵害になってしまいます。

会社に出社する場合だと家庭の状況やライフスタイルがさらされることはありません。

しかし、テレワーク中にパソコンのカメラによるモニタリングがおこなわれると、家の中が少し映ってしまったり、仕事とは関係の無い社員のプライベートな部分が会社にさらされてしまうかもしれません。

また、もしもパソコンが社員個人の私物だった場合は、インターネットの検索履歴などが会社に筒抜けになってしまう可能性もあります。

社員のプライバシー保護のためにも、もし勤務状況などをツールを使って把握する必要があるのであれば、セキュリティや権限設定などをよく検討したうえでツールの選定をしたほうがよいでしょう。

リモート社員の生産性をあげるための3つのおすすめ施策

前述したとおり、行き過ぎた監視をするマネジメントは、社員の生産性の向上においては逆効果になってしまう可能性があります。

そこで、社員の生産性向上に役立つおすすめの施策を3つ紹介します。

  1. 1on1ミーティングの実施
  2. コミュニケーションをふやす
  3. 就業規則の見直し

1on1ミーティングの実施

1on1ミーティングは社員の生産性向上に効果的です。

ここでは、テレワーク特有の課題の解決に1on1ミーティングがどのように役立つのか、いくつか紹介していきます。

1on1ミーティングの実施目的などをより詳しく知りたい人はこちらの記事をお読みください
https://revii.jp/article/revii-purpose

社員の自律性を促進

テレワークは時間の柔軟性が高いため、社員の自律性が重要です。

1on1ミーティングを定期的に実施すると、自律性に必要な習慣性や、ミーティングの中で社員自身が自分の発言に対する責任も生まれ、社員の自律性につながります。

信頼関係構築

1on1ミーティングにより、社員とマネージャー間でのコミュニケーションが増えると、信頼関係が構築されます。

定期的に実施される1on1ミーティングは社員の心理的安全性の確保につながります。

マネージャーによる適切なフィードバックや会話が繰り返される中で自然と信頼関係が構築されていくのです。

業務遂行率向上

定期的な1on1ミーティングの実施により、業務を細かくモニタリングしなくても、社員がどの様な課題と向き合っているのか、前回のミーティングからどの程度業務が進んでいるのか把握できます。

また、ミーティング中は社員からマネージャーに相談しやすい環境なので、適切なフィードバックができ、業務遂行率の向上が見込めます。

コミュニケーションの機会を増やす

テレワークでは、社員間のコミュニケーションの機会が減少してしまいがちです。

オンライン上で雑談できる時間を設けたり、シャッフルランチを行うなどコミュニケーションの機会を意識的に増やすのが有効的です。

社員間で適度なコミュニケーションがとれると、仕事の報連相の伝達がスムーズになり、業務の進捗確認にもつながります。

また、社員間がコミュニケーションをとる機会が増えることで、テレワークで失われがちな、社員同士の一体感を作りだすこもできるのです。

テレワークは社員が自由な反面、孤独にもなりやすいので、コミュニケーションの機会は積極的に増やしていきましょう。

就業規則の見直し

テレワークを導入するにあたって就業規則見直しをオススメします。

就業規則の中でもテレワークにおいては人事評価基準の見直しが特に重要だといえます。

これまで社員の評価基準は、「どれだけ長い時間働いたか」が重要な指標の一つになっている企業は少なくありませんでした。

しかし、今までと同じ評価基準では、テレワーク社員の働いた時間が不明瞭なため、公平な社員の評価は難しくなってしまいます。

したがって、成果による評価を重視し、決められた時間に効率よくタスクをこなす社員を称賛する方が柔軟な働き方が多い現代にはマッチしているといえるでしょう。

まとめ|監視ではなく、信頼関係を

柔軟な働き方が求められる現代において、テレワークに対応できる社員は必要不可欠です。

テレワークに慣れないうちは、生産性低下の可能性も考えられるでしょう。

だからといって社員の勤務状況を過度にモニタリングできる体制を作ってしまうのは逆効果になってしまう可能性があります。

過剰な干渉は社員にとって大きなストレスになってしまい、最悪の場合、社員の心身の健康を損ねてしまうことも考えられます。

テレワークで生産性を低下させないためには、上司は社員を監視するのではなく、1on1ミーティングなどをうまく活用して、社員の自律性や信頼関係を高めていくのが大切です。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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