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1on1とメンターの違いは何?それぞれの特徴や共通点・相違点を解説

現在、人材育成のやり方は多岐にわたり、名称もさまざまです。

「名前は聞いたことがあるが、内容がよくわからない」と悩む方もいるでしょう。

特に、1on1とメンターは指導内容もいくつか共通点があるので、混合する方もいらっしゃると思います。

しかし、この2つには明確な違いもあるのです。
今回は、1on1とメンターのそれぞれと違いと特徴、最適な導入方法を紹介します。

1on1ミーティングとはどのような制度か

はじめに、1on1ミーティングの制度の概要や特徴について解説します。

なお、1on1ミーティングは以下の記事も詳しいので、もっと詳細に1on1ミーティングのことを知りたい方は、あわせて読んでみてください。

1on1ミーティングとは?目的・手法・進め方を解説

マネージャーとメンバーが1対1で定期的に行う面談

1on1ミーティングとは、直属のマネージャーとメンバーが1対1でミーティングを行なう人材育成方法です。
マネージャーとメンバーのコミュニケーションを密にしておけば、仕事もスムーズに進みます。
また、近年はメンバーの自己育成が求められていますが、自分自身がどのゆうに成長していいかわからない方も多いでしょう。

1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーのコミュニケーションを円滑にし、双方の意思疎通をスムーズにするのを目的としています。
特に、マネージャーとメンバーの意思疎通がなかなか難しいと感じている職場ほど1on1ミーティングは効果が見込めるでしょう。
また、マネージャーがよりメンバーを深く理解してサポートする効果も期待できます。

1on1ミーティングの目的は仕事上のサポート

1on1ミーティングを実施する目的は、マネージャーがメンバーに仕事に関するサポートを行なうためです。
これは、普段でも行なっている職場はたくさんあると思うかもしれません。
しかし、家庭に問題があって仕事の効率が上がりにくいなど、大勢の前では言いにくいこともあるでしょう。

反対に、マネージャーがメンバーの様子をいつもと違うと思っても、なかなか理由を聞くチャンスがないといったケースもあります。
1on1ミーティングならば、1対1ですから周囲に気を遣う必要はありません。
思い切ったことも聞けるでしょう。

ただし、1on1は人事評価の場ではありません。
あくまでもマネージャーがメンバーをサポートするか、お互いの理解を深めるために行ないます。

1on1ミーティングの対象はメンバー全員

1on1ミーティングは、すべてのメンバーが対象です。
入社してからの年数は関係ありません。
マネージャーは原則として1人で直属メンバーすべてに対してミーティングを行います。
ただし、マネージャーに対してメンバーが多すぎる場合は別のマネージャーと分散して行う場合もあるでしょう。

なお、1on1ミーティングは週1回~月1回の間隔で定期的に行います。
特に話すことがなければ、現在取り組んでいる業務の確認や雑談をしてもいいでしょう。

メンター制度とは何か

次に、メンター制度とはどのような人材育成方法なのか、やり方や対象などを解説します。
現在、メンター制度を新入社員教育に取り入れる会社が増えていますが、その理由も解説するので参考にしてください。

先輩社員が後輩をサポートする制度

メンター制度とは、経験豊富な先輩従業員が後輩従業員を1対1で指導する人材育成のやり方です。
先輩従業員を「メンター」、後輩従業員を「メンティ」と呼びサポートする期間は限定されています。
メンター制度は厚生労働省が2012年に「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を公開してから一気に知名度が上がり、導入する企業が増えました。

メンター制度の大きな特徴は、メンティを直接指導や評価をする先輩やマネージャーはメンターになれないことです。
直接指導したり評価したりする立場の人間では、メンティが素直に心を開いてくれません。
また、「もし、この相談をして評価に影響が出たらどうしよう」とも思いがちです。
したがって、メンターに選ばれるのは、主にメンティとなんら関わりのない先輩従業員となります。

ただし、まったく関係ない人であれば誰でもよいわけではありません。
メンティが「こんな従業員になりたい」というロールモデルになれる方が理想のメンターです。
そのため、マッチングする際はメンティに将来はどのような従業員になりたいかロールモデルを抽象的でいいので聞いておくと、適材が見つかりやすいでしょう。

主にメンタル面でのサポートを行う

メンター制度の大きな特徴は、メンターがメンティの包括的なサポートを行なうことです。
通常の先輩従業員による後輩従業員の指導は、主に仕事のやり方や一般的なビジネスマナーに重点を置いています。
しかし、仕事を効率よく自信を持って行なうには仕事に対する心構えや考え方なども知っておかなければなりません。

このようなことは、今までなら先輩従業員の仕事のやり方を見たり、仕事で失敗したりしながら、自分で身につけていくものでした。
しかし、リモートワークが導入されてほかの従業員と顔を合せる機会が減ったり、少しの失敗でも叱責されることが多くなったりして、以前のような学習方法ではうまくいかないケースも増えています。
仕事のやり方はわかっても、仕事に対する心構えや会社の暗黙の了解、目標の立て方などがわからない場合、入社して日が浅い従業員ほど仕事のモチベーションを失いがちです。
モチベーションが低下すれば、早期の離職にもつながります。

メンターは、そのようなメンティの仕事に対する不安や悩みを受け止め解決策を示します。
このようなメンタル面での問題はただ話しを聞いてもらって共感するだけでも心が軽くなることもあるでしょう。
また、メンターが自分の経験を話せば参考になります。
職場の先輩に気軽に相談したり愚痴がいえない職場や、基本1人で仕事をすることがほとんどの職場ほどメンター制度は効果的です。

対象は主に新入社員

メンター制度において、メンティとなるのは主に新卒で入社した従業員です。
社会人になりたての従業員は、先輩メンバーが「当り前」と思っていることもよくわかっていないことが珍しくありません。

しかし、周りから「このようなこともわからないのか」と言われれば、仕事に対するモチベーションを失ってしまいがちです。
だからといって、先輩メンバーが全員で新卒の従業員のサポートをするようにしても、「誰かがやるだろう」と思われがちです。
メンター制度を導入していれば、相談する先がはっきりしています。

困ったときはメンターに相談すればいいと知っていれば、何か問題がおきても落ち着いて対処できるでしょう。
会社側もメンターからメンティの悩みや不安を間接的に聞けば、会社としても対応できます。
新卒の従業員の早期退職防止はもちろんのこと、会社の体制改善にも役立つでしょう。
なお、メンター制度は期間限定で行ないます。
ずっとメンターがメンティをサポートする必要はありません。

1on1とメンター制度の共通点と相違点を解説

ここまで、1on1ミーティングとメンターのそれぞれの特徴を紹介してきました。
ここでは、あらためて1on1ミーティングとメンター制度の共通点と相違点を紹介します。
2つの人材育成方法の違いを知りたい方は参考にしてください。

立場が上の者が下の者をサポートするのは共通

1on1ミーティングは直属のマネージャー、メンター制度は先輩メンバーという違いはありますが、立場の上の従業員が下の従業員をサポートするという点は同じです。
また、サポーターとサポートされる人が1対1なのも共通しています。
1人の先輩メンバーやマネージャーが複数のメンバーに一度に対応するより、よりきめ細やかなサポートが期待できるでしょう。

さらに、1対1でサポートを行うことで、おおっぴらには相談しにくいことや不満なども聞き出せます。
メンバーもマネージャーや先輩メンバーとの理解を深めることで、これからの仕事がよりやりやすくなるはずです。

サポート範囲は異なる

1on1ミーティングとメンター制度では、サポートする範囲が異なります。
1on1ミーティングでは、直属のマネージャーがメンバーを主に業務や自己育成の面でサポートします。

例えば、どうすれば業務をより効率的にできるかや、仕事に役立つ資格や身につけておいたほうがよい技術などといった相談ごとをするのに適しているでしょう。
また、マネージャーとメンバーが相互理解を深めることで、意思疎通もしやすくなります。

一方、メンター制度は、社会人としての心構えや仕事に対する姿勢などより抽象的なことをサポートします。
特に具体的な悩みがなくても、仕事に対しての不安や悩みを相談することもできるでしょう。

また、将来的にどのような感じで自分を育成すればいいのかといった相談もできます。
メンターに選ばれた先輩メンバーも、一緒に問題を解決するというより、悩みや問題に共感したりより適切な相談方法を教えたりすることが主な役目になる場合もあるでしょう。
メンティは、「困ったらメンターに相談すればよい」と安心もできます。

サポートする対象が異なる

1on1ミーティングが全メンバー全員なのに対し、メンター制度は主に新卒の従業員がサポート対象です。
メンター制度でも新卒以外のメンバーをサポート対象にするケースもあります。
しかし、はじめてマネージャーに抜擢されたメンバーや、まったく別分野から転職してきたメンバーなど、その立場になるのが初めてで右も左もわからない点は共通しています。

一方、1on1ミーティングは新卒の従業員からメンバーに昇進間近の社員まで全てがサポート対象です。
その反面、相談内容は多岐にわたり、中にはすぐに対処しなければならないものもあるでしょう。

ただし、1on1ミーティングもメンター制度もサポーターが「人の話を聞く」「自分の意見を押しつけない」といった姿勢が求められることは共通しています。
そのため、導入する前にどうやってサポーターに接すればいいのかなどをテーマにした研修を受けたほうがよい場合もあるでしょう。
このあたりのことは、より上の立場のマネージャーと話し合って決めてください。

サポートする人の立場も異なる

1on1ミーティングの場合は、メンバーの直属のマネージャーが行います。
原則としてその方以外が行うことはありません。
一方、メンター制は逆に直属のマネージャーや仕事の指示をする先輩メンバーがメンターにはなりません。

これは、サポートする内容の違いのためです。
基本的にメンター制度は仕事のサポートは行いません。
仕事に関するサポートは直属のマネージャーやメンバーがあらためて行います。

一方、1on1ミーティングの場合は、直属のマネージャーでないとサポートが難しい業務に関する悩みや不安を相談するためのものなので、直属のマネージャーが行います。
ただし、前述したように査定に関する評価は行ないません。

この違いを把握しておかないと、人選のミスマッチが起こるので気をつけましょう。

1on1ミーティングが必要とされる場面とは

ここでは、1on1ミーティングが必要とされる場面について解説します。
どのような状況での導入が適しているのでしょうか?

メンバーの成長が必要とされたとき

今は、マネージャーの指示にただ従うだけのメンバーより、自分で会社の仕事をより効率的に行なえるように自己育成ができる社員が求められます。
しかし、「自己育成してください」とだけ指示してもどのように動いていいかわからない方も多いでしょう。

そこで、マネージャーが今までメンバーを指示してきた経験をふまえ、どの方向へどのように能力を伸ばせばいいのかヒントを与える必要があります。
そうすれば、メンバーはどうやって自分を成長させていけばいいのか、道筋が見えてきます。

また、自己育成は長期的なサポートが必須です。
進歩状況を確認したり、育成状況に合わせた仕事を振ってやる必要もあるでしょう。
そのようなときに、1on1ミーティングは効果的です。
ほかのメンバーには聞かれたくない話しなども、1対1なら気兼ねなくできるでしょう。
マネージャーもメンバーの能力が的確に把握できるので、仕事の割り振りにも役立ちます。

メンバーとマネージャーのコミュニケーションが重要となったとき

メンバーとマネージャーは互いに協力し合って仕事を進めなければなりません。
仕事の指示だけして放っておいてもダメですし、勝手に仕事をしてもうまくいきません。
誰にどの仕事を、どのように振るかはマネージャーの采配にかかっています。

采配をうまく行うには、マネージャーのことをある程度理解していなくてはなりません。
メンバーとマネージャーの会話はあいさつと「はい」と「わかりました」だけでは不十分です。
プライベートをすべて晒す必要はありませんが、メンバーの能力や仕事に対する姿勢をマネージャーが把握しておけば、仕事もより効率的に進むでしょう。

メンバーの自己育成でサポートが必要になったとき

先ほど、自己育成できるメンバーが求められていると解説しましたが、最初から完璧に自己育成できる方はごくわずかです。
行き詰まることもあるほか、サポートが必要になるケースも多いでしょう。

そのような、1on1ミーティングがあれば時間をかけてマネージャーに相談できます。
マネージャーも今メンバーが何に頑張っているか知れれば、サポートもしやすいでしょう。

メンター制が必要とされる場面とは

今度は、メンター制の導入がおすすめな場面を解説します。
会社内の状況をよく見てどちらを導入すればいいのか参考にしてください。

新卒の従業員が入社したとき

新卒で従業員が入社した際、メンター制が導入されていれば、より細やかな指導ができます。
新卒の従業員は覚えることがさまざまあり、マネージャーも1人で対応しきれません。
業務を教えてサポートする従業員とメンタル面をサポートする従業員が別れていれば、それぞれの業務に集中もできます。

また、新卒の従業員も相談先が明確に決まっていれば「このようなことを相談していいのか」と悩むこともなくなります。

メンバーのメンタル面でのサポートが必要になったとき

仕事をしていると、業務面だけでなくメンタル面でのサポートが必要になる場合も多いです。
かつては、終業後の飲み会や昼ご飯中のおしゃべり、会社内でのサークル活動の際に、部署を超えたサポートが行われていたケースもあったでしょう。

しかし、現在はリモートワーク中心の会社だと従業員同士が顔を合わせることすらまれなケースもあります。
ですから、あらかじめ期間限定でも「サポートする方」「サポートされる方」を定めておいて相談できる環境を整えた方がうまくいきます。

また、何もかもメンターに丸投げするのではなく、メンターをサポートする体制を会社が作っておくことも大切です。

メンバーの離職を防ぎたいとき

仕事に対するモチベーションが低下すると、離職につながります。
特に、新卒の従業員は養う家族もいないケースがほとんどなので、離職にためらわない方も多いでしょう。

新卒の従業員の早期離職を防ぐためにも、メンター制は導入です。
メンターから早期離職のデメリットを受けたり業務の改善方法に関するアドバイスを聞いたりすれば、離職を予防できるでしょう。

まとめ:それぞれの特徴を知って使い分けよう

メンター制度と1on1ミーティングは、従業員同士がサポートし合うという点では同じですが、目的やサポートの対象、サポートの範囲や期限も全て異なります。
会社がどのような状況であり、だれが、どのようなサポートを望んでいるか、などをよく把握して導入する人材育成の方法を選択しましょう。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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