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目標管理制度(MBO)とは?成功のポイントを分かりやすく解説

MBO(目標管理制度)はマネジメント手法の一つで、ピーター・ドラッカーによって提唱された概念です。さまざまな効果が期待できることから、導入を考えている企業も多いかもしれません。

そこでこの記事では、MBOの意味やメリットデメリット、成功させるためのポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

MBO(目標管理制度)とは

MBOの正式名称は「Management by Objectives and Self Control(目標と自己統制による管理)」で、日本では「目標管理制度」とも呼ばれています。社員一人ひとりが組織目標とリンクした個人目標を設定し管理することで、業績アップなどを目指すというマネジメント手法です。
経営学の父と呼ばれるアメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーによって提唱されました。

正式名称で「Self Control」とつくように、強制的にやらされるのではなく社員自身が目標を決めるという点が一番の特徴です。会社や上司による命令ではただのノルマになってしまう可能性があるため、社員自身が自発的に働けるような組織にしていくことが理想です。
自ら行動することが、主体性やモチベーションの向上というメリットにつながります。

OKR(Objectives and Key Result)との違い

MBOに似ているマネジメント手法として、OKBがあります。「Objectives and Key Results(目標と成果指標)」の略称で、個人と企業の目標をリンクしたうえで目標の設定や追跡、再評価を高い頻度で行うという手法です。

違いとしては、MBOは個人目標である一方で、OKRは組織目標であるという点です。
MBOは、人事評価や給与と結び付くことの多い個人目標です。そのため柔軟に評価しやすいマネジメント手法であり、理想となる目標の達成度は100%です。
一方、OKBは組織全体の方向性を決める大きな目標を設定したうえで、個人で達成すべきことを考えます。難易度の高いチャレンジングな目標を設定することが多く、原則報酬制度とも関係がないので、達成率は60~70%程度が理想とされています。

他にも、目標の共有範囲や評価の頻度など、細かな違いがあります。OKRに関しては以下のコラムでも解説しているので、併せてお読みください。

MBOの種類

MBOは3種類に分けられます。

組織活性型

組織の活性化が目的なのが「組織活性型」です。社員に目標を設定させることで、組織全体の成長を促します。
日本企業においてオーソドックスな方法とされています。

人事評価型

「人事評価型」は、人事評価をより効率良くすることが目的です。目標の達成度・プロセスを人事評価に加味し、個人のスキルアップと人事評価の効率化を達成します。

課題達成型

「課題達成型」は、企業の目標達成が目的です。他のMBOとは異なり集団目標が中心で、年間売り上げなどに合わせて個人の目標設定をします。

MBOのメリット

多くの企業で実施されているMBOですが、実際どのような効果があるのでしょうか?
具体的なメリットについてお伝えします。

組織と個人の目標が同じ方向性で統一できる

成果を最大限にするには、組織目標・個人目標が同じ方向性であることが重要です。
MBOでは、組織の目標に基づいて社員が自ら個人目標を設定します。会社やチームと個々の目標を統一し、一丸となってゴールを目指せるというメリットがあります。

社員の主体性が向上する

社員が自ら目標を立てることが、MBOの特徴です。つまり、会社や上司に強制されるのとは異なるため、社員の主体性が向上します。
達成に向けて必要なものは何か、どのように行動すべきかを一人ひとりが考えることで、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

社員の育成につながる

社員は設定した目標の実現に向けて行動するため、能力の開発や育成につながります。
必要となる知識や技術を習得したり、自らを管理したりすることにより、個々のスキルアップが図れます。

社員のモチベーションが向上する

設定する個人目標は、組織の目標とリンクしています。達成すれば組織に対する貢献で自信が生まれるため、社員のモチベーションが向上します。
さらに、一方的に指示されるのではなく自ら設定するものなので、「やらされている感」の軽減もモチベーションをアップする要因となります。

人事評価が容易になる

MBOは、設定する目標とその結果が明確で分かりやすいです。人事評価型の場合、目標の達成度・プロセスを評価の基準に反映することで、人事評価が容易になります。

MBOのデメリット

多くのメリットがあるMBOですが、場合によってはいくつかのデメリットが発生する可能性もあります。

チームワークが乱れる可能性がある

「自分さえ達成すればいい」と捉え、個人の成果だけに固執してしまうと、協調性が失われます。
結果チームワークが乱れ、個人主義的な雰囲気になる可能性があります。

社員のモチベーションを低下させることがある

MBOのメリットは社員のモチベーションを向上させる点ですが、逆に低下させてしまうこともあります。例えば、自主性が無視され実力に見合わない目標を勝手に決められてしまう場合、意欲が下がるでしょう。
逆効果とならないよう、管理職による適切なフィードバックで導くことが必要となります。

職種によっては目標設定が難しい

職種によっては、目標設定が難しいというデメリットがあります。例えば、事務職などは成果を数値化しにくく曖昧になりやすいため、どう行動すべきか、結果に対してどう評価をするか、といったことが難しくなります。

時代の流れに対応しにくいことがある

不確実性の高い現代において、企業の経営方針を柔軟に変える対応が求められるケースも。
しかしMBOは通常、目標設定から評価までのスパンが1年です。そのため、当初設定した組織目標を時代の流れに合わせて変更することがあり、併せて個人目標も変えなければいけません。手間がかかるうえ、評価も複雑になるでしょう。

目標達成だけを意識しやすい

人事評価型では人事評価に影響することから、目標達成だけを意識しやすいです。簡単に達成できる低い目標だけを立てたり、関係のない業務をやらなくなったりするリスクがあります。
目標設定の難易度は上司がチェックする、目標に関係のない業務を評価基準に含めるなどの対策が必要です。

管理職の負担が増える可能性がある

MBOは、目標を設定したら終わりではありません。管理職が個々の社員に対し、定期的に評価やフィードバックを行う必要があるため、管理職の負担が増えやすいです。
また、評価の内容によっては社員のモチベーションが低下してしまうので、評価者として精神的なストレスを感じる可能性もあります。

MBOを実践する際の流れ

次に、MBOを実勢する際の流れを4つの手順に分けて、簡単にお伝えします。

適切な目標を設定する

まずは、適切な目標の設定です。組織目標を十分に理解したうえで、社員一人ひとりに目標を設定してもらいます。
管理職は、会社の理念や利益に沿っているか、個人のレベルに合った適切な目標かといった点を確認し、必要に応じて修正します。

目標達成に向けて計画する

目標の設定ができれば、次は達成までの計画です。期日から逆算し、無理なく達成できる行動プランを考えます。
目標管理シートとして、Excelやスプレッドシートなどを活用しましょう。

軌道修正しながら計画を実行する

計画が練れたら、実際に実行します。
期日までのスケジュールや達成度をチェックしつつ行動し、問題があれば上司に相談して軌道修正を行います。

目標達成の状況を振り返り評価する

期日になったら、目標達成に関して振り返り評価します。
結果はもちろん、そこに至るまでのプロセスについても共有し、部下自身による自己評価と上司による客観的評価、フィードバックを行います。

MBOを成功させるためのポイント

次に、MBOを成功させるための7つのポイントをお伝えします。

社員の自主性を尊重する

MBOは、社員が目標を決めるという点が大切なポイントです。会社や上司が社員の目標を設定するとただのノルマになり、主体性やモチベーションの向上につながりません。
管理側は計画の軌道修正を行ったり、進捗を管理したりなどのサポートに徹しましょう。

具体的で分かりやすい目標にする

MBOは、評価者による客観的な評価が必要です。しかし、「効率化に向けて努力する」「売り上げをアップする」といった曖昧な目標では、どう評価すべきか判断が難しくなってしまいます。
管理側の判断を下しやすくするのはもちろん、評価に対して社員が納得できるよう、具体的で分かりやすい目標にしましょう。

高すぎたり低すぎたりしないレベルの目標にする

目標のレベルが高すぎると、達成が困難になりモチベーションも低下します。一方、低すぎても社員の成長が見込めません。
努力をすれば達成できるような、適切なレベルの目標を設定するのが大切です。

目標達成の期限を設定する

目標達成の期限を設定することも重要なポイントです。タイムリミットがないと行動に移しにくくなり、結果につながりません。
期日をしっかりと決めたうえで計画を練りましょう。

目標達成に向けた具体的な行動を決めておく

できるだけ具体的で分かりやすい行動を立てるのが重要です。
目標を適切に設定できたとしても、計画が曖昧だと効果を発揮しません。どのように取り組めばいいのか分からず、結果につながらない可能性があります。

定期的に振り返る

MBOのスパンは、目標設定から評価まで1年であることが多いです。期間が比較的長いため、取り組みが疎かになったり、気づいたときには達成が難しくなっていたりする可能性もあります。
導入する場合、 1on1ミーティングなどの目標や進捗を確認できる場を設け、定期的に振り返りを実施しましょう。

成果だけでなくプロセスも評価する

目標達成だけを重視すると、個人の成果に固執してチームワークが乱れたり、目標に関係のない業務を行わなくなったりする可能性があります。
そのためMBOは成果だけでなく、プロセスについても評価することがポイントです。

まとめ|MBOを導入するならポイントを押さえて正しく運用しよう

MBOは、社員一人ひとりが組織目標とリンクした個人目標を設定するマネジメント手法です。デメリットもありますが、正しく運用すれば社員の成長やモチベーションの向上などのさまざまな効果を発揮します。
導入を考えている場合、ご紹介したポイントを参考にしてみてください。

振り返りで1on1を行うならrevii(リービー)

MBOで定期的な振り返りをする際に活用できるのが、1on1ミーティングです。一対一という気軽に話しやすい場で、個人目標や進捗を確認できます。
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reviiは、1on1での様子や発言を分析することで、メンバーのコンディションやモチベーションを可視化します。さらに、適切なフィードバックや学習コンテンツといったサポートにより、より良い1on1を実施できるようになります。
MBOでの定期的な振り返りで1on1を行う際は、ぜひ活用してみてください。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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