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セルフリフレクションとは?人材育成に効果的な4つのやり方とポイント

セルフリフレクションは、さまざまな経験を通して社員が自己成長を促す振り返りの手法です。

仕事の経験を成長につなげる振り返りは、日報や日誌などで導入している企業も少なくありません。

このように企業の人材育成にとっても注目されているセルフリフレクションですが、どのような方法があるのでしょうか。

本記事では、セルフリフレクションのメリットと、具体的な手法・そのポイントをご紹介します。

セルフリフレクションとは?

リフレクションとは日本語訳で反射や反映・内省の意味があり、ビジネスシーンでは、業務から一時的に離れ、自分の行動や考え方を振り返り見直すことです。

仕事を遂行するうえで、自分の業務に責任感を持ち効率化や改善点を見つけるために、リフレクションは重要とされています。

セルフリフレクションは、自分で内省をするという意味です。

具体的には日々の業務の進め方や考え方、よくなかった点や成功したことを感情を入れず振り返り、今後同じようなシーンがあった際にどのような対応をするか未来志向で考えます。

企業においてセルフリフレクションは、社員の自主性の促進や組織の生産性の向上を目的としています。

人材育成の分野でも注目されており、企業の発展に欠かせない取り組みです。

内省と反省の違い

内省と近い言葉で、反省があります。
リフレクションは振り返りる意味を持つため、同じと考えられることも少なくありません。

しかし、リフレクションと反省の違いは下記の通りです。

  • リフレクション(内省):自分の行動を客観的に振り返理、よかった点・悪かった点を見つめ直す
  • 反省:自分の行動や言葉などを振り返り、同じ過ちを繰り返さないよう自責の感情で悪い点のみ改善する

リフレクションは、フラットな感情と客観的な視点で、自分の行動を振り返る特徴があります。

フィードバックとの違い

振り返りの点が共通の言葉で、フィードバックがあります。

自分で自分の行動を振り返るリフレクションと比べ、フィードバックは、他者から自分の行動を評価されます。

例えば直属のマネージャーから成果や業務内容の評価を受ける際は、フィードバックです。

セルフリフレクションのメリット

セルフリフレクションは、企業全体の効率化が期待できます。

社員1人ひとりが自己を見つめ振り返る習慣が付くと、行動後の自己評価が高くなる傾向となるでしょう。

次に、セルフリフレクションのメリットを社員個人と企業で分けてご紹介します。

社員個人が得られるメリット

セルフリフレクションは、社員の成長へ直接つながります。

指示待ちばかりの仕事では、自分の考えで行動できずスキルの向上や仕事の改善は行えません。

また、仕事を淡々とこなすのみでもモチベーション維持が難しいです。

しかし、セルフリフレクションを行うと社員は自分の仕事ぶりを振り返り見直し、仕事の改善点や、効率化を考えるようになります。

このように、自身で仕事の正当な評価を行い、モチベーションをあげることで社員の成長へつながります。

企業でセルフリフレクションを採用するメリット

次に、社員へセルフリフレクションを導入すると、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。

企業の業務効率化・生産性の向上

セルフリフレクションを採用すると、企業の業務の効率が効率化と生産性の向上が期待できます。

なぜならセルフリフレクションにより、社員が仕事を振り返りと改善を行うと、1人ひとりの自律性が高まり、業務の効率化につながるからです

社員の業務改善によりスキルアップや能力向上ができ、チーム全体の成長にもつながり、企業全体の生産性も向上します。

このように人材育成の観点で、企業が率先して社員のセルフリフレクションを支援する取り組みは、大きな意義があるのです。

リーダーに適した人材育成

セルフリフレクションを取り入れると、リーダーに適した人材育成が可能です。

リフレクションは、他者からの評価や指摘で自分の間違いを改善するのではなく、自分の言動を客観的に振り返ります。

それにより、ほかのメンバーやチームも客観的に見る習慣ができ、適切な指示や必要な改善点を自発的に発見できます。

そのため、自分だけでなくチームの改善に努めるリーダーとなるでしょう。

セルフリフレクション4ステップのプロセス

企業にとって、セルフリフレクションを取り入れることは企業の成長に重要です。

ここでは、具体的にセルフリフレクションを行う4つのステップをご紹介します。

デービッド・コルブの経験学習モデル

デービッド・コルブ氏が提唱した経験学習モデルは、経験と、振り返るプロセスを重要視した学習モデルです。

  1. 経験:具体的なできごとを体験する
  2. 省察:体験の内容を振り返る
  3. 概念化:自己を振り返る
  4. 試行:改善後に新しい行動を試す

経験:具体的なできことを体験する

まず、自分が経験した事実を思い出します。

経験学習モデルにおいて成長できる経験は、今の能力レベルを少し上回るレベルとされています。

そのためMBOなどの目標設定は、少し努力や工夫が必要なチャレンジ性のあるレベルが適切です。

省察:体験の内容を振り返る

次に、思い出した事実を振り返ります。

省察的観察ともよばれ、自分が経験したできごとに対し、その場から離れて振り返り意味づけを行います。

ステップ1で具体的な経験をステップ2で振り返ることで、学習が促されるでしょう。

概念化:自己を振り返る

具体的な経験の省察的観察を経て次に、なぜそうなったのか、どうすればよいかなどの考えを整理する抽象的な概念化を行います。

概念化の流れ
  • 自分の行動全体を振り返る
  • 適切だった部分を振り返る
  • 改善すべき部分を振り返る

理想とする行動に対し、実際はどのように違ったのかなどを客観的に振り返ります。

また自分でコントロールできる部分と、できない部分の2つのカテゴリに分けて考えることも必要でしょう。

このように概念化は、行動を振り返り次の経験に生かすステップです。

振り返る度に改善を行い抽象的概念化を経た学びは、個人の持論やルールとして定着します。

そのため、次回からの仕事をスムーズに進めるスキルや態度が改善・形成されていくでしょう。

試行:改善後に新しい行動を試す

ステップ3で改善し学びを得たうえで、新しい試みにチャレンジします。

新しい行動により経験がまた次のプロセスの具体的な経験になり、経験学習モデルを繰り返し行うことで、改善しつづけるサイクルが生まれるでしょう。

通常、過去を振り返る際はステップ1とステップ2を主に行います。

しかし、ステップ3により新たな気づきが発見できる場合が多く、その後ステップ4で気づきや改善後の新しい行動に移す流れです。

効果的なセルフリフレクションの3つのポイント

次に、効果的なセルフリフレクションを行う際のポイント3つをご紹介します。

状況と感情を切り分ける

セルフリフレクションは、ありのままの事実を客観的に捉えます。

そのため起こったことと事実に対する感情を、切り分けて考えることがポイントです。

例えば、できごとに対し負の感情がある場合は、結果の原因を他者にしたくなるかもしれません。

しかし、事実をありのまま捉えることに意味があるため、できごとに対し淡々と事実ベースで振り返りを行いましょう。

習慣化する

大きな問題や失敗を目の前にすると意識しなくても、多くの人は自然とセルフリフレクションを行う習慣はあるでしょう。

しかし、効果的なセルフリフレクションを行うには、できごとに関わらず日頃から自身を振り返る習慣を持つことがポイントです。

できれば、毎日業務の終わりにセルフリフレクションの時間を確保しましょう。

今日のどのような行動がよかったのか悪かったのか、明日はどのようにするべきかを自然と考える習慣を身につけると、効果が早く現れます。

課題を見つける

セルフリフレクションは、自己成長が目的です。

単に、過去を振り返るのではなく、しっかりと自分の行動と心理を振り返り今後どのように行動するべきか未来志向で課題を見つけましょう。

例えば、自分の感情をコントロールできず冷静に欠ける行動を行った場合、次はどのようなことを意識し、周りにどのように配慮したらよいのかなどを考えます。

また自身のスキル不足が原因の場合、どのような能力開発を行えばよいかを発見します。

社員自身のみでは、難しいときはマネージャーなど周りの人のフォローも必要です。

リフレクションのフレームワーク

次に、社内で行えるリフレクションのフレームワークを4つご紹介します。

KDA

KDAとは、下記の意味と流れを指します。

  1. Keep:今後も継続する
  2. Discard: 今後は切り捨てる
  3. Add:今後新しくはじめる

まず、振り返るべき行動や事実を項目別にあげ、KDAの流れで振り返ります。

KDAはシンプルですぐに取り組みやすく、勤務中に時間を見つけ振り返りが行えます。

そのため、急成長している企業で積極的に採用されているフレームワークです。

KPT法

KPT法の意味は下記の通りです。

  1. Keep(継続):継続して行いたいことをあげる
  2. Problem(問題):業務上の課題や問題点をあげる
  3. Try(改善に挑戦):1と2の内容から、課題の解決策や新たな施策を行う

3の施策を考え実践したら、振り返りを行い1からまた実施しサイクルを続け、業務の改善を常に行い生産性や効率の向上に務める方法です。

YWT経

YWT経とは、下記の3つを振り返る方法です。

  • Y:やったこと
  • W:わかったこと
  • T:次にやること

自分の経験について振り返りを行い、その経験から何を次につなげられるかを考えます。

YWTを繰り返すと、経験がスキルアップにつながります。

リフレクション・ミーティング

KDAなどのセルフリフレクションは個人で行うものですが、チームでリフレクションの共有も効果的です。

リフレクション・ミーティングは、チームやグループで内で抱えるリフレクションの意見をあげ、状況の把握を行います。

同じ企業で働くメンバーとして状況の課題や問題点をシェアし、共感的な意識が高まり新たな発見と改善点がみつかるでしょう。

またチームの課題から個人の課題が見つかる場合があるため、セルフリフレクションと並行して行うとより効果的です。

セルフリフレクションの注意点

セルフリフレクションを実施にあたり、正しい振り返りを行わないと効果が減少してしまいます。
ここでは、リフレクションの注意点をご紹介します。

プロセスも重視する

セルフリフレクションを実施する際は、結果のみにフォーカスするのではなく、できごとの流れを分解し、プロセスごとに振り返りを行います。

できごとの分解は、再び同じような状況が起きたときに、適切に対処するためです。

流れを項目別やポイントごとに分解すると、正確に振り返えられます。

悪かった点のみに注目する反省をしないようにする

目標にどのように足りていなかったかを、できること・できなかったことに分けて振り返ります。

足りなかった部分や、悪かった点の原因のみを振り返らないように注意が必要です。

特に、誰が原因なのかなどの他責思考は、セルフリフレクションの意味をなしません。

反省と似ているため、間違える恐れが多いので注意しましょう。

リフレクションは、内省の概念を念頭に振り返りを行う習慣が大切です。

振り返りを共有する

セルフリフレクションはすべて自分で行うため、ときには解決や改善までいかないかもしれません。

また、振り返りの内容が適切でない場合もあり得るため、注意が必要です。

そのため、定期的に振り返りをチーム内などで発表するなど、アウトプットの機会を設けます。

第三者から客観的な視点でフィードバックをもらうと、新しい気づきが発見できます。

また、ほかのメンバーの振り返りも参考になるでしょう。

振り返りを発表する際はできごと、とどのような流れでセルフリフレクションを実施したかを合わせて共有します。

できごととリフレクションのフィードバックを受けることで、次回からセルフリフレクションがより効果的なものに改善されるでしょう。

セルフリフレクションにより社員の自己成長を促す

仕事において、経験を積めば人は勝手に成長するものではありません。

日々の経験は、セルフリフレクションを通じて経験値としてはじめて活かされ、スキルアップや能力向上などの自己成長が促されます。

またリーダーに適した人材育成も高い効果があり、チームの改善も行いチーム力の高さが期待できます。

このようにセルフリフレクションは社員に浸透すると、自己成長が促されるため、人材育成の観点から重要な取り組みです。

さらに組織の業務の効率化や成果の向上にもつながるため、企業の成長にもセルフリフレクションは欠かせないものです。

効果的なセルフリフレクションをするには、まずは毎日の終わりに時間を設け、客観的な視点で1日を振り返る習慣から取り入れてみましょう。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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