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1on1導入による育成の効果を実感できない企業が抱える課題と対策

1on1ミーティングによる育成の効果を十分に感じられているでしょうか。

残念ながら、1on1ミーティングの継続を事実上やめてしまった企業が1部にあるようです。

ビジネスの世界はもちろん、それ以外の世界でも知られるようになってきた1on1ミーティングは、これからの時代に必須のマネジメント手法と言っても過言ではないでしょう。

1on1ミーティングなどを用いてのメンバー育成が企業に求められる一因は少子化

多くの企業が、メンバーの育成を急務と考えています。

少子化により、国内の労働力が減っているのです。
そのためあらゆる業界、企業で人材が不足しており、人材を育成して生産性を向上させることが求められています。
各企業の人材への需要は高まるばかりです。

少しずつ少子化が進行する中、さらに以下の社会的な状況も加わってきました。

  • VUCA(ブーカ)
  • 終身雇用制の崩壊
  • 価値観の多様化
  • 働き方改革

生産性アップ

労働力が減少してきたことから、メンバー1人当たりの生産性アップを考える企業が増えてきます。

たしかに、高い生産性を期待できる人材をリクルートにより集めることも、環境に適応するための手段の1つです。

しかし、優秀な人材には、いずれの企業もとりわけ熱い視線を送っています。
優秀な人をメンバーの1人として自社に迎え入れることも、相当に難易度が高くなっているのではないでしょうか。

現状のメンバー1人当たりの生産性を上げることが、多くの企業に求められるようになってきました

環境の変化に対応できる人材

変動が大きく、先の見通しが難しいVUCAと呼ばれる時代に入りました。
リモートワークが拡大することなど、10年以上も前の時代に誰が予測し得たでしょうか。

日ごと月ごとに絶えず進歩を続ける技術も、発展の方向性やスピードについては、誰にも予測は不可能です。

そのうえ、少子化という条件が前提としてあります。

環境の変化に対して的確に対処できる人材を、自社で育成していく割合をこれまでより大きくせざるを得ないと考えるべきでしょう。

1on1ミーティングの実施で、メンバーは自身が所属する企業・組織・チームなどが、現在どういった環境に置かれているのかを知るようになります。
マネージャーが、メンバーに直接それについて伝えるからです。

1on1ミーティングが実施されるようになる以前でも、会議やミーティングなどで現在置かれている環境についての伝達があるかも知れません。
しかし、1対1の状況下で直接言われるのとでは、迫真力に大きな差があるでしょう。

1on1ミーティング終了後でも、メンバーは環境について自然と深く考えるようになります

人材の流出を防止

企業は、人材の流出を防ぐための施策を打たなければならなくなりました

少子化が進む中、終身雇用制度が崩壊し、価値観が多様化。
さらには、働き方改革が推進されるようにもなりました。

育成したメンバーが簡単に退職するようでは、企業にとっての大きなマイナスでしょう。

戦力ダウンのみならず、育成には貴重な時間や費用もかけたはずです。
新たに人材を迎え入れ、育成の費用を投じなければなりません。

人材を募集するにも、費用が生じます。

さらなる時間を要するのも、もちろんです。

企業が掲げる理念への共感

少子化は、各企業が目指すべき方向に、各メンバーのベクトル(考え方の方向性)をそろえることも迫っています

毛利元就の逸話“三本の矢の教え”については、あえて説明の必要はないでしょう。
個々のメンバーが違った方向を向いているようでは、企業が目的としている理念を達成するまでの過程が、非常に非効率とならざるを得ません。

達成までの時間のみならず、メンバー1人ひとりが要する労力もまったく違ってきます。

1on1ミーティングのアジェンダ(検討するべき課題)を、企業の理念に設定するときがあってもいいでしょう。

育成の効果を感じられない企業の1on1ミーティングに潜む問題点

1on1ミーティングによる育成の効果を実感できている企業は、多く存在しています。
育成効果を実感できていない企業には、何か理由があるはずです。

ビジネスに限らず、理由を突きとめ、改善策を講じるのが近道ではないでしょうか。

次に、実感を妨げている要因となっている可能性の高いものを紹介します。
自社に当てはまるものが見つかったときには、対策法も続けて紹介しています。

1人のマネージャーが管理するメンバーの数

担当するメンバーの数が、マネージャーが許容できる範囲を超えて多くなってはいないでしょうか。

1on1ミーティング1回にかける時間を、30分ほどとしている企業が大半です。

20人のメンバーを担当しているマネージャーが週に1度の1on1ミーティングを実施するには、10時間/週の時間を確保しなければなりません。
1週間のうち1日以上の時間を、週に1度の1on1ミーティングに費やす計算になます。

1on1ミーティングの効果が出る以前に、負担の大きさを感じるようになってしまっても不思議ではないでしょう。

効果が出るまでにはある程度の時間を要するのが1on1ミーティングですが、実施率の低下どころか、実施しなくなる可能性すら出てきます。

育成からは的を外した会話

いわゆる雑談です。
双方がリラックスするために、1on1ミーティングの冒頭でアイスブレイクを推奨するケースは少なくありません。
アイスブレイクは緊張した堅い雰囲気をアイス、つまり、氷にたとえた言葉です。
身近な話題による会話などで、堅い雰囲気を溶かすのです。
ところが、アイスブレイクのまま終始してしまうケースがあります
特にマネージャーとメンバーの仲がよく、どちらも1on1ミーティングの目的について理解が不十分なときに、このケースが生じやすいようです。

マネージャーのコミュニケーション能力が不十分

1on1ミーティングでは、マネージャーのコミュニケーションスキルが非常に重要です。
これが不足していることも、1on1ミーティングが雑談の時間になってしまう要因となります。

雑談になってしまうと、マネージャーはメンバーの本音をうまく引き出せません。

メンバーの真意を引き出すために不可欠なものとして注目されているのが、マネージャーの傾聴力です。

1on1ミーティングで主役となるべきは、メンバーです
主役であるはずのメンバーの話が少なく、マネージャーの話す時間が多いときに、育成には直接結びつかない会話のみで終わるケースが見受けられます。

1on1による育成ですべてのメンバーを優秀な人材とすることへの固執

かつて理想とされた育成の方法にこだわる企業が、いまだに存在しています。
誰しもが優秀と認める人材の理想形を目指して、かつては多くの企業がすべての従業員を育成していました。

ところが、今は個性を大切にする時代です。
個性の伸長こそが、変化の激しいVUCAの時代で生き残っていくためのイノベーション(革新)を実現できると考えられています

いかに1on1ミーティングが育成に効果的なマネジメント手法であったとしても、目指すべき方向が的を外しているようでは、時代から取り残されるのみでしょう。

マネージャーとメンバー間の信頼感

信頼感を築けていないマネージャーとメンバーで1on1ミーティングを実施しても、プラスの効果は見込めません。
1on1ミーティングが、メンバーの精神的な負担となる可能性が高いからです。

残念ながら、メンバーは本音を言えないのです。
メンバーにとっては1on1ミーティングが、マネージャーが望んでいるであろう回答を探す時間と化してしまいます

本来の1on1ミーティングは、メンバーのための時間です。
これでは、メンバーにとって不必要な時間としか、表現のしようがないでしょう。

ティーチングばかりでコーチングをしないマネージャー

ティーチングとコーチングは、どちらもコミュニケーションの1つです。

1on1ミーティングで、コーチングはほとんどすることなく、ティーチングに多くの時間を割くマネージャーが1部にはいます。

マネージャーは、メンバーより経験の豊富なケースが大半でしょう。
ティーチングに偏重する傾向にあるのは、それが原因です。

しかし、メンバー育成の効果を期待できないのはもちろんです。
そのうえ、メンバーからの信頼もなくしてしまいます。

ティーチングスキルとコーチングスキルの違いについては、次の記事に詳しい説明があります。
参考:『1on1ミーティングで必要なスキルとは?スキルの磨き方もご紹介

1on1ミーティングのログ(記録)が未保存

1on1ミーティングでの会話の内容をすべて正確に記憶するのは、いくら記憶力のいい人でも難しいと考えるべきでしょう。
人間の記憶は、不正確であいまいです。

嫌なことやつらいことを、いつまでも忘れずにいたとしたらどうなってしまうか。
想像したことはあるでしょうか。

精神的に疲弊したあげく、心を病んでしまいます。
忘却は人間にとって、なくてはならないものだったのです。

とはいうものの、1on1ミーティングの効果を上げるうえで、忘却はマイナスに作用します。

メンバーの育成も、正確なログがあればこそでしょう。
メンバーの正確で細かな成長のログがあるからこそ、緻密に育成の方針を考えることが可能となります

マネージャー以外の役職者から、貴重なアドバイスをもらえることもあります。

そもそも、あいまいな記憶に基づいた1on1ミーティングでは、メンバーからの信頼を得られません。
1on1ミーティングは、メンバーのためでなければならないのです。

その前提が、崩れてしまいます。

低い1on1ミーティング実施率

高い頻度で実施するのが、1on1ミーティングです。

評価の面談時と同様に、1年に数回の頻度で1on1ミーティングを実施したとしましょう。
マネージャーと話す機会の少ないメンバーは、1on1ミーティングで不要な萎縮や緊張をともなうようになります。

これでは、心を開けるはずもないでしょう。
心を開けないメンバーが、マネージャーに悩みを相談することもありません。

メンバーが問題を抱えていても、日ごろからマネージャーに相談できていないため、トラブルを未然に防げないのです。
メンバー自身への評価や、与えられる業務のミスマッチに対する不満や悩みをメンバーは、打ち明けられません。
メンバーのエンゲージメントやモチベーションが、上がるはずもないのです。

育成の目的も、達成は難しいでしょう。

育成の効果が感じられない1on1ミーティング改善のための施策

問題点には、対処するための施策があるものです
日本で導入が進みはじめて10年以上が経過する1on1ミーティングでも、さまざまな施策が先だちにより考えられてきました。

紹介した問題点それぞれを改善するための施策を、以下で紹介します。

管理するメンバー数の適正化

マネージャー1人に対して、メンバーはできれば10人以下とするのが理想です。

1人のマネージャーが、直接的に管理しているメンバー数や業務の範囲を“Span of Control”と言います。
日本語では“管理の限界”というこの概念では、一般の事務職では5~7人ほどまでを理想としています。

この概念を考えに入れずに、1on1ミーティングを導入・実施するのはよくありません。
念入りな1on1ミーティングは不可能となります。

マネージャーとメンバー間のコミュニケーション活性化はかないません。

メンバー育成の効果を高め、マネージャーをさらなる忙しさから開放する意味でも、Span of Controlの考え方を取り入れるのがいいでしょう。

育成につながる話題を1on1ミーティング実施前に決定

育成につながる話題を1on1ミーティングの実施前に決めてしまうと、的を射た1on1ミーティングが可能となります。

しかし、注意点もあります。

意識的にプライバシーを話題にするケースは、たしかにあるでしょう。
それでも、その際は信頼感を高め合うのが目的ということをマネージャーはしっかりと認識しなければなりません。

詮索までになってしまわないよう、要注意です。

また、育成につながる話題は、1つのみではないでしょう。

自身が属し、日々目にしているチームです。
感じていることは、1つや2つではないはずです。

業務上の経験をリフレクション(振り返り)するのもいいでしょう。

以前の1on1ミーティングで設定した目標に対して、メンバーが現在どれくらいの位置にいるのか。
それについて考えるのも、育成には欠かせません。

現在の位置がかけ離れているようであれば、そうなっている原因を話題にしてみるのはいかがでしょうか。

さらに、メンバーの悩み相談に、マネージャーが応じてあげるのも1つです。
1回30分の1on1ミーティングなら、これらの話題のいくつかを時間を決めて取り上げられるでしょう。

マネージャーのコミュニケーション能力アップ

マネージャーはまず、メンバーの話を傾聴することに務めてみてはいかがでしょう。
メンバーが話しはじめても、それをさえぎるかのような話の進め方をしてはいないでしょうか。

また、質問のしかたも、メンバーの真意を引き出せるか否かに関わってきます。

大切なのは、マネージャーがメンバーの話を心から聞きたいと思うことです。
そのためにも、通常の業務中からメンバーに関心を持つようにするのがいいのではないでしょうか。

ほかにも、話し相手の真意を引き出すためのノウハウを教えてくれる研修があります。
多少の費用はかかりますが、検討の価値は十分にあるでしょう。

メンバー個々の個性を伸長する育成

かつての画一的な育成の方法にいつまでも執着する企業は、すぐにでも方針を転換させることが推奨されます。

ましてや、ゆとり世代の人たちが今後は増えてくるのです。
仕事においても、メンバーの個性や好きなことを生かすことで、より高い効果を見込めるでしょう。

ゆとり教育がはじまったのは2002年。
それまでは、多くの知識を暗記させる詰め込み型の教育でした。

入社してくる人たちに合わせて、企業も変化するべきではないでしょうか。

コーチングの比重アップ

マネージャーはメンバーより、多くの経験を積んでいるケースがほとんどではないでしょうか。
1on1ミーティング中のコーチングは、少なくなりがちです。

コーチングの量を、意識して増やしてみるがいいでしょう。

メンバーに気づかせるのがコーチングで、知識を授けるのがティーチングです。

コーチングをする上で大切なのが、やはり傾聴力です。

そして、傾聴するためには共感を示すこと欠かせないとする考え方がある一方で、共感の姿勢は示さないほうがいいとする考え方もあります。

特に、解決に向けた唯一の方法論が科学的に確立されていないものについては、共感の姿勢は示さないほうがいいのかも知れません。

複数の方法論がある中で、メンバーがそのうちの1つを実践していることを1on1ミーティングで話しはじめたとします。
それに共感してしまうと、そのほかの方法論を否定することになってしまうからです。

例えば、「朝食は食べたほうがいい」とよく言われます。
医学的な説明で、朝食を推奨する書籍やネット記事は少なくありません。

しかし、それを否定する医学博士もいます(参考:『「朝食は1日のなかで最も大切な食事」という常識は科学的にはウソである』)。

1on1ミーティングのログ保存

あいまいなマネージャーの記憶を元にしたティーチングやコーチングに、メンバーが素直に耳を傾けるはずはないのです。

回り道のないまっすぐな育成に、正確な成長の記録は欠かせません

ただし、不可欠とはいうものの、保存には手間がかかります。
手間を少なくログを保存するには、1on1ミーティングに特化した専用ツールの導入が推奨されますが、費用をかけずに、自社で定型シートを用意している企業もあります。

シートは紙媒体で作成するよりも、エクセルなどを使ってマネージャーとメンバーに記入させるほうがいいでしょう。
実施前にアジェンダ、つまり、話題を決めて1on1ミーティングに臨めるような定型シートなら、次図のチェック項目(アジェンダ)欄の部分を空欄とした簡単なもので問題ありません。

1on1ミーティング実施率の向上

突然1on1ミーティングをキャンセルしなければならなくなっても、再実施するようルール化してしまうのがいいでしょう。

それでも導入から2年目くらいになり、特に育成の効果を感じていないチームでは、状況に変化が見られるようになるかも知れません。
1on1ミーティングそのものの実施率が下がってくるチームが出はじめるのが、2年目に入ったくらいの時期です。

さまざまな対策を講じて、実施の状況や満足度などのデータを取ることが大切です。

1on1ミーティング専用ツールなら、部署やマネージャーごとに実施率などの詳細なデータを可視化できます。

専用ツールを導入していない企業では、アンケートの実施で1on1ミーティングの実施率や満足度を測ってみるのはいかがでしょうか。
Googleフォームを使えば、無料で手軽にアンケートフォームをつくれます。

育成の効果を十分に感じてもらう以上に、1on1ミーティングの実施率を上げられる方法はほぼないと考えていいでしょう。

そして、育成の効果が感じられるような1on1ミーティングの実施には、内容や日程などの効率的な管理に加え、マネージャーやメンバーの十分な理解につきます

1on1ミーティングでメンバー育成の実現を感じている企業

いずれも、全国的に知名度の高い企業ばかりではないでしょうか。

1on1ミーティングを導入している企業数は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した調査では、対象とした企業のおよそ70%を占めるまでになりました。
そのおよそ60%、つまり、全体のおよそ40%が1on1ミーティングを3年以内に導入しています。

これらのきっかけをつくったのは、1つ目に紹介しているヤフー株式会社でした。
参考:『1on1ミーティングに関する実態調査』

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社の1on1ミーティングに対する積極的な姿勢は、よく知られています

導入の当初

当初はマネージャーとメンバーのコミュニケーションを促進することを目的として、1on1ミーティングを導入しました。
育成の目的は、なかったのです。

導入した当初には、マネージャーの1on1ミーティングに対するスキル(技能)の不足が、多くの場面で見受けられました。

また、時間がないことを理由に、現在ほどの積極的な姿勢は見られませんでした。

1on1ミーティングに対して本間氏は、「懐疑的だった」とも書籍内で語っています

工夫を施した結果

ところが、1on1ミーティングの研修をマネージャーに実施したところ、コーチング・ティーチング・フィードバックのスキルが向上します。
2015年には、パートナー関係の株式会社リクルートマネジメントソリューションズとともに、“1on1サポートプログラム”と呼ばれるスキル研修を同社は開発しました。

2022年3月31日時点で、7,597名もの従業員が同社で働いています。
現在では、従業員のおよそ90%に対して、30分ほどの1on1ミーティングが、隔週1回以上のペースで実施されています。

経験学習モデルのサイクルを効率よく回すために、同社が1on1ミーティングを存分に活用している点については参考になるでしょう。

経験学習モデルについては、次の記事に詳しく書かれています。
育成に効果的なリフレクションが注目の的!やり方もくわしく解説

楽天グループ株式会社

有名な楽天市場を中核とする、インターネット関連サービスを提供している企業です。

ヤフー株式会社と同様で、IT企業です。
置かれた環境が、随時激しく変化します。

同社では2017年から、1on1ミーティングを全社的に導入・実施しています。
当時は商号を楽天株式会社としていた同社を単体(連結ではない)で見た場合、翌2018年の従業員の数はおよそ6,000でした(2022年12月31日現在⇒単体で8,409)。

その人たちが1週間に就業していた総時間のうち、5,000時間が1on1ミーティングに費やされていたのです。
同社が、1on1ミーティングを非常に重要なものとして、位置づけていたのがわかるのではないでしょうか。

“メンバーに考えさせる場”として1on1ミーティングを導入した同社が、はじめから育成の効果に期待を寄せていたのは明らかでしょう。

メンバーへの指導をNGとしている点でも、育成を現在も主な目的としているのがわかります。

パナソニック株式会社

“経営の神様”とも呼ばれる松下幸之助氏が同社を創業したのは、あまりにも有名な話です。
日本を代表する企業の同社も、みずからで運営しているサイト内で、1on1ミーティングの育成に対する効果を重要視していることを書いています(参考:『1on1ミーティングとは? 人材を活かすメリットと効果的な進め方も合わせて解説!』)。

人事を担当する大橋智加氏が、1on1ミーティング導入の意志を社内に伝えたのは、2017年の秋でした。
2か月から3か月の検討を経たのち、翌2018年には導入が決定しました。

わずか半年ほどのスピード決定が実現したのも、1on1ミーティングによる育成の効果が、大橋氏の熱意もあって伝わったのでしょう。

家電メーカーの同社に勤める大橋氏は、現代をビジネスモデルが見えにくい時代と考えています。
さまざまな顧客の心の内を、深く考えなければならないというのです。

それを実現するためには、同社には当時欠けていた組織内の自由な発言が不可欠と大橋氏は考えました。
1on1ミーティングで、まず組織内の心理的な安全性を確保。

本来の目的だった深い考えのできる従業員の育成を、その次に実現することを考えたのです。

SBテクノロジー株式会社

IT企業として有名なソフトバンク株式会社の連結子会社です。

風通しのよさを求めて、1on1ミーティングを導入しました。

それだけに会話の内容は、業務に関することのみに制限していません。
私生活の悩みも相談できます。

実施のペースは、ひと月に1回。

一見すると、育成の目的はないようにも思えます。

しかし、同社は風通しのよさを公言しています。
メンバーには日々勤める会社を変えられるチャンスが、1on1ミーティングの機会に与えられているとも考えられないでしょうか。

「会社がよくなってくれるのなら」と、さまざまなことを1on1ミーティングに備えて考えるようになるのは必然でしょう。

メンバー自身で考えられるようになれば、即座に判断して動いてくれるのです。
企業が、育成に期待しているプラスの効果と同じ効果を見込めます。

企業をあげての1on1ミーティングへのサポート

1on1ミーティングに、それなりの費用を投じることをためらわない企業が増えています。
企業の存亡を背負う従業員の育成に、高い効果のあることが各所で確認されているからです。

とはいうものの、企業が現状有しているリソース(資源・資産)のみで、高い効果のすべてを獲得するのは難しいのではないでしょうか。

そこで利用したいのが、1on1ミーティングのプロフェッショナルが提供するサービスです。

1on1ミーティング研修

従業員は会社の将来を背負う、いわば人材です。
人材を正しく育成するために、研修は欠かせない存在と考えるべきでしょう。

自社で、自社の風土に合わせた研修を設計するのも1つです。

しかし、研修そのものをつくり上げるところからはじめ、スケジュールの調整や研修の成果も検証しなければなりません。
規模の小さな企業は、通常の業務に影響が出かねない場合も多く考えられます。

各企業に研修を提供するビジネスもあります。
もちろん費用はかかりますが、時間に加えてプログラムの作成など、手間の削減も可能です。

以下は、費用の相場です。

  • 経営者・人事の担当者に向けて無料で開催されるセミナー⇒0円
  • 講師を招いて自社内で開催される研修⇒数十万円
  • 社外のセミナー会場などで公開される研修⇒数万円/1名
  • 数か月にわたりコーチングスキルを育成してもらうサービス⇒数十万円~数百万円

1on1ミーティング支援ツール

1on1ミーティングの効果は、たしかに大きいです。

ところが、特にマネージャーの負担を増やしてしまうなどの課題を指摘する声が、1部では上がっています。
徐々に実施の間隔が開き、形骸化している企業も少なくないようです。

1on1ミーティングは継続できてこそ、育成などの効果を期待できるのです。

そもそも、短期間で実現できる育成などありえません。

1on1ミーティングでの負担を軽減する目的で、1on1ミーティング支援ツールはつくられています。

効率化できるものを、以下で具体的にあげています。

  • メンバーの発言や様子の記録やAI分析(AI分析が可能な支援ツールは1部のみ)
  • 円滑な対話とするためのテンプレート
  • Slackなどの外部システムと連携することによる1on1ミーティング実施スケジュールの共有

この記事には、推奨される1on1ミーティング効率化ツール6つの解説があります。
1on1ミーティングツールおすすめ6選!特徴や選び方も徹底解説

まとめ 育成の効果を感じて1on1ミーティングを継続できている企業の仲間入り

1on1ミーティングが企業に大きな恩恵をもたらすことについて、あえて説明の必要はないでしょう。

その1on1ミーティングを継続できていないのは、企業にとってのマイナスとも考えられます。
「少子化への対応がうまくできていない」とも換言できるのではないでしょうか。

専用ツールの導入などは、マネージャーの一存では決めかねるかも知れません。
その際には経営者の理解も必要になってきます。

1on1ミーティングによる育成の効果は、成功例として紹介した企業のように全社的なサポートがあってはじめて実感できるのです。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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