マネージャーがすべき1on1の事前準備
1on1の事前準備として何をすべきか分からず悩んでいるマネージャーもいるはずです。
今回はマネージャーが事前にすべき準備を以下の5つに絞りました。
1on1の準備の参考になれば幸いです。
- 目的を明確にする
- 話すテーマを決める
- 進め方を決める
- 日程・場所を決める
- アジェンダを準備する
それでは、それぞれについてくわしく説明していきます。
目的を明確にする
まずは、1on1を実施する目的を明確にしましょう。
目的を明確にすることは、1on1を実施するうえで1番大切なことです。
目的が明確になっていなければ、せっかく時間を設けて実施する1on1が意味のないものになってしまいます。
目的はそれぞれの企業によって異なってよいでしょう。
そのため自社の課題解決につながるように設定します。
たとえば、離職率が高い場合には、コミュニケーションを増やす場としたり、悩みや不満を聞いたりする場にしましょう。
このように、何か目的を1つに定めて絞ることで、その1on1ですべきことが見えてくるのです。
そのくらい目的を明確にすることは大切なため、きちんと決めておきましょう。
話すテーマを決める
目的が明確に決まったら、話すテーマを決めましょう。
事前に話すテーマを決めておくことで、スムーズに1on1を進められます。
話すテーマに関しては、目的に合ったテーマを設定しましょう。
たとえば、メンバーの悩みや不満を聞くことが目的であれば、「現在の仕事での課題や問題について」などと設定します。
悩みや不満などは、会話の中での質問によって自然と引き出せるでしょう。
話す内容を細かく設定しすぎても会話がしにくくなる可能性があります。
あくまでもテーマ設定であることを忘れず、少し広めの内容で設定してください。
会話の中でのマネージャーの質問が重要になってくるでしょう。
進め方を決める
目的と話すテーマまで決まったら、1on1全体の進め方を決めておきましょう。
定められた時間内で効果的に1on1を行うには、進め方を決めて全体象を掴んでおくことが重要となります。
分刻みで細かく決めるのではなく、大まかでよいのでざっくりとした進め方を決めましょう。
たとえば、前半は前回の振り返りと雑談、目的・テーマの共有で、後半はテーマについての話とまとめなどです。
このように全体像さえ掴んでおけば、雑談をしすぎることを防げます。
時間内でテーマの内容を話し、まとめることもできます。
事前に進め方を決めて、効果的な1on1を実現しましょう。
日程・場所を決める
事前に日程と場所を決めておくのも大切なことの1つです。
日程はなるべく1週間前くらいには設定しておけるとよいでしょう。
2回目からは、1on1の終わる際に次の予定を立てておくのがよいかもしれません。
その場でお互いにスケジュールを確認して問題なければスケジュールを作成します。
スケジュールを1on1が終わったときに決めれば、その後のやりとりが楽になります。
当日バタバタしないために、事前に場所も決めておきましょう。
もしも社内の会議室などを使用する場合には、予約をしておくことで当日スムーズに1on1を実施できます。
最近ではオンラインで1on1を実施することも主流となってきているため、
その場合は事前にオンラインURLを準備しておくといいと思います。
1on1の事前準備には、このような日程や場所を決めることも含まれます。
テーマや進め方なども大切ですが、スムーズに実施するためには日程や場所も重要です。
アジェンダを準備する
最後に、1on1を円滑に進められるようにアジェンダを作成しておきましょう。
作成する際のポイントは、アジェンダを見れば、その日の1on1で何を話すのかわかるようにすることです。
進め方と同様に細かく作る必要はないため、大まかに作りましょう。
意識すべきことは、メンバーが1on1当日にアジェンダを見た際、すぐに1on1の流れをイメージできるかどうかです。
毎回アジェンダを作成するのは、かなりの労力となるため、テンプレートを作成しておきましょう。
テンプレートに必要なことを記入すれば事前準備が完了するように工夫しておくのがおすすめです。
1on1の効果的な進め方
事前に準備をしても、いざやってみるとなかなかうまく進められないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで1on1を効果的に進めるための手順を紹介します。
ぜひ以下の4ステップを参考に実践してみてください。
- メンバーと目的・話すテーマを共有する
- テーマについてメンバーに話してもらう
- マネージャーがフィードバックをする
- メンバーに内容をまとめ記録してもらう
それでは、それぞれのステップをくわしくみていきましょう。
メンバーと目的・話すテーマを共有する
まずは事前に準備した目的と話すテーマをメンバーに共有しましょう。
なぜ1on1をおこなうのかといった目的と、話すテーマがその目的にどう関係しているのかをしっかり説明することが大切です。
効果的な1on1を行うには、メンバーがきちんと目的を理解していなければなりません。
そのため目的の共有はとても大切なことです。
ただ一方的に目的と話すテーマを押し付けるように共有するのではなく、メンバーの様子を見ながら、きちんと伝わっているかを確認しましょう。
テーマについてメンバーに話してもらう
目的とテーマについての共有が終わったら、メンバーにテーマについて話してもらいます。
気をつけることは、マネージャーはなるべく聞き手に徹することです。
そのため、基本的にはあいづちや質問をする程度で、7割以上はメンバーに話してもらいましょう。
もしもメンバーに話をふられた場合には、もちろん話します。
さらにうまく質問を投げかけて、メンバーが話せる状況を作ることがポイントです。
話が止まってしまう場合もあると思うため、どうしたらメンバーから話を引き出せるのかは、常に考えておきましょう。
また、こちらの資料ではメンバーが主体的に話せるトピックの順番を紹介しています。
無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
「【1on1入門】知っておきたいマネジメント・仕事スタイル 〜Vol.3 メンバーが1on1に主体的になるために〜」
マネージャーがフィードバックをする
テーマについてメンバーにある程度話してもらったところで、次はフィードバックをしましょう。
ここで気をつけたいことは、アドバイスにならないことです。
マネージャーとメンバーの関係から、ついアドバイスをしてしまうマネージャーがいます。
しかし大切なのは、第三者視点からのフィードバックです。
テーマに対して考えを述べたメンバーに、客観的な意見をマネージャーが伝えることで、メンバーは新たな発見や気付きを得るでしょう。
その発見や気付きこそが大切であり、次なる行動へとつながります。
アドバイスをしてしまうと、押しつけ感や否定されている感を与えてしまうため、注意してください。
メンバーに内容をまとめ記録してもらう
マネージャーのフィードバックまでが終わったら、メンバーにはその日の1on1の内容を記録としてまとめてもらいます。
この作業には2つの目的があります。1つは、記録として残すためです。
次回の1on1の際に、前回にどんなことをやったのかを思い出す資料となるでしょう。
もう1つが、メンバーにとっての振り返りです。
とくにマネージャーからもらったフィードバックなどは聞いただけではすぐに忘れてしまいます。
そのため、忘れないうちに記録としてまとめましょう。
せっかく業務時間を割いて実施しているため効果的な1on1にしたいものです。
1on1を効果的に行う6つのポイント
1on1の効果的な進め方については、理解いただけたでしょうか。
進め方に加えて、知っておきたいポイントを6つご紹介します。
以下6つのポイントをおさえて、効果的な1on1の実現にお役立てください。
- 短い時間で定期的に実施する
- メンバーが話しやすい環境を作る
- メンバーの話を途中で遮らない
- アドバイスではなく質問をする
- フィードバックを充実させる
- 完璧を求めない
それでは、それぞれのポイントについてくわしくみていきましょう。
1.短い時間で定期的に実施する
効果的な1on1を行うためには、1回の1on1の時間は短く設定し、定期的に実施するのがよいでしょう。
長い時間で実施したとしても、最後の方は集中力がなくなったり、疲れてしまったりする可能性があります。
すると、後半にフィードバックをたくさんしてもメンバーにとっては、あまり響かないものになってしまうでしょう。
そのため1回の時間は短く設定し、濃い時間を過ごす方が効果的です。
また、長い時間を設けてしまうと、長々と雑談をしてしまう原因にもなるため注意しましょう。
2.メンバーが話しやすい環境を作る
メンバーが話しやすい環境を作ることが効果的な1on1につながります。
1on1とは、マネージャーとメンバーとの対話です。さらに、多く話すのはメンバーであり、マネージャーはメンバーから話を引き出す側です。
そのため、メンバーが話しやすい環境を整えることは、1on1を実施する上でとても効果的になります。
メンバーがたくさん話してくれれば、それだけマネージャーはフィードバックができます。
そして、メンバーもその分多くの気付きや発見を得られるでしょう。
話しやすい環境は人それぞれで難しいかもしれませんが、やりながら工夫してみてください。
3.メンバーの話を途中で遮らない
メンバーが話している最中には、話を遮らないことが大切です。
メンバーが話している際には、ただひたすら聞き、質問やあいづちなど以外は極力避けましょう。
また質問をするタイミングも強引に遮るのではなく、自然に会話をするようにするのがポイントです。
メンバーにとっては、自分の言葉にしてアウトプットすることで考えがまとまることもあるでしょう。
そのためとにかく話を遮らずに、たくさんアウトプットをさせてください。
フィードバックは、話し終えた後にしっかりとしましょう。
4.アドバイスではなく質問をする
マネージャーはアドバイスではなく、質問をするのが大切です。
アドバイスは、上から目線で言っている印象を与えてしまうため、メンバーからすると指摘されているように感じてしまうかもしれません。
1on1で大切なのは、メンバー自身に考えさせて、自ら気付き、発見してもらうことです。
気付くきっかけを与えることが必要であり、効果的な1on1を実施するには、アドバイスではなく、とにかく質問をすることが大切でしょう。
質問をすることでメンバーに考えさせ、考えることで自ら気付き、発見するきっかけが訪れるのです。
5.フィードバックを充実させる
効果的な1on1にするには、マネージャーのフィードバックを充実させる必要があります。
とにかくメンバーが話したことに対してフィードバックをしましょう。
そうすることで、メンバーは自分の考え方や意見以外にもさまざまなことに気付くはずです。
気付きの数が多いだけメンバーの成長機会も増えるでしょう。
そのため、とにかくマネージャーはフィードバックを多くすることが大切です。
だから、メンバーの話をよく聞きましょう。
時には質問で深ぼりすることも必要になるかもしれません。
6.完璧を求めない
完璧を求めてはいけません。毎回テンプレート通りの完璧な1on1をする必要はないでしょう。
ルールや仕組みの中で1on1を実施することは必要ですが、型どおり完璧な1on1をするのは違います。
完璧を求めすぎると、1on1自体が嫌になり、効果的な1on1ではなくなります。
そのため、完璧な1on1をしようとせずにリラックスして実施してください。
緊張せずにリラックスしてるくらいの方が思考が柔軟になり、さまざまなことに気付けるでしょう。
成功企業が行う効果的な1on1の事例
1on1を効果的に行うためには、さまざまなポイントがあります。
しかし、ポイントを知っただけではいまいちイメージがつかない方も多いでしょう。
実際に、効果的な1on1を実施し、成果を出している企業4社紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
ヤフー株式会社
コミュニケーション不足の課題解決のために、2012年に1on1を導入したヤフー株式会社。
その後、経験学習として1on1を取り入れることで、社員の才能を引き出したり、モチベーションを高めたりして、成功を収めています。
1on1を経験学習として取り入れ、徹底的にフィードバックをしたことが、社内への浸透度と満足度を高くしています。
社内での1on1満足度は90%以上です。
現在は、社内に止まらず、1on1のリーディングカンパニーとして社外の人材開発にも目を向けています。
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社では、価値観の多様化に対応するためにマネージャーとメンバーとが対話する1on1を2019年に導入しています。
1on1を社員が主体的に考えて動くための時間としているために、テーマは自由で、頻度や時間も目安はあるものの自由です。
必要な時に実施する自由なスタイルをとっていますが1on1の浸透活動を行っているため、実施率は7割を超えています。
さらに1on1の満足度も高めとなっています。
株式会社リクルート
株式会社リクルートでは、2020年グループ企業のリクルートキャリアが感染症の流行でリモートワークが増え、コミュニケーション不足やモチベーションの低下から離職率の上昇が起きています。
以前より1on1を実施していたのに、コミュニケーション不足やモチベーションの維持がされなかったのは、1on1の質の低さが原因だったのです。
合計600時間を超える研修をおこなうことで1on1の質を大幅に改善し、今では1on1の効果も高まっています。
クックパッド株式会社
クックパッド株式会社は、社内の定期個人面談として1on1を活用しています。
開発部のエンジニアでは、個人での作業が多くお互いのことをあまり知らないため、よりお互いのことを知りチーム力を高めるために効果的な活用がされています。
1on1の実施方法は、1回15分と短時間で、週1回の高頻度です。
さらに話す内容はお互いのことを知るために自由としています。
目的に対して効果的な1on1の手段をとることで、1on1の実施後にはメンバー間での信頼関係が強くなったり、チームに活気が生まれたりしています。
より効果的な1on1を行うために
1on1を効果的に行うためのポイントを6つ紹介しましたが、より効果的な1on1を行うために実施すべきことを紹介します。
以下の3つは、実際に成功企業でも実践していることなため、ぜひ参考にしてみてください。
- マネージャーのスキルアップ
- ルール・仕組みを作る
- 環境を整える
それでは、それぞれについてくわしくみていきましょう。
マネージャーのスキルアップ
より効果的な1on1を行うためには、マネージャーのスキルアップが必要です。
実際にマネージャーを対象にした社内研修を行っている企業もあります。
社内での研修制度を整えるのは、時間がかかるため、外部講師や外部セミナーなどを活用し、マネージャーのスキルアップできる場を設けてもよいでしょう。
効果的な1on1を実施するには、マネージャーがメンバーに対してどのような質問やフィードバックをするのかが大切です。
マネージャーの質問やフィードバックによって、メンバーの考えることや気付きや発見も変わってくることでしょう。
ルール・仕組みを作る
より効果的な1on1を実施するには、ルールや仕組みを作ることも大切になります。
ルールや仕組みを作ることで基準ができます。
基準がない状態では、うまくいく時もあればうまくいかない時もあり、安定して効果的な1on1を実施することは難しいでしょう。
また、人によって差も生まれるため、マネージャーの裁量でうまくいったり、いかなかったりと変わってきます。
そのため、ルールや仕組みづくりを丁寧に考えることが大切です。
はじめはなかなか難しいかもしれませんが、少しずつできることからやっていきましょう。
環境を整える
より効果的な1on1を実施するには、1on1を実施する環境を整えることも必要です。
実際に大手企業でも1on1の効果がなく原因を調査したところ、1on1の質が悪かった事例があります。
実際に質の悪い1on1を実施している場合には、1on1の質や環境を見直すとよいでしょう。
また、社内全体で1on1の管理ツールを導入するなどして環境を整えることで、より便利で効果的な1on1を実施することもできるでしょう。
まとめ|事前準備で効果的な1on1へ
効果的な1on1を実施するためには、事前準備は欠かせません。
しかし事前準備をしたからといって効果的な1on1が実施できるわけでもありません。
効果的な1on1を実施するためには、さまざまな試行錯誤が必要です。
本記事では、効果的な1on1を行うための進め方やポイントなどを紹介しました。
しかし、知識を知ったからといってすぐに効果的な1on1が行えるようになるわけではないでしょう。
知識を知った上で、実際に試しながら修正していくことが大切です。
まずは、本記事で紹介した進め方やポイントを参考にしながら、まず1on1を実践してみてください。
また、こちらの資料では、弊社ならではの1on1ミーティングのやり方を紹介しています。
無料でダウンロードできますので、1on1ミーティングに臨む前にぜひ一度ご覧になってみてください。