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管理職の育成は難しい?難易度が高い理由と管理職育成のポイントを解説

管理職は、組織を支えるうえでなくてはならない存在であり、その育成は組織にとって重要です。

しかし、いざ育成に関わってみると難しいと感じるケースも珍しくありません。

今回は、なぜ管理職の育成が難しいのかと、管理職の育成をスムーズにおこなうコツなどを紹介していきます。

管理職の育成はなぜ難しいのか?

管理職の育成が難しいと感じていたり、実際に育成を試みてうまくいかなかったりする会社は珍しくありません。
ここでは、なぜ管理職の育成は難しいのか、その理由を解説します。

組織の中で管理職に求める役割が統一されていない

一口に管理職といっても、会社や部署によって求める能力はさまざまです。
ある部署では労務管理がもっとも大事な仕事であり、別の部署では人材育成やマネジメントが主な役割といったケースもあるでしょう。
管理職に求められる能力は数多くありますが、1人ひとりが会社の求める能力をすべて身につけられるとは限りません。

会社、もしくは部署ごとに管理職に求める役割や必要な能力を統一しておかないと、管理職の育成方法もぶれてしまいます。
管理職の育成方法の内容や目標が短期間ですぐに変われば、優秀な人材もついていけず人材流失にもつながります。

管理職に求める能力が多すぎる

管理職に求められる能力は、コミュニケーション能力、業務管理能力、人材育成能力、など多岐にわたります。
そのすべてを1人の方が身につけるのが理想ですが、マルチな能力に恵まれている方は数少ないです。

管理職に期待する気持ちも十分に理解できますが、期待しすぎは逆効果となります。
管理職に求める能力が多い場合は、管理職を増やして1人あたりに求める能力を減らすなどの工夫が必要です。

管理職に求める能力を育ててこなかった

管理職に必要とされる能力は、一朝一夕では身につきません。
仕事で必要とされるコミュニケーション能力など、身につけるのに半年~1年程度かかるものもあるでしょう。

会社は、メンバーすべ全てを管理職になる可能性があると考え、一定のコミュニケーション能力や業務管理能力、さらに自己育成能力などが育つように教育しておくことが重要です。
一通りの仕事だけを教えて、いざ管理職候補になってから慌てて管理職に必要な能力を短期間で教育して身につけさせようとしてもうまくいきません。

管理職教育にかける時間がない

仕事が忙しい職場の場合、なかなか管理職教育に時間がかけられないところもあります。
また、社会人になったらすべてを教えてもらうのではなく、自分で自分を成長させる自己育成も重要です。

しかし、管理職に必要な能力は自習や自己育成だけでは身に付きません。
時間がないからといって管理職教育をなおざりにしていては、優秀な管理職が育つのは難しいでしょう。
外部に研修を依頼するなど対策が必要です。

管理職をサポートする機関が脆弱

管理職は、メンバーに比べると役職がついている分、求められる役割も重要で責任も重くなります。
場合によっては、メンバーが失敗した責任も問われることもあるでしょう。

管理職はメンバーをサポートして育成するのも大切な仕事ですが、会社も管理職をサポートしなければなりません。
いくら優秀な人材でも責任ばかりがもとめられてサポートが脆弱だと、人材流出にもつながります。
また、管理職になるメリットを感じられないと、管理職になりたくないと出世を拒むメンバーの増加にもつながります。

管理職育成方法の特徴

ここでは、管理職を育成するための方法の特徴を紹介します。
管理職育成には何を重要視すればいいのかポイントも解説するので、参考にしてください。

人材の選抜が重要

管理職に求められる責任は重く、さまざまな能力も必要とされます。
また、管理職には向いている方と不向きな方がいます。
管理職になれば、メンバーのマネジメントや業務管理などの仕事よりも人材や業務管理、スケジュール調整などマネジメント業務が中心となりがちです。
仕事ができる方でも、マネジメント業務は苦手といったケースもあるでしょう。
反対に、仕事のできは他のメンバーと同等程度でもすぐれたマネジメント能力を発揮するメンバーもいます。

管理職になれば責任が増して給与も上がるのが一般的です。
そのため、能力ではなく年齢や仕事で功績を挙げた見返りに管理職に付けるといった人事も珍しくありません。
しかし、働き方が多様化した現在は管理職にならなくても能力に見合った給与を払って人材の確保も可能でしょう。
管理職を育成するには手間と費用がかかります。
人材の選抜は慎重かつ入念におこないましょう。
また、選抜した後で「やはり管理職に向いていないかもしれない」と思ったら、管理職候補から外す決断も必要です。
その場合は、フォローもしっかりとおこないましょう。

マネジメント経験を積ませる

管理職のもっとも重要な仕事のひとつが、メンバーのマネジメントです。
仕事で優秀な結果を出したメンバーを管理職に抜擢したが、マネジメントが全くできずにかえって職場が混乱したといった事例は決して珍しくはありません。
個人で結果を出す仕事と、メンバーをマネジメントして人材育成をしたりチームの責任者としてメンバーを動かし、大きな結果を出す仕事はやり方も異なります。
優秀なメンバーが優秀なマネージャーになるとは限りません。

どれほど優秀なメンバーであっても、管理職教育だけをおこなって管理職に抜擢せずチームリーダーなどを任せて、マネジメント経験を積ませましょう。
マネジメントの経験は人材選抜にも使えます。
マネジメントの適性がない方でも、業務管理など限定で管理職に抜擢し、マネジメントが得意な人材と一緒に仕事をしてもらうなど人材活用の仕方は豊富です。
また、マネジメント業務に優れた優れた人材を抜擢するシステムを作っておくと、人材不足にも悩みにくくなります。

広い視野を持たせる

インターネットなどの発達により、ビジネスはグローバル化が進んでおり技術の進歩も早いです。
職種によっては長年培ってきた伝統を守ることを最重要視しているところもありますが、それだけでは厳しい競争を勝ち抜いていくのは難しいでしょう。
今まで培ってきた技術を活かして新しいビジネスを始めたり、今まで想定してこなかった層にアプローチをして顧客の幅を広げたりする力がより重要視されます。

将来的にメンバーをまとめて会社を背負って立つ管理職には、広い視野を持ってもらう必要があります。
必要ならば別の会社に出向してもらうなど広い視野を持たせる教育も重要です。
また、転職が当たり前となった現在は優秀な人材がより条件の良い職場を求めて転職活動をしているケースも多いです。
有能な転職メンバーと生え抜きのメンバーを交流させて、広い視野を持つように育てる方法もあります。

中途入社社員に期待する方法もある

前述したように、現在は転職をするのに抵抗がない方も増えています。
特に、20代~30代前半の方の中には、自分の実力に見合った待遇や仕事を求めて積極的に転職する方も珍しくありません。
中途入社社員のメリットは、即戦力になることです。
人材によっては、マネジメント経験が豊富な方もいるでしょう。

管理職教育をこれから実践しようとする会社の場合、教育が終るまで即戦力となる従業員が不足するケースもあるでしょう。
また、管理職育成教育を受けている方も、ロールモデルがあったほうがモチベーションが上がります。
管理職育成にかける時間をできるだけ短縮したい場合や、管理職のロールモデルを得たい場合はマネジメント経験が豊富な中途社員を活用するのもおすすめです。
管理職の転職は難しいとも言われていますが、だからこそ優秀な人材が集めやすくもあります。

経営陣の意見を知ってもらう

管理職の重要な役割のひとつに、管理職と現場の橋渡しがあります。
会社組織が大きくなるほど、現場と経営陣の距離は開きがちです。
現場は経営陣が定める目標や仕事の方向性が理解できず、経営陣は現場の現状が見えていないことも多いです。

管理職は現場の意見を経営陣に伝え、経営陣の考える目標や会社の方向性を現場に知らせる役割が求められます。
現場から生え抜きで管理職候補に抜擢された場合、現場のことはよく知っていても経営陣の考え方や理念についてはよくわからないケースもあるでしょう。
管理職を育成している最中に、経営陣とコミュニケーションを取る機会を設けると、管理職に就いたときに仕事がスムーズに進みます。
この際、大切なのは経営陣が「黙って自分たちの言うことを聞け」といった態度を取らないことです。

経営陣と現場、どちらが欠けても会社はうまくいきません。
経営陣が管理職候補の意見に耳を傾ける姿勢を見せれば、コミュニケ-ションも取りやすくなります。
意見が一方通行にならないように気をつけましょう。

管理職を育成する際のポイント

ここでは、これまでの記事内容をふまえて、管理職を育成するために重要視するポイントを紹介します。
管理職としての自覚を持ち、教育を受けている人のモチベーションを高める育成方法を探している方は、参考にしてください。

管理職に求められる役割やスキルを理解してもらう

前述したように管理職に求められる役割は多岐にわたり、単に“管理職候補として育成教育を受けてもらう”だけでは、目指すべきゴールが曖昧です。
会社や部署ごとに、管理職に求める役割や役割をこなすために必要なスキルを明確にしましょう。
そうすればどのような教育をすればいいのか、到達点をどこに定めればいいのかもはっきりします。

教育を受ける従業員も、抽象的な目標より具体的な目標のほうがモチベーションを維持しやすいです。
また、身につけてほしいスキルが定まっていれば、“いつまでにこのスキルを身につけてもらい、実際に仕事を任せてみて定められた目標をクリアしているかどうか確認する”といった教育方法もできます。
管理職の育成には時間がかかる分、細かに目標を定めて達成感を得られるようにすれば育成している方もモチベーションを維持できるでしょう。
このほか、研修を受ける場合もどの研修を受ければいいのかわかりやすく、研修先との連携もとりやすくなります。

研修やサポート体制を構築しておく

ビジネスパーソンや社会人として人材育成をおこなう場合、自分で目標を定めてそれに向かって努力する自己育成も推奨されています。
しかし、管理職に求められるスキルは自己育成のみで身につけられるものばかりではありません。
また、社内での教育体制が整っていない場合は、社内のみで研修をおこなおうとしても限界があります。

会社が管理職に求めるスキルを明確にし、それを身につけられる教育を受ける研修先などを見つけることが重要です。
なお、一口に研修といってもマネジメントやコミュニケーションなど専門的なスキルを身につけるものから、管理職としての心構えや考え方を教えるものまでさまざまです。
さらに研修の期間も費用も幅があるため、管理職育成の計画段階でいつ、誰に、どのような研修を受けてもらうか熟考しましょう。
研修さえ受けさせておけば自然とスキルが身につくわけではありません。

それとあわせて、会社のサポート体制も構築しておきます。
管理職の責任はメンバーよりもずっと重いうえ、優秀な人材でもすぐに仕事をスムーズに達成するのは難しいでしょう。
会社がサポート体制をしっかりと整えておけば、新米管理職ものびのびと仕事ができます。
失敗してもやり直せるといった安心感があれば、チャレンジ精神も高められます。

マイナスイメージを払拭する

現在の20~30代前半の社会人は、管理職にマイナスイメージを持っている方もいます。
「責任ばかり重くてやりがいを感じない」といったマイナスイメージが強いと、人材を選抜する時点で難航する可能性もあります。
新卒や第二新卒で入社したメンバーの全員が管理職になる可能性があると考え、新卒向けの社員教育をおこなう際に管理職の重要性と役割、やりがいについてしっかりと説明しましょう。

管理職に魅力を感じられる会社であれば、人材育成もはかどります。
そのためには、前述したように管理職を会社がサポートする体制を整えると同時に、管理職がメンバーの目標となるのが理想です。

管理職の候補者を孤立化させない

メンバーから管理職候補を抜擢した場合、今まで良好だった職場の人間関係が崩れる可能性があります。
管理職になれば社内での立場が変わり、給与に格差もつくのでやっかみで管理職候補が孤立する可能性もあるでしょう。

管理職になっても、同期メンバーのサポートは重要です。
管理職候補を必要以上に特別扱いしないなど、候補者を社内で孤立させないようにしましょう。
管理職候補として中途社員を採用した場合、職場に溶け込めるような機会を会社側が積極的に設けることも重要です。

管理職を育成する際に迷ったら?

これからはじめて管理職の育成を試みる場合や、今までの管理職の育成方法を一から見直す場合、迷ったり悩んだりすることもあるでしょう。
ここでは、管理職の育成に迷ったり悩んだり行き詰まったりした場合の対処法を紹介します。

外部の研修を利用する

管理職に求められる能力をすべて自社で教育するのは、ほぼ不可能です。
専門の会社でおこなっている管理職向けの研修を積極的に利用しましょう。
管理職向けの研修はいろいろな種類がありますが、自社の管理職候補にはどのような教育が必要か把握したうえで選択してください。
研修を受けた後の実践も重要です。
管理職向けにおこなわれている研修には、どのようなものがあるか以下に一例を紹介します。

管理職の立場ごとの研修

一口に管理職といっても、係長クラスの初級管理職、課長レベルの中級管理職、それ以上の役職である上級管理職と複数の種類があります。
それぞれ求められる能力や役割が異なるため、立場に応じた研修が実施されています。
初級管理職はもちろんのこと、上級管理職になる方も時代に即した知識のアップデートなどのために研修の受講がおすすめです。

管理職に求められる能力に関する研修

管理職に求められる、マネジメント能力やコミュニケーション能力、人材育成能力などを身につけるための研修です。
どの能力も自力で身につけるのが難しい能力なので、研修が果たす役割は大きいです。
現在は、アンガーマネジメント研修、リモートワークマネジメント研修など時代のニーズにあった研修も開催されています。

会社で求められる能力に特化したオリジナル研修

人材育成の研修を提供している会社の中には、オリジナルの研修をおこなってくれるところもあります。
仕事が特殊だったり、管理職に特に求める能力があったりした場合、既存の研修ではニーズが満たせないケースもあります。

研修をおこなう会社に依頼してオリジナルの研修のプラグラムを組んでもらえば、効率よく人材育成が叶うでしょう。
費用は既存の研修よりかかりますが、何度も研修を受けてもらうより時間も節約できます。

外部からの人材も利用する

創立したばかりの若い会社の場合管理職や経営陣も皆同年代で、ロールモデルとなる人材がいない場合もあります。
また、歴史ある企業でも今までのやり方を一新して新しい組織作りを行なった場合も同様です。
このような場合は、外部から優秀な人材を招きましょう。
外部の人であってもマネジメントや業務管理の経験を豊富に積んだ人材なら、その経験を活かして目指すべきロールモデルにもなってくれます。

また、長年人材育成やマネジメント業務をおこなってきて定年を迎えた人材を顧問として招き、人材育成を一任する方法もあります。
どのような人材を招くのがベストなのか、熟考して決定しましょう。
外部からすでに能力のある人材を招ければ、社内の人材が育つまでつなぎとなってくれます。

時間をかける

働き方が多様化したり、会社が大きくなったりして環境が変われば管理職に求められる役割や能力も変化していきます。
これまでの管理職に求められる能力レベルが50だとしたら、次世代の管理職に求められる能力レベルが70~80、と高くなっている会社もあるでしょう。
上級管理職に就いている従業員が、自分たちの時代はこうだったからと同じことを下の世代に求めてはいけません。

求める能力や役割が増えたなら、育成にも時間をかけましょう。
効率が優先されるビジネスの世界ですが、人材育成は時間をかけないと成し遂げられないものもあります。

目標を細かく定めてスキルアップの実感を得させる

最初から高い目標を設定しすぎると、優秀な人材でもモチベーションが保てません。
特に、はじめて管理職候補となり教育を受ける人材は、ストレスもかかりがちです。
また、優秀な分一度躓いたら、なかなか立ち直れない場合もあるでしょう。

管理職を育成する場合、目標を細かく定めて自分が成長しているという実感を覚えさせるとうまくいきます。
優秀な管理職は、頑張るほど周りがハードルを上げがちです。
それに応えようと頑張りすぎると、長続きしない場合もあるでしょう。
管理職の育成に行き詰まったら、目標を低く細かく設定してみてください。

まとめ:管理職の育成は時間をかけて丁寧に行う

管理職は、将来会社を背負っていく人材です。
多少時間がかかっても、必要な能力を身につけてもらい重要な仕事を積極的に任せられる人材を育てましょう。
そうやって育成した人材は、間違いなく会社の財産となり優秀な人材もより育ちやすくなります。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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