生産性とは?
チームの生産性が向上しない理由や向上させる方法を知る前に、まずは生産性についての意味を理解しましょう。
生産性の意味、生産性と効率化の違いについて解説します。
生産性の意味
生産性とは生産過程に投入される生産要素が生産物の産出に貢献する程度、と説明されています。
つまり、生産性とは、労働に対してどれだけの成果が生み出されたかを表す指標であり、なるべく少ない労働で大きな成果を生み出すことが生産性向上につながるのです。
しかしながら、生産性向上を目指し、いきなり少ない労働で大きな成果を目指すのは難しいため、労働を減らす工夫や成果を大きくする工夫、それぞれで考えるのがよいでしょう。
生産性と効率化の違い
生産性と効率化は、似たような意味合いで使われていますが、厳密には違いがあります。
効率化とは、業務の無意味な作業を減らしたり、なくしたりして、業務を合理化することです。
業務のマニュアルを作成して余計な業務をなくすのは効率化であり、マニュアルの作成によって従来の業務時間が削減されたことは生産性が高まったと言えるでしょう。
つまり、効率化は、生産性を向上させるための1つの手段となります。
チームの生産性を向上させる3つのメリット
チームの生産性が向上することは、企業にとって大きなプラスであり、以下3つメリットがあります。
- 業務時間の削減
- コスト削減・売上アップ
- 人材不足・人材離れの解消
それぞれのメリットをくわしく解説します。
メリット1:業務時間の削減
チームの生産性を向上させることで、業務時間を削減できます。
なぜなら生産性が向上すると、生み出される成果物の質が上がったり、こなせる業務の量が増えたりするからです。
例えば、これまで10時間かかっていた業務は、生産性の向上によって、同様の質でも8〜9時間で終わるでしょう。
すると、単純に業務時間は1〜2時間減ったことになります。
チームとしての生産性を向上させることで、これまでと同様の成果を生み出しながら業務時間を削減することができるのです。
メリット2:コスト削減・売上アップ
チームの生産性向上は、企業にとってコスト削減だけでなく売上アップにもなります。
なぜなら、残業が減ると人件費削減になったり、成果物の質向上によってサービスや製品の付加価値を高められたりするからです。
社員を多く雇用している企業の場合には、1人当たりの残業時間が数時間減るだけでも大きなコスト削減となるでしょう。
チームの生産性向上には、コストを削減し、売上アップさせるという、まさに企業が理想とすることを実現させるメリットがあります。
メリット3:人材不足・人材離れの解消
チームの生産性が向上することで、人材不足や人材離れの問題解決につながります。
なぜなら生産性向上によって、残業が減ることで社員のワークライフバランスが整ったり、企業の売上が上がると給与アップにつながったりするからです。
残業が多く、給与も上がらない状況では、新たに入社する社員が少ないだけでなく、既存の社員も次々に転職していくでしょう。
チームの生産性が向上することは、働きやすい職場環境を作り、人材不足や人材離れの問題を解決する手段にもなります。
チームの生産性が向上しない3つの原因
チームの生産性が向上しないのには、以下3つの原因があります。
まずは原因をしっかりと理解することが大切です。
- 長時間労働・残業
- 多大な業務量・マルチタスク
- コミュニケーション不足
それぞれの原因についてくわしく解説します。
原因1:長時間労働・残業
チームの生産性が向上しない原因の1つには、長時間労働や残業があります。
なぜなら、長時間労働をすることで集中力が欠けてミスが発生するからです。
実際に、経済産業研究所(RIETI)の研究結果でも、長時間労働が是正されることで生産性が向上すると示されています。
参考:『労働時間の短縮によるチーム生産性の向上』
長時間労働や残業が減ると、メンバー個々の生産性が高まり、結果的にチームの生産性向上につながります。
原因2:多大な業務量・マルチタスク
多大な業務量やマルチタスクは、チームの生産性の低下につながります。
なぜなら、多くの仕事に追われ、焦りやストレスが発生したり、複数の仕事を切り替えることで確認や思い出し作業が発生したりするからです。
スタンフォード大学の研究結果でも、マルチタスク作業は確実に生産性を低下させると示されています。
参考:『重度のマルチタスク作業者はパフォーマンスが低下する』
多大な業務量やマルチタスクを減らすことで、リソースが空き、心にも余裕ができるためチームの生産性が向上します。
原因3:コミュニケーション不足
コミュニケーション不足は、チームの生産性が向上しない原因につながります。
なぜなら、コミュニケーションが不足してしまうと、メンバーが抱える業務の進捗状況が不透明であり、チームとしてうまく連携がとれないからです。
モチベーションエンジニアリング研究所の研究結果では、社内でのコミュニケーションが取れているほど、生産性が高まると示されています。
参考:『エンゲージメントと企業業績』
コミュニケーションの取れる時間を設けることや、コミュニケーションの取りやすい職場環境を作ることが生産性向上につながります。
チームの生産性を向上させる3つの方法
チームの生産性が向上しない原因を理解できたところで、チームの生産性を向上させる方法を3つ紹介します。
- ツール・ITシステムを活用する
- 目的を共有し優先順位を決める
- 効果的な1on1を実施する
それぞれの方法についてくわしく解説します。
方法1:ツール・ITシステムを活用する
ツールやITシステムをうまく活用することで、チームの生産性を向上させられます。
なぜなら、ツールやITシステムをうまく活用すれば、従来の業務時間を短縮できたり、簡単に完結したりするからです。
例えば、業務連絡の際には、電話やメールを利用するのではなく、チャットを利用すれば複数のメンバーとすぐに意思疎通がとれるでしょう。
ほかには会議をWeb会議にすることで移動時間を短縮できます。
用途に合わせてツールやITシステムを導入することで、チームの生産性を向上させられるため、新しいものを積極的に導入してみましょう。
方法2:目的を共有し優先順位を決める
チームの生産性を向上させるためには、チームで目的を共有し、業務の優先順位を決めることが大切です。
メンバーごとに異なる優先順位で仕事をしていたら、納期やスピード感にズレが生じてしまうからです。
業務を分担してチームで仕事をする場合、優先順位が決まっていないと、うまく連携ができずに余計な待ち時間やスケジュール遅れが起こってしまうでしょう。
チームでプロジェクトの目的を共有し、優先順位を明確にすると、それぞれが同じ方向に向かって進めるため、チームとしての生産性が高まるのです。
方法3:効果的な1on1を実施する
効果的な1on1を実施することは、チームの生産性向上につながります。
なぜなら、1on1を実施することで、各メンバーが抱える業務の進捗状況を把握し、チーム内で業務量を調整できるからです。
業務量が多く対応できていないメンバーがいた場合は、余裕のあるメンバーをサポートに回したり、優先順位を見直したりすることで、チームとしてうまく機能するでしょう。
チームの生産性を向上させるためには、1on1を定期的に実施、各メンバーが抱える業務の進捗現状を把握することも大切です。
1on1ミーティングの効果についてより詳しく知りたい人はこちらの記事をお読みください
https://revii.jp/article/revii-stance/
チームの生産性向上に必要なリーダーの役割5つを解説
チームの生産性向上には、リーダーの役割も大切です。
リーダーに求められる役割は、以下の5つです。
- 業務の見える化・仕組み化
- メンバーのスキルや能力を把握する
- メンバーの心理的ケアをする
- メンバーのモチベーションを高める
- 働きやすい職場環境を作る
それぞれの役割についてくわしく解説します。
役割1:業務の見える化・仕組み化
業務の見える化や仕組み化をリーダーが行うことで、チームの生産性向上につながります。
なぜなら、業務の見える化によって作業の全体量を把握が容易になり、業務の仕組み化をすることで膨大な労力をかけずに業務ができるからです。
具体的には、業務の進捗状況がひと目でわかるチェックシートや、効率的に業務ができるマニュアルを作成するとよいでしょう。
ほかにも業務の進捗を共有できるツールなどを使用するとより業務の見える化がしやすいです。
役割2:メンバーのスキルや能力を把握する
リーダーは、チームの生産性を向上させるために、メンバー全員のスキルや能力を把握する必要があります。
なぜなら、メンバーにはそれぞれに強みや弱みがあり、それらを把握したうえで業務や役割を割り振った方が、より効果的なアウトプットをできるからです。
例えば、細かい作業が得意な人にはリサーチや資料作成が向いているし、社交的な人には営業や接客などの対人業務が向いているでしょう。
リーダーは各メンバーのスキルや能力を把握するために、日々メンバーの仕事ぶりを観察しておくことが求められます。
役割3:メンバーの心理的ケアをする
メンバーの心理的ケアは、チームの生産性向上につながるため、リーダーに求められる役割の1つになります。
心理的な状態のよし悪しは、仕事をするうえでのモチベーションやパフォーマンスに影響するからです。
メンバーが心理的に不安定な状態では、集中力がなくなり、なかなか作業が進まなかったり、小さなミスを繰り返したり、生産性は下がってしまうでしょう。
メンバーの心理的な状態も把握する手段として1on1ミーティングの実施は有効です。
役割4:メンバーのモチベーションを高める
チームの生産性を向上させるためには、リーダーはメンバーのモチベーションを高める必要があります。
モチベーションが高ければ、メンバーは質の高いアウトプットや普段以上の成果を生み出すことができるからです。
メンバーのモチベーションを高めるためには、目標やキャリアの明確化、人事評価の見直し、定期的な1on1ミーティングなどの施策が効果的でしょう。
役割5:働きやすい職場環境を作る
チームの生産性向上のためにリーダーには、働きやすい職場環境を整えることが求められます。
メンバーにとって働きやすい職場環境は、心理的なケアやモチベーションの向上にもつながるからです。
働きやすい環境とは、残業が少なくてワークライフバランスが整っていたり、メンバー間でのコミュニケーションがうまく取れていたりする状態でしょう。
職場の働きやすさはさまざまなものが影響するため、広い視点で働きやすさについて考慮する必要があります。
チームの生産性が向上した成功事例3つを紹介
実際にチームの生産性が向上した成功事例をご紹介します。今回ご紹介するのは、以下3つの企業です。
- 株式会社良品計画
- ファイザー株式会社
- 日本航空株式会社
それぞれの成功事例についてくわしく解説します。
成功事例1:株式会社良品計画
株式会社良品計画は、無印良品やMUJIブランドの小売店舗を展開する企業です。
赤字をきっかけに、業務の標準化とマニュアルの作成で生産性向上を目指したところ、業務効率が大幅に改善され、赤字から黒字になるだけではなく最高益を達成しています。
業務の標準化やマニュアルの作成の際には、現場調査によって問題点を徹底的に洗い出したそうです。
株式会社良品計画の事例は、標準やマニュアルといった仕組みを作ったことで生産性が高まり、売上アップにつながっています。
成功事例2:ファイザー株式会社
ファイザー株式会社は、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を構える製薬会社です。
グローバルに活躍できる人材育成が重要な課題であり、人材育成の強化には大きなコストがかかるため、コストを削減するためにe-ラーニングシステムを導入しました。
その結果、新人教育や販売トレーニングなどをインターネット上で実施したことで大幅なコスト削減を実現しています。
ファイザー株式会社の事例は、ITシステムを導入したことが、必要な業務を大幅に減らし、コスト削減に導いています。
成功事例3:日本航空株式会社
日本航空株式会社は、JALとして知られる、日本で長い歴史を持つ航空会社です。
社員の長時間労働を是正するために、フリーアドレスの導入、内線の利用できるスマートフォンを配布、Wi-Fi環境の整備などで生産性が高められる環境を整え、20時には完全退社するルールを設けました。
実際に、多様な働き方に対応できる職場環境や早く退社できる働き方は、社員の満足度を高めたそうです。
日本航空株式会社の事例は、働きやすい職場環境を整えたことが、社員の満足度向上につながっています。
まとめ:チームの生産性を向上させるにはリーダーの役割が重要!
チームの生産性を向上させるためには、生産性が向上しない原因を理解したうえで、リーダーの役割が重要となります。
なぜなら、チームの生産性を向上させるためには、1人ひとりが生産性を高めるだけではなく、チームとして機能しなくてはならないからです。
チームの生産性を向上させるために、業務の見える化・仕組み化やメンバーのスキルを把握するなど、できることから実践していきましょう。
リーダーの役割がチームの生産性を高め、少ない労働でも大きな売上をあげられる働きやすい職場環境の企業となるでしょう。
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