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1on1ミーティングとは?目的・手法・進め方を解説

「1on1ミーティングは特別なものではありません」
これまで1on1ミーティングのやり方に悩んできた方は、こんなことを言われたら「いやめちゃくちゃ苦労してるんですけど……」と思われるかもしれません。

この記事を読んでいる方は、次のような疑問をお持ちではないでしょうか。



  • 「1on1ミーティングって何?」

  • 「人事評価面談やコーチングとは違うの?」

  • 「導入している会社の事例が知りたい!」




本記事では1on1ミーティングはどのようなものかについて、数多くの企業の1on1環境を改善してきたrevii(リービー)が紹介します。

各章ではより詳しく知りたい方のための記事も紹介していますので、1on1ミーティングについていっぺんに理解したいという方は、ぜひお読みください。

1on1ミーティングとはマネジメント手法の一つ

1on1ミーティングとは、対象となるメンバーの業務遂行効率アップを目的として行われるマネジメント手法のうちの一つです。

1対1で行なう面談というと人事評価面談がありますが、1on1ミーティングと人事評価面談は目的がまったく異なるものです。

1on1ミーティングのゴールとして“マネージャーとメンバー間の信頼関係の構築”や“チームの心理的安全性の確保”、“メンバーのキャリアの自律”、“業務上の課題解決”などが設定されがちですが、これらの要素はあくまでアプローチだとrevii(リービー)では考えています。

さまざまなアプローチを通じて、メンバーの成長を促進し業務の遂行効率アップというゴールが達成できると以下の利益を得られます。

  • 会社全体の生産性が向上する
  • メンバーの会社に対するエンゲージメントが高まる
  • メンバーの評価として還元
  • 1on1ミーティングが必要とされる背景

    1on1ミーティングは、”働く人々の生産性を向上させるマネジメント法”として必要とされるようになりました。

    現在の日本では少子高齢化が進み、同時に労働人口の減少が起きています。

    また日本の人材競争力(労働環境への投資・国外人材を惹きつける魅力・人材が持つスキルを主な指標とする国際的なランキング)は年々低下し、2021年は39位となるなど先進国の中でも下位に位置するようになりました。
    参考::JOBSCOPE『日本の国際人材競争力は39位?

    さらに産業構造的にも製造業からサービス業へと軸足が移行し、クリエイティビティやホスピタリティがより重視されています。

    このような社会で、働く人々が会社から求められているのは生産性の向上です。

    1on1ミーティングは会社組織が求める労働者の生産性向上を実現する手法として、多くの企業に取り入れられるようになりました。

    人事評価面談との違い

    人事評価面談はその名の通り、メンバーの人事的な評価をくだすために実施される面談です。

    一方1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーとの対話を通じ、メンバーの成長をうながすものです。

    どちらも基本的にマネージャーとメンバーが1対1で実施することに変わりありませんが、人事評価面談はメンバーが”どのような業務を行なってきたか(=過去)”を見る会だと言えます。

    それに対して1on1ミーティングは、そもそもメンバーを評価する場ではありません。

    これまでの業務だけでなく、現在抱えている課題や今後行なっていくアクションなど、過去・現在・未来すべてに目を向け、メンバーの成長を促す会です。

    1on1ミーティング 人事評価面談
    目的 メンバーの生産性向上 メンバーの業績評価
    誰のため? メンバー 会社組織

    コーチングとの違い

    コーチングはメンバーの成長を促すためのテクニックのひとつです。

    メンバーが持っている課題に直接回答を与えるのではなく、対話を行なうことでメンバーの自発的なアクションを引き出すことを目的としています。

    コーチングの場では、コーチからの問いかけや傾聴する姿勢により、メンバーが自身の思考に目を向けられるようにすることを目指します。

    コーチングは単体でも実施されることがありますが、1on1ミーティングの効果を高めるために活用することも可能です。

    1on1ミーティングのアプローチ

    1on1ミーティングのアプローチは、次の3つに大別されます。

    • 業務サポート
    • 1on1ミーティングをやる意味の共有
    • 成長促進

    よく挙げられる1on1ミーティングの目的として次のものがあげられます。

  • メンバーのキャリアの自律
  • 上司と部下の人間関係構築
  • 心理的安全性の確保
  • 業務上の課題解決
  • 上記は1on1ミーティングの効果を発揮するためのアプローチであって、それ自体が目的ではありません。

    1on1ミーティングを実施するメンバーの状態をよく観察し、対象に適したアプローチをとることが大切です。

    どのメンバーにも同じアプローチを行なうのでは、対話を行なう意義が薄れます。

    たとえばマネージャー側がメンバーの成長を目指していたとしても、メンバー当人は成長を目的としていないこともあります。

    1on1ミーティングはあくまでメンバーのための時間ですから、相手をよく観察し、モチベーションに寄り添ったアプローチをしましょう。

    アプローチ1.業務サポート

    マネージャーの役目の一つに、現在メンバーが抱えている業務上の課題解決をサポートすることがあります。

    課題解決のサポートは漠然としたアドバイスではなく、具体的なリソースの提供の形式を取るのが望ましいでしょう。

    マネージャーから提供できるリソースの例
    • 課題に関連する情報
    • 採用計画やヘルプ人員などの人的リソース
    • 不足している物品・ツール
    • 解決策実行に必要な予算

    アプローチ2.1on1ミーティングをやる意味の共有

    マネージャーは、メンバー自身が1on1ミーティングに参加することに価値を見いだせるよう、「なぜ参加するのか」という内的な動機づけを行なう必要があります。

    導入時点から1on1ミーティングに参加するモチベーションが高いメンバーはまれです。

    そのため、マネージャーとメンバーがお互いのプロフィールをよく把握し、関係性を築くことからはじめてください。

    最終的には、1on1ミーティングはメンバー自身のキャリア自律の助けになるということも、しっかり共有しましょう。

    1on1ミーティングを行なう目的については、以下の記事でより詳しく解説しています。
    1on1 ミーティングの目的とは?導入する価値と効果3つ!

    アプローチ3.メンバーの成長促進

    1on1ミーティングは、メンバーに内省の機会を与え、業務上の成長を促す場です。

    メンバーが効率よく成長するためには、チーム内の心理的安全性が確保されていることが必要です。

    心理的安全性が高まれば高まるほど、メンバーは業務の中でチャレンジしやすくなり、結果的に成長効率も高まります。

    チームの心理的安全性を高めるには、マネージャーがメンバーのことをよく知り、信頼関係を築くことが求められます。

    また、適切な目標設定を行なうことで、メンバーのアクションを引き出すことも重要です。

    1on1ミーティングでの目標設定については、以下の記事でより詳しく解説しています。
    1on1ミーティング中の目標設定で気をつける5つのポイントを徹底解説

    Must・Can・Willサイクルでメンバーの成長をサポート

    1on1ミーティングを通じてメンバーの成長をサポートするには、Must・Can・Willのスパイラルを回すことが必要です。

    メンバー成長のスパイラル
    • Must=達成目標
    • Can=できること
    • Will=やりたいこと

    “Mustを達成することで、メンバーのCanがより広がり、マネージャーとの対話でWillを見つけ、新たなMustが生まれる”という流れが、メンバーの成長促進の理想的な循環です。

    1on1ミーティングの3つのメリット

    1on1ミーティングには期待できるさまざまな効果があります。

    主に以下の3つに絞ることが可能です。

    1. 組織の生産性向上
    2. メンバーのエンゲージメント改善
    3. メンバーの心理的安全性の担保

    それぞれ解説します。

    メリット1.組織の生産性向上

    1on1ミーティングの最終的な目標は、対象となるメンバーの業務遂行能力アップです。

    1on1ミーティングではメンバーが抱える業務上の課題解決をサポートし、業務遂行能力の成長を促します。

    会社に所属する個人の業務遂行能力が上がることで、自然と会社組織としての生産性も向上します。

    メリット2.メンバーのエンゲージメント改善

    1on1ミーティングを継続的に実施することで、メンバーのエンゲージメント(会社への帰属意識)を改善することが可能です。

    メリット3.メンバーの心理的安全性の担保

    1on1ミーティングにはメンバーの心理的安全性を高める効果も期待できます。

    心理的安全性とは「ある組織において、誰に対しても自分の考えを発言することに不安を覚えない状態であること」を指します。

    1on1ミーティングを通じてメンバーが成長した分、会社は評価をメンバーに還元します。

    自身のアクションが評価されることで心理的安全性が担保され、さらなる成長が促進されるというよいスパイラルを生み出すことが可能です。

    1on1ミーティングの成功事例-ヤフー株式会社

    日本国内の1on1ミーティング導入の草分け的存在として有名なのが、ヤフー株式会社です。

    ヤフー株式会社では、以下の2点を1on1ミーティングの軸に据えています。

    1on1ミーティングの軸
    • 経験学習の促進
    • 社員の才能と情熱を解き放つこと

    当時のヤフー株式会社は業績不振により組織に人が定着せず、その結果さらに業績が落ち込むという事象が起きていました。

    はじめは組織での働きがいを向上させ退職率を抑えるために始まった1on1ミーティングでしたが、文化が浸透しメンバーの業務能力がアップするにつれ、自然と業績不振も解消されました。

    現在では社員の約9割が隔週1回以上の1on1ミーティングを実施しているそうです。

    以下の記事ではさまざまな1on1ミーティングの導入事例を紹介しています。
    1on1ミーティングとは?成功事例から学ぶ注意すべき3点をご紹介

    ぜひ自社への1on1ミーティング導入の参考にご一読ください。

    1on1ミーティングの進め方

    ここでは1on1ミーティングの進め方の一例を紹介します。

    reviiでは1on1ミーティングを以下の手順に則って進めることを推奨しています。

    1on1ミーティングの進め方例
    • アイスブレイク
    • アジェンダ確認
    • アジェンダ解消
    • ネクストアクション決め

    マネージャーとメンバーの関係値によっては上記の限りではありません。

    しかし1on1ミーティングをこれから始める場合、また始めて日が浅い場合は、一度この流れに沿って実施すると1on1ミーティングの型を身につけられます。

    ステップ1.アイスブレイク

    アイスブレイクはメンバーが喋りやすい場を整えるために、当たり障りのない話題で雑談を行なうフェーズです。

    あくまでメンバーに口を開くきっかけを作ることが目的ですので、マネージャーによる小話などは要りません。

    ただし、メンバーとの関係ができていれば小話をして場を和ませても構いません。

    1on1ミーティングで話す内容に悩んでいる人は、以下の記事で詳細に解説しています。

    こちらもあわせてご覧ください。
    1on1ミーティングで話すことは4つのフェーズに沿って考える

    ステップ2.アジェンダの確認

    アジェンダ確認では、メンバーがその回で話したいことはないか確認します。

    メンバーの議題を優先することで、メンバーに「ここでは自分が喋っていいんだ」と伝えることが目的です。

    もしメンバーから話したいことが出てこなければ、そこで初めてマネージャーが話したいアジェンダを提案してください。

    決して先にマネージャーから話題を振ってはいけません。

    ただしマネージャーはいつでも話題を振れるよう、事前準備はしっかりと行なっておく必要があります。

    1on1ミーティングの事前準備については、以下の記事で行なうことを詳しく解説しています。
    事前準備が9割!効果的な1on1の進め方と6つのポイントを解説

    ステップ3.アジェンダの実施

    アジェンダの確認ができたら、出てきたアジェンダについてマネージャーからフィードバックを行ないます。

    アジェンダを実施する際は、メンバーの質問に対し質問で返すことは原則としてNGです。

    1on1ミーティングではメンバーの内省を促し、思考の言語化ができるようにすることも必要です。

    しかし単に質問に答えを与えないことが「内省支援」ではありません。

    メンバーにとって1on1ミーティングが考えるきっかけとなるよう、働きかけましょう。

    マネージャーはメンバーの課題に対して情報・人・物品・予算などのリソースを提示し、具体的な行動に導いてください。

    1on1ミーティングで行なうフィードバックについてより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
    1on1ミーティングでフィードバックは必要?効果的な実践例をご紹介

    ステップ4.ネクストアクション決め

    ネクストアクション決めでは、次回の1on1ミーティングまでにどのようなアクションを行なうかを明確に定めます。

    1on1ミーティングごとに行動に変化を与え、メンバーの成長を促すことが主な目的です。

    課題へのフィードバックを行なうことは必要ですが、その場でアドバイスをしただけで終わってはいけません。

    メンバーに行動を促し、実際のアクションにつなげることで、1on1ミーティングという場の価値が上がります。

    1on1ミーティングの進め方をより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
    【参考例あり】1on1ミーティングは3種類のシートで成功させる

    1on1ミーティングシートを活用すると便利

    1on1ミーティングの効果を高めるためには、マネージャーが”予習”と“復習”を行なうことが大切です。

    予習・復習を効果的に行なうために、予習シート、復習シート、実施メモという3種類のシートを使い分けることを推奨します。

    それぞれの使い方と、シートのテンプレートを以下の記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

    1on1ミーティングに関するQ&A

    reviiが1on1ミーティングを支援するさまざまなお客様から、よくお尋ねいただく質問をまとめました。

    ぜひ自社での1on1ミーティング実施の際の参考にしてください。

    傾聴が大事とよく聞きますが本当ですか?

    傾聴の姿勢を持つことは非常に大切です。

    「あなたの話を聞きたいと思っている」「あなたのことに興味がある」という姿勢がないマネージャーに、メンバーは話をしようとは思いません。

    1on1ミーティングは対話をしなければ成り立ちませんから、まずはメンバーに「話をしてみよう」と思ってもらえるような態度を示してください。

    できる限りマネージャーは喋らないほうがよいのでしょうか?

    1on1ミーティングは対話によるマネジメントですから、ただ相づちを打っているだけではいけません。

    メンバーの成長促進という目的を見据え、課題を解決するための発話を適切に行なってください。

    喋らなくてよいのであれば、壁に向かって話してもよいことになってしまいます。

    何を話したらよいか分からない場合は、以下の記事が参考になります。
    1on1ミーティングに取り組む上司の味方!進め方やトークテーマを紹介

    メンバーを承認することは必要ですか?

    何でもかんでも褒めれば承認したことになるというわけではありませんが、メンバーを認めていることを示すことは必要です。

    マネージャーに認められていないと感じていては、やはりメンバーは話をしようとは思いません。

    メンバーの話に対し否定や指示ばかりするのではなく、まず相手の存在を認めることから始めてください。

    メンバーが話をしてくれません。どうすればよいですか?

    マネージャーを信頼していないか、1on1ミーティングで何を話せばよいかを理解していない可能性があります。

    まずは1on1ミーティングがどのような場であるかをしっかりと伝えてください。

    その上でマネージャーはメンバーのどのような課題を解決できるか、どのような能力があるかを開示すると、メンバーが相談しやすくなります。

    1on1ミーティングは本当に効果があるんでしょうか?

    1on1ミーティングの効果が感じられない場合、多くは1on1ミーティングに期待する効果を間違えています。

    1on1ミーティングは“メンバーの生産性アップ”のためのメソッドです。

    効果を測る際も“メンバーが生産的に働くことをサポートできているか”で計測すれば、効果が見えてきます。

    より確実に実施・計測するためには、reviiなどの1on1ミーティングサポートツールを利用することを推奨します。

    1on1ミーティングの意味が感じられない方は、こちらの記事も参考になります。
    1on1は意味ない?成功に導くための対策5つを解説!

    いつも雑談だけで1on1が終わってしまいます。

    雑談はマネージャーとメンバーが相互理解を深めることに有益ですが、毎回雑談だけで終わってしまうのは本末転倒です。

    マネージャーとメンバーの双方が1on1ミーティングの目的をしっかりと意識して場に臨むことで、内容がブレずに進めることができるでしょう。

    まとめ│1on1ミーティングとは“対話を楽しむ”こと

    1on1ミーティングでもっとも重要なことは、マネージャーとメンバーが相互理解を深めながら対話を楽しむことです。

    1on1ミーティングと聞くと何か特別なやり方だと身構える方もいますが、マネジメントの一手法に過ぎず、とびぬけて特殊なものではありません。

    1対1で相手に向き合うことで、より個人の特性に寄り添ったマネジメントができるというだけのことです。

    人と人が差し向かいで話していれば、自然と話題はパーソナルな領域にも踏み込むことになります。

    「傾聴だ!」「心理的安全性の確保だ!」と気負いすぎず、自然とメンバーと話をすれば1on1ミーティングになります。

    チームの生産性向上などは、あくまでその結果にすぎません。

    対話を通じて答えを探す過程こそ、チームを強くする一番の要因だと言えるでしょう。

    reviiコラム編集部

    revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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