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社員の高いエンゲージメントを保ち、組織を拡大させるために必要なこととは〜組織の「理不尽」を探しだす~

組織の拡大を検討されている中で、このようなお悩みを抱えていませんか?


  • 現状のエンゲージメントに対する信憑性が不明な中、高いエンゲージメントを保ちつつ組織拡大する方法が分からない

  • 自律型社員を育てたいが、社員が増えるとマネジメントに工数がかかり、育成より管理に時間がかかってしまう

  • 新しいメンバーが増えている中で多様化が進み、会社理念や戦略が浸透しているか不安

  • 組織が拡大していくにつれ、組織内でのコミュニケーション不足を感じている



本セミナーでは、「理念(パーパス)」から丁寧に組織づくりをする株式会社RECOMOの橋本氏と、企業変革に伴走する株式会社働きごこち研究所の藤野氏をお迎えし、2022年のエンゲージメントの振り返りと2023年に実施できる対応方法を注目キーワードと併せて紹介させていただきました。

登壇者プロフィール


株式会社RECOMO 代表取締役CEO:橋本 祐造 氏

1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局、営業職として従事。その後、人材コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社で人事として活躍。以来、複数社で人事責任者として全社の人事戦略の策定や実行に携わる。

2019年4月に株式会社RECOMOを創業。「人の可能性・価値を最大に広げる社会を創ること」を理念に掲げる。

▼「RECOMO」へのURLはこちら
https://recomo.jp/


株式会社働きごこち研究所 代表取締役:藤野 貴教 氏

新卒でアクセンチュアに入社するも「就職のミスマッチ」を感じ、一年で退社。この経験から採用コンサルティングの道に進む。先輩の紹介で入社した上場直後のdipで、採用・教育担当として一年間で200人以上を採用。その後、同社初となる社長のアイデアを実現する戦略推進チームのリーダーに抜擢される。このとき、トップの意志やメッセージをトランスレートし、現場に伝え会社を変える面白さと難しさを知る。

2007年、「“働く”のこれからを考える」をコンセプトに株式会社働きごこち研究所を設立。グロービス経営大学院MBA修了(成績優秀終了者)。2015年から「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」を研究の中心領域にする。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダー育成を志として、全力で取り組む。『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)』を上梓。

また、2006年(27歳)で東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町ハズフォルニア)で子育てをしながらのフルリモートワーク。家は海まで歩いて5分。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)。

2019年、「ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ」の3種の知恵を集めた株式会社文殊の知恵を設立。UXを伝えるWEBメディア『UXジャーナル』を創刊、編集長を務める。

▼「働きごこち研究所」へのURLはこちら
https://www.hatarakigokochi.jp/


株式会社ZENKIGEN revii事業部 プロダクトマーケティングマネージャー:東 壌

2012年に株式会社大塚商会へ新卒入社し法人営業に従事。2014年に株式会社マイナビに入社し、法人営業や事業部内人事を担当。2020年にアイセールス株式会社に入社し、営業部長と人事責任者を経て、2022年より現職。

▼「revii(リービー)」へのURLはこちら
https://revii.jp/

2022年エンゲージメントはどうなった?

2022年を振り返るキーワード①:「カルチャーの分断」

東: 「2022年エンゲージメントはどうなった?」というテーマで、藤野さんに「カルチャーの分断」というキーワードを挙げていただきました。詳しくお話いただければと思います。

藤野 氏: カルチャーとはそもそも何か。直訳すると「文化」ということですが、文化と捉えずにカルチャーを捉えるのが重要です。経営学者のチャールズ・A・オライリーは、カルチャーとは文化やDNAではなく行動パターンややり方だと言っています。文化やDNAは変え難いものだが、行動パターンなら変えられる、それはマネジメントの問題だからだとも述べています。

例えば、毎日のように満員電車に乗ってオフィスに行くことや、ミーティングで誰か1人が議事録を書いていることは行動パターンです。行動パターンを変えていくことが、我々の働き方や仕事の仕方を変えることにつながります。

リモートワークの普及もあり、コロナ禍の2020年から行動パターンが社内で分断していくことが多くなりました。その頃から2022年にかけて会社を辞めた若手や中堅は、「自社のカルチャーが古い」と指摘していることがあります。

しかしここで重要なのは、古いカルチャーを否定しないことです。既存事業のようにコツコツと改善を繰り返すことで収益を作っていく事業においては、実は古いカルチャーと言われるものでもよいのです。一方で新規事業側には、新しいことやDXに取り組んでいるチームがいます。このような分断から変革に至れば組織の中でハレーションが起き、そのときにどちらかをひいきするとエンゲージメントが下がる。だから我々はそもそも何を大事にして働いているのか、共通言語の理解を取り戻さないと分断したものは統合されないわけです。

ただカルチャーの分断は悪いことではないです。変革のときには必ず分断が起きます。分断に伴ってエンゲージメントが下がったと焦るのではなく、分断を数字として捉えた上でアクションしたらどう変わるのかをウォッチしていくことが、2022年におけるエンゲージメントの捉え方なのかなと思っています。

東: 今の話を聞いていて、カルチャーの分断はやはりあるあるだなと思いました。橋本さんは、何か心当たりはありますか?

橋本 氏: 過去の歴史を振り返ったときに、行動パターンが変わることはカルチャーが変わっていく瞬間だと捉えられる人は少ないと思います。数年経ったとき、場合によっては5年、10年経ったときに気付く状態だと思うんです。私なりに捉えると、紙文化で仕事をしていたときの時代からパソコンに変わったときと同じぐらいの変化が実は今起きている。そのことに今の時点では気付いていないから、当然カルチャーの分断は起きてしまいます。

一方で、既存事業でコツコツやっている人たちの文化を否定してはいけないことが、私は一番ポイントだなと思っています。新規事業でトライする人たちを否定してはいけないし、既存事業でやっていく人たちも否定してはいけない。どちらの文化も融合させた形で、新しいものを作っていくことが必要だと思います。

藤野さんにお伺いします。「カルチャーの分断」の先にはどのような言葉がありますか?

藤野 氏: 「融合」ですね。融合とはくっつくのではなく、解けることです。カルチャーがいくつもそこに混在していることはよくて、だからこそパーパスが必要です。

2022年を振り返るキーワード②:「原点に立ち返る」

東: 続いての注目キーワードに、「原点に立ち返る」という言葉があります。このような前提を踏まえて今何をすべきか、キーワードを挙げていただいた橋本さんからご説明をお願いします。

橋本 氏: エンゲージメントが向上しても低下しても、事象だけを捉えて施策やイベントをやろうとする小手先のテクニックに寄っている企業と、そうではない企業に大きく分かれているなというのが2022年の特徴でした。

「リモートワーク」をはじめ流行り言葉に踊らされている人は多いものの、もう一度しっかりと企業理念や、自分たちは一体何者でどこに向かっているのか、どうありたいのかという原点に立ち戻って、自分たちの戦略や組織・事業づくりをするべきです。企業理念などを再認識した会社は、この1年間で飛躍的に伸びたし、しっかりと足腰を整えることで、2023年も飛躍的に成長していくだろうと思います。

東: 原点に戻ることは非常に勇気がいると思います。最後までやりきれる組織には何か共通点がありますか?

橋本 氏: 現場の人たちが危機感を持って、原点に立ち返らなければいけないんだと言ってもあんまり動かないんですよ。経営者自身が自問自答して市場の状態を調査するなどして、変わる覚悟や変える覚悟を持っているかどうかが問われるかなと思っています。

東: 藤野さんはいかがでしょうか?

藤野 氏: 原点に立ち返ることを懐古主義的にしてはいけないですね。ノスタルジーで原点に立ち返るのではなくて、未来を見据えた上でやること。

先ほど、変化が起きるときに果たして渦中の人が変化に気付けるのかといった話がありましたが、それは会社の外から見ないといけません。どうしたらよいのかというと、カルチャーの違う人と働かなければいけません。

例えば、大企業であればベンチャー企業の方と働くことや、場合によってはサービスを使うといったビジネスの関係になればいいと思います。変にお客様扱いをせず、お互いに変革のパートナーになることが重要で、自分たちのやり方とは違う人たちとの関係を持つことで、課題への気付きや解決策を得ていくことが原点に立ち返ることなのかなと思います。

東: 外から俯瞰して見てみないと、原点は何か分からないという話ですね。

2023年エンゲージメントはどうやって高める?

2023年に向けてのキーワード①:「リテラシーの向上と戦略理解浸透(トランスレーション)」

東: 続いて、2023年どのようなことをしてエンゲージメントを高めていけばいいのかを話します。注目キーワードとして「リテラシーの向上と戦略理解浸透(トランスレーション)」を挙げていただきました。藤野さんからご説明をお願いいたします。

藤野 氏: トランスレーションは翻訳という意味です。世の中がどんどん変わっていく中で、結構リテラシーの分断も起きています。そこでミドルが特にマネジメントしなければいけません。例えば、会社の戦略や現場から出てくる不満をトランスレートして、自分の言葉にできる言語化能力を特にミドルが高めていかないと、エンゲージメントはどんどん下がり、ミドル層と若手の衝突が激しくなると思います。

東: なるほど、今のお話だとマネジメントの在り方として翻訳が非常に大切ということですが、これはなかなか難しいことになるのでしょうか。組織が変わらない、変われない理由はどのようなところにあると思いますか。

藤野 氏: 分からないことを言いにくいからかと思います。分からないことを分からないと言えるのは、無知の知のファーストステップなわけです。私は知らなかった、となったときに絶望する人と好奇心を持つ人と二つに分かれていて、好奇心を持つ人に対しては、我々を取り巻く環境をもう1回ラーニングする場を設けたほうがいいかなという気がします。

東: なるほど。橋本さんはどうですか?

橋本 氏: おっしゃる通りです。逆に言うと分からないことが怖いのかなと思いますね。自分もマネジメントをする立場になったときに、自分の殻を破ってみようと思って、第一声から「自分はこういうことがとてつもなく苦手なんです」と誰よりも先に言うようにしてきたんですよ。そうしたら「実は僕もこんなことができなくて」と打ち明けてもらえるようになりました。そこの部分はエンゲージメントにも当然関わってくるので、お互いがぶっちゃけて言い合い、どのようにチャレンジしていくのかが問われると思います。

東: SNSで叩くとか叩かれるとか、そういった世の中の動きもあって防衛本能的なものが働くものなんでしょうか。

藤野 氏: 分からないと言ったら見下されることを恐れているのかもしれないです。分からないときは「十分な確信はないけれどもこう思う」と言えるようになれば、おそらくそれぞれのオピニオンみたいなものを表面化できるはず。ミドルも分からないときは「自信はないけど、僕はこう思う」と枕詞を使うことによって言いやすくなるかもしれません。

2023年に向けてのキーワード②:「社内、社外コミュニケーションの原点に立ち戻る。」


東: もう一つの注目キーワード「社内、社外コミュニケーションの原点に立ち戻る」について、橋本さんからご説明をお願いします。

橋本 氏: 本当に言いたいことはここに尽きます。私は経営者の方が集まるセミナーで、「御社にとって人材はどのような存在ですか」「社員・人材にとって会社はどのような存在ですか」と必ず質問します。この2つの質問に対する答えを聞くと非常に乖離があるんですよ。もちろん完全にイコールになることはありませんが、重なりの面積がどれぐらい広がるかによって、エンゲージメントは大きく変わってくるんだろうなと思っています。ここで言う原点は小手先の話ではなくて、会社や人材はどのような存在なんだっけとディスカッションも含めたプロセスを通していくと、足腰の強い会社組織ができていくんだろうなと思います。

また30〜50年くらいのスパンで見たときに、企業は人材を採用しにくい状況が続きます。これは、まだ原点に立ち返った形で、社外コミュニケーションとしての採用活動ができていないことが課題だと思います。日本全体の労働人口は増えていかない状態にある中で、会社間の連携や、社会として本当に何をすべきなのかを見ていかないといけません。それこそ会社の中だけではなく、会社間同士でも「本当にこの社会における人ってどのような存在なんだっけ」「組織ってこんな存在だよね」と考えていかなきゃいけないと思いますね。

2023年に向けてのキーワード③:「ジョブクラフティング」


東: 藤野さんは「社内、社外のコミュニケーションの原点に立ち戻る。」についてはどうですか。

藤野 氏: そこに関連して、社内と社外のコミュニケーションというところで「ジョブクラフティング」という言葉があります。仕事のやりがいがないと言って困っている社員に対して、仕事や職場環境を変えるのではなくて、日常の仕事の行動パターンを変えましょうという考え方です。まさに社内、社外で話す場を作るというのは、例えばメーカーであればエンドユーザーと話す、SIerならばシステム担当者と話すといったように、手触り感のある仕事に戻っていかないと社員はつまらない。オンラインサロンやクラウドファンディングを通してコミュニティを作ることなども、ジョブクラフィティングの一歩目だと言われていますね。

東: なるほど、手触り感って面白いですね。触ってみないと分からないから、触りに行きなさいということですね。

藤野 氏: 僕らはAIじゃなくて人間なので、自分がやっているという手触りも重要だなという気がします。

東: なるほど。橋本さんはジョブクラフティングについて何かありますか?

橋本 氏: 同意ですね。異質な世界や人々と積極的に関わる機会を作るのは、以前転職でしか成り立たなかった世界でしたが、現在では行動パターンとして自分で意識して作れるものじゃないですか。待っていても機会は来ないので、自分から飛び込みに行くことは非常に大事な要素なんだろうなと思っています。

東: 視聴者様から質問をいただきました。「ジョブクラフティングを初めて聞きました。社内でジョブクラフティングを促すためにすることを教えてください」とのことです。

藤野 氏: 以下の3つです。

  • 交流を増やす
  • 目的に立ち返る
  • 仕事のやり方を変える

特に交流はただ雑談するだけでは、うまくいかないので「今回の戦略どう思いますか?」など問いを持って話し、交流を増やすことが大事です。目的に立ち返ってそれぞれが話し合うことも大事ですね。目的に立ち返ることで、視点が変わり捉え方にも変化が起こります。

–この度はご登壇いただき、誠にありがとうございました。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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