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【事例あり】ウェルビーイング経営とは?成功させるコツも紹介

近年、ウェルビーイング経営が経営手法の主流となりつつあります。

ウェルビーイング経営とは、従業員の健康を目的に組織環境を整えることです。

大手・中小企業にかかわらず多くの企業が取り組んでおり、求職者がウェルビーイングを重視していることも少なくありません。

しかし、ウェルビーイング経営の実施は難しく、取り組む第一歩が踏み出しにくいのも事実です。

今回は、ウェルビーイング経営の基礎知識をはじめ、ウェルビーイング経営のメリット、そして成功事例まで解説します。

ウェルビーイング経営にはどのような取り組み方があるのかを理解いただけたらと思います。

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営とは、ウェルビーイング(Well-being)の概念に基づいて、従業員の健康を目的に組織の環境を整備することです。

社会的に、そして心身ともに健康な状態を保つことを目的として、さまざまな取り組みを実施します。

働き方改革が行われたり、健康経営が主流になったりなど、働くことの価値観に変化が生まれている現代では、多くの企業が取り入れており、一般的な経営方法となりつつあります。

ウェルビーイング経営の歴史

ウェルビーイングの概念は、WHOが定義した“精神的・身体的・社会的に幸福な状態”に基づいています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

引用:『公益社団法人 日本WHO協会

これはWHO設立時に、健康促進の大切さを伝えるために言及されました。

ウェルビーイング経営が注目される背景

ウェルビーイング経営が注目されるのは、5つの背景があるからです。

ウェルビーイング経営が注目される背景
  • 働き方改革の推進
  • SDGsへの注目
  • 人材不足
  • 価値観のひろがり
  • メンタルヘルス

順に解説します。

働き方改革の推進

働き方改革が推進されるようになったのは、生産年齢人口の減少や、働き方のニーズに対応できていないことなど、さまざまな課題に直面していることがきっかけです。

施策は2019年4月から実施され、現在多くの企業が働き方改革に取り組んでいます。

例えば、労働時間の見直しや在宅勤務の実現でワークライフバランスを整えることがあげられます。

働き方改革は“多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く1人ひとりがよりよい将来の展望を持てるようにすること”を目標としているため、精神的・身体的・社会的な健康を目指すウェルビーイング経営には欠かせない存在です。

SDGsへの注目

近頃よく耳にするSDGs(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、国連サミットで採択された持続可能な開発目標のことです。

SDGsに取り組んでいるかをチェックする求職者や、SDGsをビジネスの指針として考える方が多く、非常に注目を浴びていることがわかります。

17のゴール・169のターゲットのうち、3つ目のゴールには「すべての人に健康と福祉を」と明記されており、ウェルビーイング経営が求められています。

人材不足

生産年齢人口が減ったり、三大都市部に人口が集中していたりすることが原因で、企業は人材不足に悩まされています。

ウェルビーイング経営に取り組めば、従業員の健康を考える企業イメージがアップし、採用活動に有利になる可能性が高まります。

そのため、人材不足をきっかけとして、ウェルビーイング経営に注目が集まっているのです。

価値観のひろがり

現代は女性や障がい者、高齢者、外国人など多様化する人材の雇用や、宗教、働き方、学歴などの価値観に対応することが重視されています。

ワークライフバランスを重視して企業を選んだり、性別問わず育児休暇を取得したりすることも価値観拡大のひとつではないでしょうか。

働くうえでの価値観を容認し、従業員が幸福の中で働くことを重視する企業が増えていることが、ウェルビーイング経営への注目の理由です。

メンタルヘルス

厚生労働省は『労働者の心の健康保持増進のための指針』で企業がメンタルヘルス対策の実施を推進しています。

また、健康経営銘柄2022や健康経営優良法人2022を選定する項目の中にも、メンタルヘルス対策に関することが明記されています。

身体だけでなく心の健康も重視され、強い意識が向けられていることがわかるでしょう。

そのため、身体と心の健康を考えるウェルビーイング経営が注目されているのです。

ウェルビーイングを構成する5つの要素

ウェルビーイングには、PREMAモデルとギャロップ社が定義する5つの構成要素の2つがあります。

今回紹介するのは、ギャロップ社のウェルビーイングの定義です。

アメリカに本社を持つギャロップ社は、世界150か国を対象にウェルビーイングに関する世論調査を実施しました。

結果、PREMAモデルとは異なる5つの要素があることを定義したのです。

5つの要素は以下の通りです。

ウェルビーイングを構成する5つの要素
  • Career Wellbeing(キャリアウェルビーイング)
  • Social Wellbeing(ソーシャルウェルビーイング)
  • Financial Wellbeing(ファイナンシャルウェルビーイング)
  • Physical Wellbeing(フィジカルウェルビーイング)
  • Community Wellbeing(コミュニティウェルビーイング)

順に解説します。

Career Wellbeing(キャリアウェルビーイング)

キャリアウェルビーイングとは、仕事・趣味・勉強・家事・育児など、人生や生活に関係するフィールドで健康・幸福を追求することです。

“1日の多くの時間を費やすフィールド”と考えるとわかりやすいでしょう。

ウェルビーイング経営では、ワークライフバランスをとれているかが大切となります。

Career(キャリア)という言葉は仕事や経歴のことだと勘違いしやすいため、注意が必要です。

Social Wellbeing(ソーシャルウェルビーイング)

ソーシャルウェルビーイングとは、良好な人間関係を築き、社会・心・身体の健康と幸福を追求することです。

ここでポイントなのはただ人間関係を築くだけでなく、愛情と信頼の存在が大切になります。

そのため、“友人・知人が多くいる”や“顔が広い”だけではソーシャルウェルビーイングと言えません。

企業では、従業員同士やマネージャー・メンバーの信頼関係を築くことが大切になります。

Financial Wellbeing(ファイナンシャルウェルビーイング)

ファイナンシャルウェルビーイングとは、言葉の通り、経済的な社会・心・身体の健康と幸福を追求することです。

例えば、安心して生活できる収入を得たり、資産をしっかりと管理・運用したりすることが当てはまります。

また、現状の給与に納得しているかも大切なポイントとなります。

Physical Wellbeing(フィジカルウェルビーイング)

フィジカルウェルビーイングとは、自分が取り組みたいと思ったことが不自由なくできる身体であることを追求します。

希望する活動を続けるためには、健康的な身体や思いを行動に移すエネルギー、ポジティブな感情が必要です。

それらが充実していれば、仕事の意欲を高められるでしょう。

Community Wellbeing(コミュニティウェルビーイング)

コミュニティウェルビーイングとは、社会の中で身近な存在のコミュニティや地域における、社会的・身体的・精神的な健康と幸福を追求することです。

具体的には、職場に加え地域の学校・家族・親戚・友人などが当てはまります。

自分自身が所属するコミュニティと考えればわかりやすいでしょう。

ウェルビーイング経営では、部署内だけでなく組織内でつながりを持つことで、幸福感を覚えられると考えられています。

ウェルビーイング経営と健康経営の違い

ウェルビーイング経営と健康経営は混同されやすく、違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。

健康経営とは、従業員の健康を戦略的に考え、経営を進めることを意味します。

健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。

引用:令和4年6月経済産業省ヘルスケア産業課『健康経営の推進について

つまり、健康経営は従業員の健康が目的ではないということになります。

一方でウェルビーイング経営は、従業員の健康を通して、従業員の満足度や企業価値を高めることが目的です。

また、視点も異なります。

健康経営は経営者・管理職視点で施策を考え、ウェルビーイング経営は従業員目線で施策を考えます。

このように、ウェルビーイング経営と健康経営には目的と視点の違いがあることがわかるでしょう。

ウェルビーイング経営のメリット

ウェルビーイング経営には4つのメリットがあります。

ウェルビーイング経営のメリット
  • 従業員の意欲の向上・生産性の向上
  • 離職率の低下
  • 優秀な人材の確保が可能
  • 医療費の削減

順に解説します。

従業員の意欲の向上・生産性の向上

ウェルビーイング経営では働く環境を整え、従業員の心身の健康を追求します。

企業が熱心に環境づくりに取り組み、働きやすさがアップすれば、従業員はモチベーションが向上するからです。

また、心身ともに健康かつ意欲が高い従業員が仕事に取り組むことで、生産性の向上も期待できます。

生産性があがれば、企業の業績がアップするだけでなく、従業員がやりがいを感じやすくなるでしょう。

離職率の低下

ウェルビーイング経営に取り組むと、ワークライフバランスを保てることに加え、良好な人間関係や仕事のやりがいを感じられます。

結果として、「長く働きたい」と考える従業員が増え、離職率の低下が期待できるのです。

また、従業員の心身の健康状態を把握しやすいため、何かあればすぐに対応できます。

従業員1人ひとりを大切にする会社と感じれば、愛社精神も向上し離職率が低下するでしょう。

優秀な人材の確保が可能

ウェルビーイング経営を行うと、企業イメージが高まります。

多くの求職者から応募されることで、優秀な人材の確保も期待できます。

また、優秀な人材が入社することで生産性の向上も可能となり、従業員の満足度と企業価値がさらにアップするでしょう。

医療費の削減

ウェルビーイング経営に取り組むことで、従業員の健康が維持され、医療費が削減されます。

仕事が原因で病気にかかったり、怪我をしてしまったりすると休業手当の一部を負担する必要があります。

従業員の健康状態が良好であれば、病気の心配は少なく、医療費が削減できるのです。

企業・従業員ともに医療費を削減できるため、ウェルビーイング経営の大きなメリットだと言えます。

ウェルビーイング経営の成功事例

ウェルビーイング経営はさまざまな企業が実施しています。

今回は、成功した企業の中で4つの会社を紹介します。

企業1:SMN株式会社

SMN株式会社は、マーケティングテクノロジー事業を展開するソニーグループの企業です。

同社が大切にしているのは、“個人の幸せ”です。

“個人の幸せ”は目的ではなく、効果が出ることを大切にしている点で、ウェルビーイング経営を表していると言えます。

取り組みとしては、ウェルビーイング経営に含まれる身体や心に加え、食をプラスし、それらを支える環境で健康フレームを作っています。
そして、その健康フレームに当てはまる施策を考え、実行しているようです。

具体的には、従業員の自宅まで健康を考えた総菜を配送するオフィスおかん仕送り便や、ウェルビーイング経営実施後のアンケート調査です。

ただウェルビーイングな施策を実行するだけでなく、従業員の目線を重視していることは、ウェルビーイング経営の定義を適切に実行していると言えるでしょう。

参考:『SMN株式会社

企業2:積水ハウス株式会社

積水株式会社は、多くのグループ会社を持つ住宅メーカーです。

同社では、全従業員が心身ともに健康・幸福で、生き生きと働ける会社を目指し、ウェルビーイング経営に取り組んでいます。

具体的には、“健診結果活用サービス”の活用や女性の健康をテーマにしたeラーニングの実施、歩行促進イベント・禁煙チャレンジの実施を行っています。

さまざまな施策に取り組んだ結果、高ストレス者は9.1%、平均勤続年数は16.7年などあらゆる分野で効果を出しているのです。

参考:『積水ハウス株式会社

企業3:楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社は、70を超えるサービスを世界16億人のユーザーに提供する企業です。

同社では、“ある目的のもとに、ありたい姿を持つ多様な個人がつながりあった持続可能なチームの状態”を定義としたコレクティブ・ウェルビーイングを示しています。

コレクティブ・ウェルビーイングでは、心の健康の研修やウェルネスアプリの活用の推進、有給休暇の積極的な活用の推進、ストレスなどをチェックする1on1の実施など、さまざまな施策を考え実行しています。

ただ施策を実施するだけでなく、定期的に施策に関する調査を行っているため、従業員の心・身体の健康状態や社会とのつながりを把握することが可能です。

企業4:株式会社デンソー

株式会社デンソーは、世界に事業を展開する自動車部品メーカーです。

同社では、健康を当たり前にするための施策を行っています。

例えば、社員の健康状態の可視化です。

数字で評価した健康状態の改善に向け、行動指針を策定しています。

各職場には“健康リーダー”を配置し、それぞれの現場が抱えている問題に対して施策を実施しています。

組織全体で同じ施策に取り組むのではなく、部署に合わせた施策を実施していることが株式会社デンソーの特長でしょう。

まとめ:ウェルビーイング経営は現代に欠かせない取り組み

従業員の健康を目的に組織の環境を整えるウェルビーイング経営。

成功事例としてあげた企業以外にも、大小にかかわらずさまざまな企業が取り組んでいます。

現代では、組織の発展を1番の目的とする健康経営だけでなく、従業員の健康を通して、従業員の満足度や企業価値を高めるウェルビーイング経営への意識が高まっているのです。

多様化する働き方の中で、あらゆる方が生き生きと働くためにウェルビーイング経営は必須だと言えます。

しかし、ウェルビーイング経営に対して「どう取り組めばいいのかわからない」
と不安・疑問を感じてる方も多いことでしょう。

「ウェルビーイングを構成する5つの要素」にあったように、組織内でのつながりや信頼関係を構築し、
コミュ人ケーションを活性化させることは一つの手です。

1on1改善サポートAI「revii(リービー)」は、マネージャーとメンバーのコミュニケーションや信頼関係構築をサポートします。
AIを介した分析結果から、メンバーのふるまいや状態を可視化し、ウェルビーイングを図ることができます。
従業員のウェルビーイングを高めるために、「revii(リービー)」を通して可視化・改善をおすすめします。

「詳しい説明を聞きたい」「デモを見たい」「見積もりをしてほしい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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