近年、1on1ミーティングが注目を浴びており、
導入企業様が増えてきたり、ビジネス書で説明されていたりしています。
1on1ミーティングは、目的意識を持って取り組めばメリットや効果が多い対談です。
しかし、仕事が忙しい中で1on1ミーティングのために時間を作ることが難しいと思う場合もあるでしょう。
本記事では、1on1ミーティングのメリットや効果を詳しく解説しているため、「今すぐ1on1を導入したい」と思うようになるはずです。
1on1ミーティングのメリットと効果6つ
1on1ミーティングから多くの効果を得るためには、目的を意識したうえで運用することが重要です。
マネージャーとメンバーの距離感が縮まる
1on1ミーティングを定期的に実施すると、マネージャーとメンバーの距離感が縮まっていきます。
1on1ミーティングは1回きりで終わる対談ではないため、ほとんど話さない関係のメンバーでも少しずつ距離感を縮められるからです。
業務内容によっては、マネージャーとメンバーがほとんど関わる機会がなく1日が終わっていく場合があるでしょう。
職場の同僚や先輩などと会話していれば基本的な問題は解決するため、マネージャーとあまり話さない人もいるはずです。
しかし、メンバーから話しかけられない状況が続けば、「きちんと仕事は進んでいるのか」「信頼されていないのではないか」と気になる人もいるでしょう。
1on1ミーティングを実施することにより、マネージャーとメンバーの距離感が縮まっていくでしょう。
メンバーの自主的な学習を促す
メンバーが積極的に学習する環境を作りだすことが、1on1ミーティングの効果です。
定期的にマネージャーから仕事ぶりを振り返る機会を与えられることにより、自主的な学習を促すことにつながるからです。
職場に行けば仕事、家に帰れば家事で忙しいメンバーにとって、自主的に学習する環境づくりは困難となります。
仕事のために学習しようと思って書籍を購入するも、忙しさのあまり放置してしまっている人も多いのが現状です。
1on1ミーティングでは、定期的にマネージャーから自身の仕事ぶりを振り返る機会を与えられます。
メンバーは仕事を振り返る習慣が身につく
1on1ミーティングの定期的な実施によって、メンバーは仕事を振り返る習慣を身につけられます。
マネージャーと対談する機会を与えられることにより、マネージャーから仕事を振り返っているかどうか尋ねられるといった意識が生まれるからです。
多くの人は、マネージャーから尋ねられた際に答えられなくなる場面を避けたいと考えるでしょう。
メンバーもマネージャーも忙しい毎日を過ごしているため、積極的に仕事を振り返る機会を作ることは困難です。
中には、マネージャーから仕事を振り返るように指示をされていたにも関わらず、業務に追われているため後回しにしてしまう場合も少なくありません。
定期的な1on1ミーティングの実施により、メンバーはマネージャーから仕事の振り返りについて尋ねられることを想定するようになります。
その結果、メンバーには積極的に仕事を振り返る習慣が身につきます。
予期せぬメンバーの離職を防ぐ
予期せぬメンバーの離職を防ぐことも、1on1ミーティングの効果となります。
1on1ミーティングといった些細な悩みを相談できる環境があるためです。
常に心の支えがある状態となるため、メンバーの突発的な離職を防ぐことになります。
1on1ミーティングは1回限りの対談ではありません。
続けて実施していくうちに、マネージャーとメンバーの信頼関係が向上します。
マネージャーとメンバーの信頼関係が向上すると、どれほど些細な悩みであっても、悩み続けることなくすみやかに相談できるようになるでしょう。
1on1ミーティングには、想定外の離職を防ぐ役割があるのです。
組織全体の絆を強くする
1on1ミーティングは、定期的な実施により組織全体の絆を強くしていきます。
定期的な1on1の実施によってメンバーへの理解が深まった結果、組織全体の絆を固めていくことにつながるからです。
マネージャーとメンバーで対談を実施すると、メンバーの仕事に対する考え方や思いなど、意外な一面が垣間見えるシーンがあるでしょう。
メンバーへの理解が深まっていくため、組織全体の強化につながります。
組織全体に良い循環ができる
組織の絆が固まっていくと、全体に良い循環が流れるようになります。
繰り返し運用する1on1ミーティングにより、マネージャーとメンバーがお互いに理解を深めていくことになり、組織全体の人間関係が改善に向かうからです。
職場の人間関係が悪いと思いながら働いていても、パフォーマンスの向上につながりません。
売上アップにつながる原因はこれだけではありませんが、組織全体の人間関係が改善されていくと、仕事の効率化につながるのです。
1on1ミーティングの課題3つ
メリットが多いことが1on1ミーティングの特徴ですが、課題もあります。
マネージャーとメンバーの作業量が増加する
1on1ミーティングの課題は、マネージャーとメンバーのするべき作業が増加することです。
マネージャーとメンバーはお互いの時間が必要であるため、1on1ミーティングのために日程を調整する必要があります。
さらに、1on1ミーティングは1回きりの対談ではないため、何度も日程を調整する必要が出てきます。
また、1on1ミーティングで使用するオンラインシステムの調子が悪化することも考えられるため、スムーズに進むとは限りません。
- スケジュールが空かない
- オンラインシステムを使いこなせない
- 上手く作動しない
などが原因となり、マネージャーとメンバーの作業量が増加する場合があります。
効果を数字で計測しにくい
1on1ミーティングには、効果を数字で計測しにくいといった課題があります。
メンバーとの信頼関係や組織運営の品質は数値化できるものではないからです。
ビジネスやマーケティングで新しいシステムを導入する場合、効果を測定できるか否かは重要な判断基準となります。
1on1ミーティングを実施しても、しばらくの間は「効果を得られていないのではないか」と不安を覚えるでしょう。
短期的な効果が期待できない
短期的な効果が期待できないことが、1on1ミーティングの課題です。
最終的に目指す場所が、メンバーとの信頼関係の構築や組織運営の品質向上であるため、短期的に達成できるものではありません。
人間関係を築くときに、1度は経験したことがあると思いますが、信頼関係は1週間程度では構築されないものです。
また、組織全体の品質向上となると、一人ひとりのメンバーと人間関係が構築できてからの話になります。
このように見ていくと、1on1ミーティングは短期的な効果ではなく、長期的な効果があると考えられます。
1on1ミーティングの始め方と注意点
1on1ミーティングをはじめて導入する場合は、どのようにして始めていけばよいかわからないものです。
ここでは、1on1ミーティングの基本的な始め方と注意点を説明していきます。
1on1の目的と日程をシェアする
1on1ミーティングを進めていくには、はじめに目的と日程のシェアが欠かせません。
短期的な効果が期待できないうえ、業務の時間を割いて実施する施策だからです。
マネージャーとメンバーが、1on1ミーティングのために日程をシェアしておくことにより、すれ違いや日程の勘違いといったミスを防げるでしょう。
マネージャーとメンバーがお互いに目的意識を持つことにより、徐々に1on1ミーティングの効果が発揮されていきます。
押さえておきたい内容を確認する
1on1ミーティングでは、実施する前に押さえておきたい内容を確認します。
対談する人が相手の何を知りたいか、何を話したいかについて理解していないと、スムーズに進みません。
対談をスムーズに進めていくためにも、箇条書きのように簡単なスタイルで1on1ミーティングの内容をメモしておくといいでしょう。
押さえておきたい内容をメモすることで、本番が開始する前に自分自身が知りたい内容を客観視できます。
また、質問したい内容のリストを相手に送っておくと、はじめての1on1ミーティングでも慌てることがありません。
前もって質問したい内容のリストを送っておくと、マネージャーとメンバーがお互いに1on1ミーティングの時間配分を考える際の目安になります。
1on1はメモを取りながら進める
1on1ミーティングを実施する際は、メモを取りながら進めていきましょう。
マネージャーと2人で1on1ミーティングする際は少なからず緊張しているため、話している内容だけに意識を集中するのは困難です。
どうしても緊張してしまうため、マネージャーとの対談が終了した際に力が抜けてしまい、伝えられたことを忘れる可能性があります。
メモを取りながら対談することにより、何を話したかを具体的に思い出せるでしょう。
しかし、「対談中にメモを取ることは失礼だ」と考える人がいます。
マネージャーには、開始前からメモを取ることを伝えておくと、失礼にはならないため覚えておくといいでしょう。
メモを取りながら実施すると、1on1ミーティングに対して真面目に向き合っている姿勢がマネージャーに伝わります。
以下では、対談しながらメモを取る時のポイントを紹介しているので、参考にしてください。
- 質問する項目を前もってまとめておく
- 想定される回答をメモしておく
- メモをとる時は記号を利用する
ひとつずつ見ていきましょう。
質問する項目を前もってまとめておく
1on1ミーティングを実施するときは、質問する項目をあらかじめまとめておきましょう。
自分がメモを取っているノートに質問する項目をまとめておくと、目線の行き先に困りません。
反対に、メモの内容にバラつきがある場合は、目線をどこに集中させていいのかがわからなくなります。
目線の先が集中していないと、マネージャーから1on1ミーティングに集中できていない、と思われるかもしれません。
質問する項目を前もってまとめておくことで、1on1ミーティングに集中できるため印象もよくなります。
想定される回答をメモしておく
想定される回答をメモしておくことで、1on1ミーティングの時間を効率的に使えます。
多くの場合、1on1ミーティングに与えられた時間は有限であるため、時間配分を考えながら進める必要があるでしょう。
しかし、マネージャー側も1on1ミーティングに慣れていない可能性が高く、進捗がスムーズだとは限りません。
1on1ミーティングの際に想定される回答を準備しておくと、前もってインプットされているため頭に入りやすくなります。
相手から別の回答を受け取った場合でも、いち早く両者の相違点に気づいて掘り下げることが可能です。
1on1ミーティングの品質向上につながるため、想定される回答をメモしておくといいでしょう。
メモを取るときは略語を利用する
メモを取るときは言葉を箇条書きにするだけではなく、自分なりの略語を活用してください。
1on1ミーティングはマネージャーとの対談であるため、ある程度話す内容がイメージできる場合があります。
メモを取る量が減るため、マネージャーと話す内容で想定されるキーワードを略しておくことがおすすめです。
たとえば、ソリューションはsl、ブランドアイデンティティはbiなど、カタカナ語を多用するマネージャーの場合は、とくに略語を意識しておきましょう。
メモの内容を再確認する
1on1ミーティングの実施中に取ったメモは、放置ではなく再確認しましょう。
メモを取ると真面目に取り組んだ気分になるため、満足してしまってそのメモを放置する人がいます。
放置してしまってはメモを取った意味がなくなってしまうため、可能であれば1on1ミーティングを実施した日に振り返るようにしてください。
1on1ミーティングの最中に取ったメモを再確認しておくと、相手から伝えられた内容をしっかりとインプットできます。
メンバーに「話すことはない」と言われたときの対処法
マネージャーから突然「1on1ミーティングを導入する」と言われても、何を話せばいいのかと困ってしまうメンバーが多いものです。
2種類の質問を使い分ける
メンバーから「話すことは何もない」と言われたときは、2種類の質問を使い分けながら対話する方法がおすすめです。
使い分ける質問は、以下の通りです。
使い分けるべき質問
- はいまたは、いいえで答えられる質問
- 自由に答えられる質問
2種類の質問とは、はいまたは、いいえで答えられる質問と自由に答えられる質問を使い分ける方法となります。
はいまたは、いいえで答えられる質問
はいまたは、いいえで答えられる質問は、必ずしも2種類の返答になるとは限りません。
たとえば、「兄弟はいますか?」と聞かれて「弟がいます」と答えるように、決まった答えがある質問も該当します。
自由に答えられる質問
自由に答えられる質問とは、「自分のキャリアについて相談したいことがあるか」といった質問に対して、メンバーが自由に返答できるようにすることです。
キャリアについての質問は、はいまたはいいえで答える内容ではありません。
このように、2種類の質問を使い分けていくことにより、メンバーから少しずつ話を引き出していくといいでしょう。
将来のことを考えさせる
メンバーには将来のことを考えさせるようにして、前向きな話を引き出すことが1on1ミーティングのコツです。
1on1ミーティングをしている最中は、どうしても過去のことに注目してしまいます。
マネージャーはメンバーの仕事ぶりに対して言いたいことがたくさんあるものですが、ここで1on1ミーティングの目的を思い出しましょう。
1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーの信頼関係の構築や、組織運営の品質向上を目指して実施する対談です。
過去のことに注目してしまうと、メンバーに対して重箱の隅をつつくようなアドバイスをしてしまう可能性もあります。
過去に注目するのではなく、メンバーに将来をイメージさせる質問をすることで、どこに進むべきかが分かるようになるでしょう。
現在メンバーが関わっているプロジェクトに対する思いや、目標を達成するための具体的な対策など、将来に関する質問を投げかけてください。
過去の行動や学びを掘り下げる
1on1ミーティングで過去に注目する際は、メンバーの行動や学びを掘り下げるようにします。
プロジェクトで上手くいかなかった原因や失敗から得られた学びなど、メンバーからはなるべく話の本筋を聞いてください。
メンバーが失敗から得られた学びを話した際は、注意するだけではなく褒めることも重要です。
成功した体験を褒めるだけではなく、失敗から得られた学びに注目することにより、メンバーは次の仕事に対する意欲が高まります。
1on1を導入している他社の事例を確認しよう
時代の変化に対応するために、現在多くの会社が1on1ミーティングを実施しています。
ここで他社の事例を参考にして、1on1ミーティングを自社にも取り入れるといいでしょう。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、1on1ミーティングを実施することによりマネージャーとメンバーがフランクに対話できる場を提供しています。
定期的な1on1ミーティングの運用により、自分の意見を先に伝えることが多いという事実に気がつくため、マネージャー側にとっても学びが多い対話です。
複数のプロジェクトを兼任している場合、目の前の業務に集中してしまうことが多くあります。
しかし、1on1ミーティングで一人ひとりに相談しながら進めていった結果、プロジェクトの全体像を俯瞰して見ることができるようになりました。
1on1ミーティングは、メンバーの成長だけではなく、マネージャーにも成長の機会を与えるシステムです。
株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社ディー・エヌ・エーでは、社員のキャリアアップを図るため、1on1ミーティングを定期的に実施しています。
株式会社ディー・エヌ・エーでは、1on1ミーティングで話す内容はプライベートな内容となるため、会議室の需要がありました。
しかし、同じ部屋を使用する社員が多くなると、会議室がどれだけあっても足りないといった課題に悩まされます。
そこで、1on1ミーティングで話す内容が外に漏れないテレキューブ(小規模会議スペース)を採用して、プライバシーの保護に努めました。
テレキューブは室内で2人座っても十分な空間があるため、息苦しさを感じないメリットや効果があります。
毎週実施する1on1ミーティングでは、アイディアやこれからやっていきたいことなどを話すことで、価値のある時間を過ごしています。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社では、6,000人の社員に対して1on1ミーティングを実施しています。
会社で実施する面談は、メンバーの仕事に対するアドバイスや、目標達成の進捗確認などが一般的です。
しかし、ヤフー株式会社では、1on1ミーティングはあくまでもメンバーのための時間であることを、会社がはっきりと定義しています。
ヤフー株式会社で実施される1on1ミーティングでは、マネージャーがメンバーの気持ちや結論を決めつけることはありません。
1回30分の1on1ミーティングではあるものの、その時間を使ってメンバーの思いを引き出したり、問題解決のサポートをしたりするのです。
1on1ミーティングを通して学ぶのはメンバーだけではなく、マネージャーもフィードバックの方法を身につけていきます。
指導の仕方が分からなくて、メンバーの結論を決めつけたり上から目線の発言をしたりしてしまった経験があるでしょう。
正しい指導の方法を学ぶには、まず指導する側がその方法を学ぶことが重要となります。
また、ヤフー株式会社では、1on1ミーティングを実施する頻度にも注目しています。
3カ月に1回1時間の対話をするより、毎週15分の対話を続けていった方がいいと考えており、今では6,000人の社員が参加する面談となりました。
まとめ|1on1ミーティングには6つのメリットがある
1on1ミーティングのメリットや効果、課題をお伝えしましたが、メリットの方が多いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
実施する際はしっかりと目的意識を持つことにより、「何のための時間なのだろう」といった虚しさがなくなるはずです。
また、1on1ミーティングで実施した内容はメモをして振り返り、頭にインプットさせるといいでしょう。