マネジメントスキルとは
マネジメントスキルは端的にいうと管理する能力です。
ビジネスでは経営にかかわる資源を管理する力といわれています。
管理する対象はヒト・モノ・カネ・時間・事業全体・プロジェクトなどがあります。
役職などによって管理する領域や範囲は異なるため、役職に適したスキルの習得が重要です。
マネジメントの必要性についてくわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
https://revii.jp/article/member-management/
リーダーシップスキルとの違い
マネジメントスキルとよく比較されるものにリーダーシップスキルがあります。
リーダーシップスキルはマネジメントスキルの一部です。
リーダーシップスキルはメンバーに進むべき方向性を示して、目標に向かっていく能力です。
マネジメントスキルはさまざまな資源を活用し包括的にアプローチする力といえます。
マネジメントに必要なスキル一覧
マネジメントに必要なスキルをカッツモデルを参照して紹介します。
カッツモデルとは、アメリカの経済学者のロバート・カッツ(Robert Lee Katz)氏が提唱した、役職ごとに求められるスキルの割合を示したモデルのことです。
今回は部長や課長などから経営層までに必要なマネジメントスキルを想定して紹介します。
カッツモデルでは以下の3つのスキルが必要とされています。
マネジメントに必要なスキル
- コンセプチュアルスキル
- ヒューマンスキル
- テクニカルスキル
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルはあらゆる事象の本質を理解して判断するための能力です。
例えば複数の対象に関して、共通項を抽出し概念点を見極めるなどです。
コンセプチュアルスキルは経営者層には特に重要とされている力ですが、管理職層にもあるといいとされています。
コンセプチュアルスキルを構成しているものは以下があげられます。
コンセプチュアルスキルを構成するもの
- ロジカルシンキング
- ラテラルシンキング
- クリティカルシンキング
- 多面的視野
- 柔軟性
- 知的好奇心
あらゆる事象の共通項を洗い出すには、視野を広く持ち論理的な思考で内容を整理する能力が必要です。
また、固定概念にとらわれず自由に考えたり、あえて懐疑的に観察したりできると、概念を捉え本質を見抜けます。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは対人関係を築く能力です。
人とスムーズなコミュニケーションを取り、信頼関係を構築・維持するためのスキルです。
ヒューマンスキルは経営者層も管理者層も共通して必要なスキルとされています。
ヒューマンスキルは以下の要素で構成されています。
ヒューマンスキルを構成するもの
- リーダーシップ
- 動機付けする力
- コミュニケーション力
- プレゼンテーション力
- ヒアリング力
- 交渉力
人を管理し先導するにはリーダーシップスキルを発揮して、メンバーやチームを目標に向かって推進する力が求められます。
またメンバーの考えをまとめるために傾聴し、必要に応じて人を動かすためにプレゼンテーションや交渉する力もヒューマンスキルに含まれます。
テクニカルスキル
テクニカルスキルは業務を遂行する能力です。
業務を完遂させるために必要なスキルで専門知識・技術など実践的なものです。
テクニカルスキルは、現場で動くメンバーや進捗管理を行うディレクターなどの管理者層に、重要なスキルとされています。
経営者層もテクニカルスキルがあるとマネジメントに役立ちますが、3つのスキルの中では求められる割合は比較的少ないです。
マネジメントスキルの身につけ方
マネジメントに重要なスキルはどのように身につけさせればよいのでしょうか?
ここからはマネジメントスキルの身につけ方を紹介します。
コミュニケーション力を高める
先ほどヒューマンスキルはマネージャーや経営層のどちらにも必要なスキルと説明しました。
その中でもコミュニケーション力は根幹をなす能力です。
なのでマネジメントスキルを身につけるためには、まずコミュニケーションスキルを高める必要があります。
コミュニケーションは日々無意識的に行われていることなので、改めて社内研修などで自身のコミニュケーション方法を振り返れる機会を設けるとよいでしょう。
状況把握する力をつける
状況を把握する力をつけるのはマネジメントスキルを身につけるために大事な要素です。
なぜなら、あらゆることの本質を理解し、課題解決のアクションを導き出すには適切な状況把握が求められるからです。
状況把握ができなければ、仮説を立てたり、複数の視点から考えたりするのは難しいです。
状況把握に苦戦しているマネージャーには、第三者から客観的な視点でフィードバックし気づきを与えられるようにサポートしてあげるとよいでしょう。
知的好奇心を向上させる
好奇心はものごとを探求しようとする根源的な心を指し、知りたいという欲求の原動力となるものです。
マネジメントスキルを向上させるための近道は、管理する対象、つまりメンバーや業務についてより一層の興味を持ってもらうことです。
メンバー1人ひとりに対して興味をもち、どのように接するのが最善なのかを考えることがマネジメントスキルの定着につながります。
マネジメントスキルを高めるには
現在身についているマネジメントスキルをさらに高めるには、その役職より上の役職で役に立つスキルに目を向けさせましょう。
例えば部長や課長の場合は経営層に必要なコンセプチュアルスキルに目を向けさせるなどです。
既に備わっているマネジメントスキル以外にも着目してもらうためには対象者の視点を広げる必要があります。
視点を広げるのに役立つ方法を2つ紹介します。
ポジションチェンジ思考の活用
ポジションチェンジとは自分とは違う立場の人の視点で事象を考えることです。
例えば自分の立場だけでなく、顧客や取引先などの視点に立って、思考を巡らせることなどがあります。
立場の違う相手の視点で考えると、今まで見えなかったものや課題、共通項などに気づけるようになるのです。
ディズニーストラテジーの活用
ディズニーストラテジーとは、ウォルト・ディズニーがアニメーションへの夢を持っていた際に、次の3つの視点を意識して夢を実現したものです。
ドリーマー
ドリーマーは広い視点を持ち、周囲の人に夢を語る視点で豊かな発想でものごとを考えることです。
リアリスト
リアリストは想起した夢はどのようにしたら実現するのかを考える視点で戦略などを考える視点です。
批評家
構想を実現させるために考えた、具体的な計画に対し問題点やリスクを洗い出す視点です。
視野狭窄を防ぐためには欠かせません。
マネジメント能力がある人の特徴
マネジメント能力がある人は以下の特徴があります。
ぜひ人材発掘や育成にお役立てください。
- 事象をさまざまな視点から思考できる
- 人に仕事を任せられる
- 視座が高い
事象をさまざまな視点から思考できる
マネジメント能力がある人は、事象をさまざまな視点から思考できる人です。
繰り返しになりますがマネジメントには多角的な視点で考える力が求められます。
自分の意見に柔軟性がある人は、さまざまな視点から思考できる素養があると考えられます。
自分の意思がありながらも自分の意見に柔軟性がある人は、相手の立場を考えながら話を聞けるからです。
したがって柔軟な考えを持っている人はさまざまな視点で事象を把握できる人といえるでしょう。
人に仕事を任せられる
マネジメント能力がある人の特徴の2つ目は人に任せられる人です。
ビジネスの経験を積み成長していくと、できることが増えます。
できることが多いと、メンバーに任せるよりも自分で行ったほうが早いと考える人もいます。
しかし、いくら能力が高くてもすべての問題を自分1人で対応するのは難しいでしょう。
人に任せられる人は、周りと一緒に自らも成長できるため組織の力を高められるのです。
視座が高い
マネジメント能力がある人の特徴の3つ目は視座が高いことです。
視座が高いと今の役職より高い視点でものごとを考えられるため、全体を俯瞰して見えるのです。
視座が高いことはマネジメントする側になっても役に立つでしょう。
マネジメントスキルの誤った考え
マネジメントスキルについて正しいと思っていたことが、実は正しくなかったといった事例は少なくありません。
マネージャーの育成を成功させるためにも、次のマネジメントスキルの誤った考えを持っていないか念のため確認しましょう。
管理の側面のみを考える
マネジメントスキルに対して誤った考えがある人は、マネジメントを単にメンバーの業務管理をすればいいと捉えがちです。
メンバーの管理のみに重点をおいてしまうと本来の目的から逸脱してしまい、マネジメントスキルも伸び悩む恐れがあります。
メンバーの業務を適切に管理する心がけも大事ですが、メンバーと向き合うこともマネジメントには必要です。
自分が正しいと思い込む
自分が正しいと思い込むと、広い視点を持てないためマネジメントスキルの向上につながりにくいです。
経験が豊富な人はすぐに答えを導き出せるでしょう。
しかしその答えはあくまで、数ある選択肢のひとつにすぎません。
正解はひとつではないと認識し、さまざまなことに興味を持つように心がけましょう。
マネジメントスキルを向上させて、成果を出せる組織を構築しよう
いかがだったでしょうか?
役職によって、重要となるマネジメントスキルは変わってきます。
その点についてマネージャー自身では気づきずらい場合がありますので、第三者からこういったスキルが役に立つのでは、と提案できると組織全体のマネジメントスキルが向上していくでしょう。
ぜひ本記事の内容を活かして、マネジメントスキルを通じて成果を出せる組織を構築していってください。