1on1ミーティングが失敗する原因
1on1ミーティングの失敗にはさまざまな原因が考えられますが、いずれも1on1ミーティングの目的達成に向けたアプローチができていないことにいきつきます。
1on1ミーティングで達成すべき目的はメンバーがより効率よく業務を行えるようになることであるため、1on1ミーティングの失敗とは、1on1の実施がメンバーの業務の遂行能力アップにつながらないことといえます。
このことを踏まえ、1on1ミーティングのよくある失敗例の一部を紹介します。
原因1.マネージャーが適切にリードできない
マネージャーの経験や力量不足により、適切に1on1ミーティングをリードできないことが失敗原因として考えられます。
原則として1on1ミーティングはメンバーの話を聞く場ではありますが、うまく話を引き出すのはマネージャーの役割です。
「ただ聞くだけでいい」と考えてしまうと、話題がすぐに尽きてしまったり、雑談ばかりで核心的な話ができなかったりと、中身の薄い1on1ミーティングになってしまいます。
原因2.定期的に実施できない
1on1ミーティングは定期的かつ継続的に実施することで、少しずつ効果が出てくるマネジメント手法です。
不定期な開催を許してしまうと1on1ミーティングの重要度が下がり、どうしても日々の業務を優先してしまい、結果的に1on1そのものが自然消滅してしまいがちです。
原因3.議題が準備できていない
マネージャーとメンバーの双方が、毎回の1on1ミーティングに議題を持ち寄らなければ1on1はうまくいきません。
1on1ミーティングはそもそも対話を通じてマネジメントを行なう手法であるため、議題が無ければ進められません。
原因4.マネージャーとメンバーのモチベーションが低い
「会社から指示されたから」「マネージャーがやると言ったから」など、1on1ミーティングに対して参加者が積極的なモチベーションを持っていないことは、失敗する原因となります。
マネージャーとメンバーのどちらかのモチベーションが欠けても、1on1ミーティングを成功させることは難しいでしょう。
原因5.マネージャーが一方的に話をしてしまう
1on1ミーティングでマネージャーが自分のしたい話を一方的に話してしまうことも、よくある失敗要因です。
1on1はそもそもメンバーのための場であり、マネージャーが自分の話をする場ではありません。
相手の話を聞かなければ対話も不可能です。
マネージャーだけが気持ちよく話したあと、「よい対話ができた」と独りよがりになってしまっては、せっかくの1on1ミーティングが無駄になってしまいます。
原因6.1on1ミーティングをしても業務に変化がない
議題が1on1内で完結してしまい、普段の業務に具体的なアクションとして反映されなければ、その1on1ミーティングは失敗といえます。
1on1ミーティングの目的はあくまでメンバーの業務能力の向上です。
どんなに1on1内で有意義な対話ができたとしても、成果が業務に現れなければ意味がありません。
1on1ミーティングの失敗を避ける方法
あらかじめよくある失敗の原因を知り、対処法を把握しておくことで、1on1ミーティングの失敗を避けられます。
本記事で紹介したよくある失敗例に沿って、対処法を紹介します。
対処法1.1on1ミーティングの進め方を把握する
1on1ミーティングの定石的な進め方を知ることで、スムーズに進行できるようになります。
はじめのうちから我流で行き当たりばったり実施するのは困難です。
まずは決まった流れに沿って1on1ミーティングを行ない、少しずつ自分なりの進行方向を模索することを推奨します。
1on1ミーティングの基本的な進め方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
対処法2.スケジュールを明確にする
1on1ミーティングのスケジュールをあらかじめ定期的に決めておくと、自然消滅が避けられます。
優先してスケジュールに入れておくことで、そのほかの業務の忙しさによって後回しになることなく、確実に1on1ミーティングを実施できます。
対処法3.事前準備を行なう
話すべき議題を事前に準備して1on1ミーティング本番に臨みましょう。
その場の思いつきで話そうとしても、実のある対話は望めません。
1on1ミーティングは基本的にはメンバーが相談したいこと、話したいことについて話す場です。
しかしメンバーに議題がない場合は、マネージャーから話題を振る必要があります。
マネージャーは聞く立場だからといって用意を怠らず、メンバーに聞きたいことを用意してください。
事前準備の詳しい方法は、以下の記事で紹介しています。
『事前準備が9割!効果的な1on1の進め方と6つのポイントを解説』
対処法4.1on1ミーティングの目的を明言する
マネージャーは1on1ミーティングの対象となるメンバーに、「こういった目的で1on1ミーティングを実施します」と明確に共有してください。
1on1ミーティングは通常業務の時間を割いて行われます。
なぜ実施するのかも不明なまま進行すると、メンバーの視点では「通常業務を中断して参加させられている」としか感じられません。
あらかじめ目的とそのための手法について伝えることで、必要性を理解してもらい、できる限り主体的に1on1ミーティングに参加しやすくなります。
対処法5.対話を意識する
1on1ミーティングはマネージャーとメンバーの対話が基本要件です。
マネージャーは自分の話をするよりも、メンバーの話に耳を傾ける意識を強く持って1on1に臨んでください。
しかし傾聴が大事だからといって話を聞いているだけでは対話にならないため、話をすべきところではマネージャーも話をし、自然に会話を楽しむことを推奨します。
1on1ミーティングで話すべきことが思いつかない場合は、以下の記事を参考に考えてみてもよいかもしれません。
『1on1ミーティングで話すことは4つのフェーズに沿って考える』
対処法6.記録をとり具体的なアクションにつなげる
1on1ミーティングで話した内容は、毎回記録をとることを推奨します。
毎回どのような議題で、どのような会話をしたかを記録しておくことで、議題の重複を避けたり、過去から現在までの変化を確かめたりできます。
ただ話をするだけでは、マネージャーもメンバーも会話の内容を具体的に記憶することは困難です。
1on1ミーティングの内容をしっかりと記録し、具体的なアクションとして普段の業務に活かしてください。
まとめ│1on1ミーティングの失敗はスキルアップのチャンス
1on1ミーティングを単なる面談と同じように考え、なんとなくで実施してしまうと失敗は免れません。
ただし、一度失敗したからといって、その1on1ミーティングすべてが失敗したわけでもありません。
見方を変えれば、失敗したことによって「どうすれば同じ失敗を繰り返さないか」を考える機会を得たとも言えるでしょう。
失敗について真摯に向き合った経験は、マネージャーにとってその後の1on1ミーティングの質を上げることにつながります。
ただ「あー、失敗しちゃったな」と悔やむだけでなく失敗の原因を分析し、その後の1on1ミーティングの内容にフィードバックしていくことで、マネージャーのスキルアップが可能です。