マネジメントとは経営・組織を管理すること
マネジメントとは、評価・分析・選択・改善・回避・統合・計画・調整など、広範囲な意味を含んだ言葉です。
高校や大学の部活動で「マネージャー」というと、選手が試合や練習に集中できる環境を整えるためにサポート業務を行ったり、選手とコーチの橋渡し役になったりします。
一方、会社で必要となるマネジメントとは、経営管理・組織管理といった意味を持ちます。
会社でのマネジメントを最初に定義づけたのは、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカーであり、「組織に成果を上げさせるための機関や道具」が彼の会社マネジメントの定義です。
日本では、マネジメントを「部下を管理したりサポートしたりすること」と捉えがちですが、本当に管理すべきは“会社”や“チーム”なのです。
マネジメントの目的
マネジメントを行う目的は、設定した目標に向かって組織を運営したり発展させることです。
会社では複数の社員が働いており、会社の規模が大きくなるほど社員の数も増えます。
メンバーがマネジメントから与えられた仕事をただこなすだけでは、効率も落ちがちで組織の発展も望めません。
したがって、社員1人ひとりが仕事の意義を理解して適材適所に配置され、目標を達成できるようにサポートすることが大切です。
なお、マネジメントというと役職付の社員が行うイメージが強いですが、管理職だけがマネジメントを行うわけではありません。
セルフマネジメントなど自分で自分をマネジメントすることも必要です。
マネジメントを実践して責任を持つ人を“マネージャー”といいますが、マネージャーは必ずしも管理職とは限りません。
リーダーシップとマネジメントの違い
マネジメントと混同されがちな能力に“リーダーシップ”があります。
リーダーシップとは、社員を取りまとめて目標に向かって導いていく能力です。
会社の経営者やプロジェクトマネージャーがリーダーシップを十全に発揮すると、仕事がスムーズに進んでいくでしょう。
一方、マネジメントとは仕事に携わる社員の能力を把握し、適材適所に配置しつつ目標を達成できるようにサポートすることです。
リーダーシップを十全に発揮した経営者や管理職がマネジメント能力を兼ね備えていれば、それが理想です。
しかし、リーダーシップに比べるとマネジメントはときに社員1人ひとりに寄り添いサポートする能力も求められます。
したがって、リーダーシップの発揮を求められる管理職とは別に、マネジメントを行うマネージャーを任命したほうがうまく組織が運営できることもあるでしょう。
社員にマネジメントが必要な理由
2010年代はじめから、社員へのマネジメントの必要性や重要性が盛んにとなえられるようになりました。
ここでは、社員にマネジメントが必要な理由やその重要性を解説します。
限られた人材を有効活用するため
少子高齢化により、労働人口は減少の一途をたどっています。
大量の人材を採用し、人手が足りないところへその都度移動させるような働かせ方は、もうできません。
さらに終身雇用制度も事実上崩壊しており、優秀な人材ほど転職に抵抗がなくなっています。
「ここでは、自分の能力が十全に発揮できない」と感じたら、すぐに辞表を出すことでしょう。
また目の前の仕事をただこなしているだけの社員は、成長がのぞめません。
いつまでたってもマネージャーの指示を待つだけでは、重要な仕事が任せられず本人のモチベーションも低下してしまうでしょう。
限られた人材を有効活用してメンバーを成長させるためにマネジメントは必要です。
マネージャーからマネジメントをしてもらうことで、若手社員は成長し、やがてセルフマネジメントやメンバーにマネジメントを行えるようになります。
組織を継続的に発展させるため
グローバル化が進んだ現在は、ライバル会社は世界中にあります。
組織の成長はある程度までなら勢いだけでも可能です。
しかし、必ず頭打ちの時期がやってきます。
組織を継続的に発展させ続けるためには、社員1人ひとりが仕事の意義を理解し、より効率よく仕事を行い、新しい仕事を成長させる土壌を作っていくことが重要です。
そのためには、マネジメントが欠かせません。
マネジメントが適切に行われていれば、社員は常に「会社を成長させるためにはどうしたらいいのか」を念頭において仕事ができるようになるはずです。
また、問題点が見つかったらそれを放置せず「解決しなければ」と考えます。
社員に求められるマネジメントの種類
マネジメントは、多種多様です。
同じ会社の中でも複数のマネジメントが必要になることもあるでしょう。
ここでは、社員に求められるマネジメントの種類を解説します。
立場が異なれば、必要とされるマネジメントの種類も変わってきます。
経営陣に求められる:Top Management(トップマネジメント)
トップマネジメントとは、経営者に代表される組織トップに求められるマネジメントです。
会社が利益を上げ、組織として成長していくために経営計画を立案し、それを実行して成功に導くための事業戦略や経営戦略を錬ります。
また、リスクに対するマネジメントも重要なトップマネジメントです。
トップマネジメントで管理するのは、組織そのものといっていいでしょう。
組織がどこへどのように目指していくのか、方向性ややり方を決めていきます。
トップマネジメントを行う方は、リーダーシップも兼ね備えていることが理想です。
小さな会社ならばトップマネジメントを担う方が1人のみの場合もありますが、通常は経営陣が複数人で役割を分担し、社長がリーダーを務めます。
中間管理職に求められる:Middle Management(ミドルマネジメント)
ミドルマネジメントとは、課長や部長などいわゆる“中間管理職”に求められるマネジメント能力です。
中間管理職は、会社の経営陣の方針や戦略を係長やエリアマネージャーなどの下級管理職に伝え、具体的な指示をすることが求められます。
経営者たちが示す事業戦略や経営戦略は、ときとして抽象的であったりそのまま現場に落とし込めなかったりすることもあるでしょう。
そのときは、ミドルマネジメントとして経営陣が決定した経営戦略や事業戦略に具体性を与えたり、現在行っている仕事に組み込んだりすることが必要です。
また、組織が大きくなるとトップに現場の状況が見えにくくなったり、反対に下級管理職たちがトップの思惑を理解しにくくなったりします。
ですから、ミドルマネジメントの中には現場とトップの橋渡しも含まれます。
トップと現場、両方の意見を聞いて双方が納得できるように調整を行うこともミドルマネジメントの一環です。
高いコミュニケーション能力や業務遂行能力はもちろんのこと論理的思考能力も求められます。
その一方で、ミドルマネジメントを実践する方には強いストレスもかかりがちです。
したがって、ミドルマネジメントを行う者同士が綿密なコミュニケーションを取りながら業務を連携していったり、ストレスマネジメントを行うことが重要です。
このほか、経営陣はミドルマネジメントを任せる人選は慎重に行い、十分な学習の機会を与えて経験を積ませたうえで任せましょう。
現場のトップに求められる:lower management(ロウワーマネジメント)
ロウワーマネジメントとは、現場で実際に仕事を実践する社員を管理する立場に求められるマネジメント能力です。
係長やプロジェクトリーダーなど、現場の責任者がローアーマネジメントを担うことが多いでしょう。
ロウワーマネジメントは、経営陣が定め、中間管理職が具体的な仕事に落とし込んだ経営戦略や事業戦略を実践するために指揮を行ったり、人員を配置したりします。
ときには、現場の意見を上層部に伝えるために中間管理職と意見のすりあわせを行うこともあるでしょう。
末端の社員が「マネジメント」と聞いてイメージするのが、このロウワーマネジメントです。
ロウワーマネジメントは、束ねる社員の数が多くなったり高い成果が求められるときほど難しくなります。
また、社員がはじめてマネジメント業務を行うのも、ロウワーマネジメントのことが多いです。
したがって、中間管理職は誰にどの規模のロウワーマネジメントを任せるのか、人選が重要になるでしょう。
ミドルマネジメント同様、ロウワーマネジメントを担う方のストレスマネジメントや、メンバーをスムーズにマネジメントするための教育も重要です。
マネジメントの業務内容
組織やチームの成長や成功を目指し、管理を行うマネジメント。
そのようなマネジメントを行うために、マネージャーはどのような業務に取り組めばいいのでしょうか。
ここでは、マネジメントの業務内容について解説していきます。
組織の目標設定
マネジメントをするうえでまず大切なのは、組織の目標設定をすることです。
最初に「メンバーをどのように成長させるのか」「組織がどのような方向に向かうのか」を考えます。
目標が曖昧であれば組織やチームは順調に進んでいきません。
マネジメントをするならば、必ず目標設定を行いましょう。
目標設定の中で大切にしたいのは、現状を分析することです。
組織やチームの現状を把握してから目標設定をしなければ、実現が難しい目標となりメンバーのモチベーションが下がってしまうかもしれません。
場合によっては、マネージャーとメンバーの間に目標と現状のギャップがある可能性もあります。
組織の目標とメンバーの目標が一致し、一体感を持って進んでいくためにも、現状を把握してから目標を設定しましょう。
メンバーの成長を促進
現状を把握し、組織・チームの目標を設定すれば、目標達成のために行動しなければなりません。
ここで意識したいのは、「目標達成のために行動するのは、メンバーである」ということです。
設定する目標は、メンバーの力なしに達成することはできないでしょう。
組織・チームの成長、そして目標達成のために、メンバー1人ひとりの成長の促進は欠かせません。
メンバーの成長を促進するためには、
- 目標を共有する
- メンバーの能力を見出す
- メンバーをサポートする
上記の3つの事項を重要視しましょう。
メンバー1人ひとりが同じ目標に向かって能力を発揮すれば、目標達成に近づけます。
また、方向がズレた場合にサポートしたり、失敗した場合にはマネージャーがフォローしたりすれば、目標に一歩近づくでしょう。
メンバーを適切に評価する
メンバー育成のためには、適切な評価も大切です。
適切な評価とは、メンバー1人ひとりに定期的に業務内容についてフィードバックすることです。
適切な評価を行わなければ、メンバー自身が課題を把握できない可能性が高まります。
課題を把握し解決できなければ、組織の課題も解決できないため、定期的なフィードバックは非常に重要となります。
フィードバックの際には改善点を伝えるだけでなく、メンバー自ら成長できるように指導を行いましょう。
また、フィードバックによりメンバーのエンゲージメントの向上も期待できます。
マネージャーが自分のことを見てくれている・評価してくれていると感じれば、組織やマネージャーへの信頼感も高まり、エンゲージメントも向上するでしょう。
社員マネジメントで発生する課題
社員をマネジメントするうえで、どうしても課題が発生してしまいます。
では、どのような課題が出てくるのでしょうか。
人材を適切に配置できていない
人材を適切に配置できていないと、メンバー1人ひとりの能力が十分に発揮できず、マネジメントがうまくいかない場合があります。
「十人十色」という言葉があるように、メンバーには個性があります。
メンバーAはパソコンスキルが高く資料作りがうまくても、メンバーBはパソコンスキルが低いかもしれません。
またメンバーAはコミュニケーション能力が低くても、メンバーBは営業に活用できるコミュニケーション能力があるかもしれません。
メンバーAを営業、メンバーBを事務に配置すれば成果は出にくいでしょう。
つまり、メンバー1人ひとりの特徴とスキルを見極めて、配置する必要があるのです。
メンバーに仕事を任せていない
マネージャーはメンバーより経験が多いため、「私がした方が早い」「私がやればいい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、それではメンバーの成長は見込めません。
メンバーの成長は組織の成長に欠かせないため、仕事を任せていないことも課題となるでしょう。
もちろん、新入社員と比較してマネージャーの方がスキルは高いかもしれません。
とはいえ、長期的な目線で見れば、新入社員のスキルを高める方が組織の成長につながることもあります。
普段からメンバーに仕事を任せれば、徐々にスキルを高め、大きな仕事でも対応できるようになります。
メンバーに仕事を任せることをデメリットに感じていても、長期的な組織の成長のためにも普段から仕事を任せるようにしましょう。
メンバーの生産性が向上しない
目標に向かってマネジメントをしていても、メンバーの生産性が向上しない場合があります。
その理由は、
- 目標が浸透していない
- 課題・悩みを抱えている
の2つがあると考えられます。
まず1つ目に、目標が浸透しておらずメンバーが“言われるがまま”に仕事をしていれば、メンバーのエンゲージメントが下がり、生産性も低下してしまうでしょう。
また、メンバーが目標に向かって業務に取り組んでいたとしても、課題・悩みを抱えていれば生産性を低下させてしまいます。
この2つを解決するために重要なのは、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングが重要な理由は、日常的に行う指示・指導だけでなく、メンバー1人ひとりの考えを聞き考えさせる“コーチング”というコミュニケーションを取らなければならないからです。
1on1ミーティングを定期的に行い、目標共有や課題解決を重ねれば考える力・行動する力が身につきます。
結果的に組織の生産性もアップするでしょう。
1on1ミーティングについては、以下の記事を参考にしてみてください。
『1on1ミーティングとコーチングの違いとは?それぞれの特徴を徹底解説』
社員のマネジメントをスムーズに行う5ポイント
“マネジメント”でインターネットの検索を行うと、「うまくいかない」「失敗」「失敗の原因」など、マイナスな言葉も同時にヒットします。
これは、社員のマネジメントがそれだけ難しく、マネジメントのやり方に悩んでいる方が多い証拠です。
ここでは、社員のマネジメントをどうすればスムーズに行なえるのか、ロウワーマネジメントを例に取り、ポイントを5つにまとめて紹介します。
マネージャー初心者やマネジメントを難しく感じる方は、参考にしてみてください。
ポイントその1.仕事の意義を社員に感じてもらう
仕事のモチベーションを保つには、目的や意義を感じることが大切です。
今やっている仕事が会社にとってどのような意味を持ち、何のために行っているかわからなければ、やる気も湧いてきません。
ですから、小さな仕事であってもそれが会社の経営にとってどのような意味を持ち、何のために行うのか、情報を共有することが重要です。
特に、仕事をはじめてまもない社員ほど仕事の全貌が把握しにくいので、仕事に取り組む前にプロジェクトの意義や役割をしっかりと説明しましょう。
そうすれば、実際に仕事に取り組む社員もやる気が持続しやすいです。
このほか、仕事を達成することで自分がどのように成長できるのかが明確になれば、モチベーションもアップします。
そのため、仕事に取り組む前に社員自身の目標を定める方法もあります。
ポイントその2.業務の優先順位を明確にする
取り組むプロジェクトによっては、一度に多くの仕事が社員に与えられることもあるでしょう。
経験の浅い社員ほど、自分で仕事の優先順位がつけられません。
目の前の仕事をこなすのに手一杯になることもあるでしょう。
そこで、マネジメントで仕事の優先順位を明確にしてあげることが大切です。
仕事には大きく分けて以下のような種類があります。
- 早急に取り組みが求められるもの
- 今は様子見でかまわないが、動きがあったらすぐに取り組みが求められるもの
- 不具合が起こっているので改善が必要なもの
- 終了間近なので後始末をするもの
- 早急に終了が求められるもの
マネージャーは、仕事の優先順位と割り振り先を決めます。
いつも仕事が締め切りギリギリで精度も低い場合は、仕事に取り組む優先順位が間違っていないか、もう一度確認してみましょう。
また経験がある社員には早急に対応が必要な仕事を、新人社員には締め切りに余裕がある仕事を任せると、双方落ち着いて仕事に取り組め、余裕も生まれてくるでしょう。
ポイントその3.ある程度仕事を任せる
管理職が必ずしもマネジメント業務を行うとは限りませんが、多くの会社ではマネジメント業務は管理職の仕事の一環となっています。
管理職まで出世した人の中には、自分の仕事スタイルを確立している人も多いことでしょう。
自分の仕事スタイルでメンバーが仕事をしてくれれば、管理する方も楽です。
そのため、仕事のやり方からスケジュール管理までメンバーを厳しく縛るマネージャーもいます。
メンバーの仕事スタイルと自分の仕事スタイルが合っていれば問題ありません。
しかし、適した仕事のスタイルは社員の数だけあるはずです。
どうしても無理をしてしまうこともあるでしょう。
その結果、強いストレスを感じてモチベーションや効率が下がることもあります。
マネジメントを担う側から見れば、「よい仕事のやり方をレクチャーしてサポートまでしているのに、なぜ応えられないのか」とイライラするかもしれません。
しかし、締め付けを厳しくするのは逆効果です。
仕事を割り振ったらある程度はやり方を任せましょう。
「失敗したら自分が責任を取る」くらいの心構えでまかせたほうがうまくいきます。
そのためには、失敗しても挽回できるような余裕を持ったスケジュールを組むことも重要です。
ポイントその4.社員同士のコミュニケーションを高める
会社における仕事の大部分がチームで行うものです。
したがって、コミュニケーション能力を高めることが重要になります。
コミュニケーションの取り方はいろいろなものがありますが、大切なのは仕事に関する話題を自由に言える環境作りです。
例えば、仕事でささいなミスをしても厳しく叱責されることが当り前だったり、意見を許さない空気があったりすると、仕事に関するコミュニケーションは何もできません。
安心して困ったことや悩んでいることを相談できる雰囲気を作ることが、マネジメントでは重要です。
また、雑談と仕事のコミュニケーションは違います。
休憩時間に雑談で盛り上がれても、仕事の話しが十分にできなければコミュニケーションの意味がありません。
このほか、必要とあらば他人の目を気にすることなく、マネージャーと話せる環境を作りましょう。
そのとき、どのような話題であれ、守秘義務は厳守しましょう。
相談した話題がどのような形でも外に漏れるようなことがあってはいけません。
ポイントその5.PDCAをサイクル化する
PDCAサイクルとは以下の4つの業務の頭文字を取ったものです。
- Plan:計画
- Do:実行
- Check:評価
- Action:改善
長年続けていたルーティン業務でない限り、最初から完璧な計画を建てて業務を実行できることはありません。
必ず失敗するところがあり、修正が必要です。
「失敗は許さない」「最初から完璧であれ」と管理すると、マネジメントを受けている方は思い切ったことができません。
その結果、仕事がこぢんまりとまとまって成長ものぞめません。
マネージャーは、「失敗してもカバーしてもらえる」という安心を提供することが重要です。
そのため、自分が仕事の大部分をしてしまうのではなく、チェッカーやアドバイザーに徹して、メンバーが再挑戦できる環境を整えてあげましょう。
マネージャーが必要なスキル
社員マネジメントをするうえで、マネージャーはいくつかのスキルを身につける必要があります。
すぐにスキルを身につけるのは難しいため、マネジメント研修などを通して能力をアップしましょう。
目標設定・管理能力
マネジメントのうえで重要な目標設定は、簡単なものではありません。
現状や課題を把握し、解決するため・目標達成のためにどのような目標をたてるかを決める必要があります。
適切な目標を設定するため、現状を把握できる力や広い視野を持つように心がけましょう。
また、目標設定後は進捗管理をします。
目標達成までのプロセスを放棄するのではなく、「メンバーはどのような仕事をしているのか」「目標にどの程度近づいているか」などの進捗を管理しなければなりません。
進捗管理には、状況に合わせた臨機応変な対応や細やかな管理ができる能力が必要です。
さらに注意したいのが、マネージャー自身の業務遂行力です。
マネジメントにはメンバーとの信頼関係が大切なため、プロジェクトに問題があったときに対応できなかったり、サポートできなかったりすれば信頼を失ってしまいます。
マネージャーはスキルや知識を身につけたうえで、目標設定・管理を行いましょう。
コミュニケーション能力
「ティーチング」「コーチング」「フィードバック」といったコミュニケーション能力は、マネジメントに非常に重要なスキルです。
メンバーがマネージャーを信頼し、報連相できる環境を作ったり、相談しやすい環境があったりすることが大切です。
もしこのような環境がなければ、いざというときに頼れず、ミスが起こってしまうかもしれません。
場合によっては大きなミスが生まれ、組織的にダメージを負ってしまう可能性もあります。
また、定期的にコミュニケーションをとらなければ、メンバーが精神的にダメージを負うこともあるでしょう。
メンバーの些細な変化を見逃さないよう、スキルを高めておきましょう。
人材育成能力
人材育成能力とは、
- メンバーの個性を見極める
- メンバーのスキルを高める
- メンバーをサポートする
というスキルのことです。
まずはメンバーの成長のために、1人ひとりの個性を見極め、最適な配置をしなければなりません。
もちろん、配置時にはメンバーとの会話も欠かせません。
配置後は、メンバーのスキルを高めるために、「どのような研修を行うか」「どのような仕事を任せるか」を検討します。
そして、メンバーがさらに成長できるよう、指導・サポートしていきます。
1人ひとりの状況の管理は簡単ではありませんが、社員マネジメントには非常に重要な要素です。
社員マネジメントをする際の注意点
組織の目標達成のために行う社員マネジメントですが、前述した5つのポイントを取り入れても以下の点に注意しなければうまくいかないこともあります。
この章では、2つの注意点を解説します。
権力に任せたマネジメントをしない
メンバーより上の役職を持つマネージャーの中には、メンバーを支配して恐怖感を持たせて操る方もいます。
また、マネージャー自身のアイデアがすべて正しいと思い込んで指導する方もいます。
しかし、メンバーを支配したり監視しすぎたりすれば、モチベーションやエンゲージメントの低下につながり、離職者が増えるかもしれません。
誰しも自分の考えやプライドを持つものですが、それらにこだわりすぎると組織・チームにいい影響を及ぼしません。
そのため、権力に任せたマネジメントをしないことが重要なのです。
社員のフィードバックに耳を傾ける
マネージャーに多い特徴として、「一方的なコミュニケーションをとる」ことがあげられます。
“指示・指導するのみ”であれば、組織目標への達成は難しいです。
メンバーのフィードバックに耳を傾け、それに基づいて行動すればメンバーとの信頼関係を築けます。
信頼関係ができれば、メンバーが課題や不安を抱えてもすぐに相談でき、リスクを回避できるでしょう。
まとめ|社員のマネジメントは組織を成長させるために不可欠
マネジメントは社員やメンバーを単純に管理するためだけではなく、社員の能力を引き出し、組織を成長させるために必要な業務です。
管理職がマネジメント業務を行うことが多いですが、会社の規模や仕事によっては管理職以外がマネジメントを行うマネージャーを担うこともあるでしょう。
また、ミドルマネジメントやロウワーマネジメントなど、立場によって求められるマネジメント能力は異なります。
マネージャーに就いたら、自分が求められているものは何かをまず把握しましょう。
また、こちらの資料では、弊社ならではの1on1ミーティングのノウハウを紹介しています。
無料でダウンロードできますので、1on1ミーティングに臨む前にぜひ一度ご覧になってみてください。