マネージャーが管理する目標とは
マネージャーにとって目標の設定・管理は重要な業務のひとつです。
ただし、マネージャーはチームを率いているため、設定すべき目標は自身のものだけではありません。
一般的にマネージャーが設定・管理する目標は以下の3つです。
- チームの目標
- メンバーの目標
- マネージャー自身の目標
チームの目標
チームや部署、プロジェクト、会社には基本的に目標があります。
例えば、達成すべき月間売上目標であったり、期間内のプロダクトリリースなど、規模や内容も様々ですが目標を持たないチームやプロジェクトは存在しないといっても過言ではありません。
チームの目標を考えるときに大切なのは、組織のビジョンに準じているのか、またチームが求められていることに応えているのか、といった点に真摯に向き合うことです。
チームが一丸となって目指せる目標を設定しましょう。
メンバーの目標
メンバーの目標には、チームのメンバーとして達成するものや、メンバー自身が成長するためのものなどがあります。
メンバーとコミュニケーションを取りながら、一緒に考えると、メンバーも目標を設定しやすいでしょう。
マネージャー自身の目標
マネージャーは自分自身の目標も設定し、管理するのが一般的です。
マネージャーが設定する自分自身の目標は大まかにいうと以下の3種類があげられます。
- チームの目標を達成するために自分がすべきこと
- メンバーの目標達成のためにすべきこと
- マネージャー自身が成長するための目標
上記のようにマネージャーはメンバーが目標を達成し、チームも目標を達成できるように、自分の目標を設定し計画に落とし込むとよいでしょう。
マネージャーが目標設定・管理をする目的
チームやメンバー、自分自身の目標を管理する前に、なぜマネージャーが目標を設定・管理する必要があるのか、という目的について理解するのは大切です。
というのも、マネージャーの目標への向き合い方や考え方がチームのメンバーに影響するからです。
マネージャーが目標を設定・管理する目的は以下の3つがあげられます。
- すべきことを明確にするため
- 進捗や効果を検証するため
- チームのモチベーションを向上・維持するため
すべきことを明確にするため
マネージャーが目標を設定・管理する目的はすべきことを明確にするためです。
目標を設定し、日々の計画に落とし込めば、やるべきことが明確になります。
逆に目標を設定しなければ、メンバーはチームの目標達成に必要なことやすべきことが不明確なため、チームとしても成果を出すのは難しいでしょう。
また、すべきことが明確であれば、メンバーも自律的に行動できるはずなので、マネジメントへのコストを下げられます。
進捗や効果を検証するため
目標設定の2つ目の目的は進捗や効果を検証するためです。
目標を設定したら、達成するための計画を立てます。
計画と現在の状況を比較すると、目標に対して順調に進んでいるのか否かの進捗を確認できます。
比較した結果に応じて、実施計画や仮説が正しかったかどうかの検証ができるのです。
検証結果をもとに、計画のテコ入れをしたり、次の目標設定の際に役立てることができます。
チームのモチベーションを向上・維持するため
目標設定の目的には、チームのモチベーションの向上・維持も含まれます。
先ほど目標設定をするとすべきことが明確になると説明しました。
すべきことが明確になると、人はやる気やモチベーションが向上しやすいです。
また、各個人のレベルより少し高い目標が設定されると、メンバーは「チャレンジして目標を達成させたい」と考え前向きに取り組む傾向にあります。
そして努力した結果、目標を達成できると、達成感が得られ自信がつきます。
メンバーに自信がつけば、次回はさらに高い目標を設定し、自ずから行動できるようになるでしょう。
また、達成できなかったとしても、どこが目標に対して足りなかったのかの反省ができるので、次に活かすことができます。
マネージャーが知っておくべき目標設定の方法
目標設定の方法はいくつか種類がありますが、どのような目標を設定するのかによって使い分けをするのがポイントです。
マネージャーが目標を設定するときに役立つ方法は以下の5つです。
- ベーシック法
- 3点セット法
- SMARTの法則
- KPIツリーに基づく設定
- OKRに基づく設定
ベーシック法
ベーシック法はチームの目標設定にもメンバーやマネージャー自身の目標設定にも活用できる汎用的な方法です。
ベーシック法は次の4つのステップに沿って目標設定をします。
ベーシック法の4ステップ
- 目標項目を設定する
- 達成基準を決める
- 期限を設定する
- 達成計画を立てる
目標項目を設定する際は改善、向上、維持、創出の4種類に整理します。
例えばチームの売上を1.5倍にするといった目標は向上で、会員の退会率を20%に抑えるという目標は維持に当たるなどです。
次にどのような状態が目標を達成した状態といえるかの達成基準を決めます。
この目標の達成基準は売上や比率など数値といった定量的なもので設定すると評価しやすいです。
そして期限設定ではいつまでに目標を達成するのかを設定します。
最後に今までの3ステップをもとにそれぞれを計画に落とし込むと目標達成の計画が決まります。
3点セット法
3点セット法はテーマ、達成レベル、達成手段の3つの項目を設定する方法です。
3点セット法もベーシック法と同じくチーム、メンバー、マネージャー自身の目標設定に活用可能です。
テーマを決める基準は3つあり、以下のものがあげられます。
- より安く、より早く、より正しく、より楽に
- テーマを達成できなかったらどのような影響が出るか
- 日々の仕事で改善できること
テーマを決めたら次に達成レベルを設定します。
達成レベルではテーマに対する具体的な目標を決めます。
達成レベルを決める際は、なるべく数値化し定量的なもので具体的に設定するとよいです。
最後に達成手段ではどのように達成するか計画を考えます。
SMARTの法則
SMARTの法則とは、5つの要素に照らし合わせながら目標を設定することで、目標の達成率をあげることができる方法です。
特に個人目標を設定するときに適している手法といえます。
参考にする要素は次の5つです。
- Specific=具体的
- Measurable=測定可能な
- Achievable=達成可能な
- Relevant=関連性のある
- Time-bound=期限を定める
営業の力をつけるなど曖昧な目標ではなく、3ヶ月以内に1人で新規顧客との商談を成立させられるようになる、など具体的な目標を設定し、達成したい内容の定義をはっきりさせることがポイントです。
また測定可能な目標を立てるには目標を数値化するとよいでしょう。
数値化すると、目標を達成できたかどうか、判断できます。
設定した目標が達成可能なのかは重要な要素です。
人は達成できないと感じた途端に行動を起こしたくなくなり、メンバーやチームの指揮にかかわるからです。
そして、目標と目的が関連しているか確認し、目標に期限を定めればSMARTの法則に沿った目標設定が完了します。
KPIツリーに基づく設定
KPI(Key Performance Indicator)ツリーに基づく目標設定とは最初にゴールを設定してから、達成に必要な要素を決める方法です。
KPIツリーに基づいた目標設定は、チームがすべきことを詳細に設定できるため、チームの目標を管理するときに適しています。
KPIツリーは次の3要素で構成されています。
- ビジネスにおけるゴール
- ゴールを達成するために重要な成功要因
- 成功要因を評価する指標
上記の要素をそれぞれ考えれば目標設定が可能です。
KPIツリーに基づいた目標設定は、ゴールに向かうために必要なアクションを洗い出し、そのアクションを行えているかの評価までをセットにしています。
OKRに基づく設定
OKRとはObjectives and Key Resulutsの頭文字をとったもので目標と主要な結果といった意味を指します。
目標を設定して、それに対する主要な結果を設定する方法です。
OKRでは目標を設定しますが、正確な数字で表すものではなく、シンプルなものであればよいとされています。
例えばグーグル合同会社の企業目標は「世界中の情報を整理し、世界中の人にアクセスできるようにすること」と設定されています。
このようにシンプルで覚えやすいものを目標として設定するのです。
そして達成度合いをはかるための定量的な目標を決め、週次のミーティングなどで確認していくのがOKRに基づいた設定方法です。
目標設定をするときのポイント
先ほど説明した目標設定の方法には共通点があります。
それは具体的な目標を設定し、数字で進捗や成果を管理することです。
そのため具体的な目標を決め、進捗を数字で管理することが目標を設定するとき全体のポイントといえます。
しかし、チーム、メンバー、マネージャー自身の目標を設定するときのポイントはそれぞれ違うため、各目標を設定するときのポイントを紹介します。
チームの目標を設定するとき
チームの目標を設定するときのポイントは次の2つです。
- 具体的な目標を設定する
- 目的を明確にし共有する
チームの目標が具体的ではない場合、メンバーは何をしたらいいのかわからず、部署のメンバー全員が一丸となるのは難しいでしょう。
さらに目標が不明確だと、メンバー1人ひとりの解釈も異なるため認識の相違が生まれ、メンバーの考えを統一する難易度も高くなります。
またチームが向かう最終的なゴールの目的もわからない場合、メンバーは納得してくれないでしょう。
そのため目的を明確にしメンバーに共有したうえで、具体的な目標を伝えましょう。
メンバーの目標を設定をするとき
メンバーの目標を設定するときは下記の3つのポイントを意識しましょう。
- メンバーと一緒に設定する
- 難易度は適切か
- メンバーが自ら設定しているか
マネージャーがメンバーの目標をすべて決めていたら、メンバーの自律性は育たちにくいです。
しかしメンバーの自律性を育てるといって任せきりにしていては、メンバーはすべきことがわからず停滞したり、モチベーションが低下する恐れがあります。
メンバーのモチベーションを向上させつつ、自律性を育てるにはメンバーと一緒に目標を考え、最終的にメンバー自身で設定するように導くのがポイントです。
また各メンバーの目標の難易度が適切かどうか、マネージャーは客観的に判断する役割もはたすとよいでしょう。
自分自身の目標を設定するとき
マネージャーが自分自身の目標を設定するときのポイントは次の3つです。
- チームの目標を達成できるものか
- メンバーの成長を促すものになっているか
- 自分自身も成長できる内容になっているか
マネージャーにはメンバーの目標達成をサポートしつつ、チームの目標達成も求められます。
まずチームの目標あるいは目的を達成するためには何が必要かを考え、マネージャー自信がすべきことを目標に設定します。
そしてチームの目標達成にはメンバーの成長が不可欠なため、メンバーの成長を促進する目標やプランが必要です。
さらに上記の2つを達成するにはマネージャー自身の成長も必要です。
そのため自分自身が成長するための目標になっているかも確認しましょう。
目標達成するためにマネージャーが行うこと4選
目標は設定するだけでなく実際に行動することも大切です。
そのためにはマネージャーはチーム、メンバー、自分自身の目標が達成できるように管理する必要があります。
目標達成するためにマネージャーが行うことは以下の4つです。
- 目標達成するためにしないことを明確にする
- 目標を定期的に振り返る
- 結果だけでなくプロセスも評価する
- メンバーの目標を達成をサポートする
目標達成するためにしないことを明確にする
目標達成するために、さまざまなことを行いたくなりますが、実施しないことを決めることは重要です。
なぜなら目標達成のために、同時に多くのことを行うと本来の目的や目標を見失い、あまり効果がないことを実行してしまうからです。
すべきこととしないことが明確になっていると、目標達成に向けて最短の道を進めます。
目標を定期的に振り返る
マネージャーは目標達成のために、目標を定期的に振り返りましょう。
目標の進捗は順調か、軌道を修正するためのアクションプランを考えられるからです。
中長期的な目標は月単位や四半期ごとに確認し、短期目標の場合は月ごとあるいは週ごとに確認します。
定期的に目標を振り返り、現在地を把握し計画を修正するサイクルが目標達成には必要です。
結果だけでなくプロセスも評価する
ビジネスでは結果も大事ですが、そこに至ったプロセスを理解するのも重要です。
メンバーを評価するときに結果ばかりを見ていては、メンバーのモチベーションが低下するなどの影響が出る恐れがあります。
そのためときには、メンバーが目標に向かって進むプロセスに注目しフィードバックしましょう。
どのような思考で仕事を進めているのか、目標達成に向けてどのようなアプローチをしているかなどをヒアリングすると、新たな気づきを得られ、課題解決の糸口をつかめるはずです。
メンバーの目標を達成をサポートする
マネージャーはメンバーが目標達成できるようにサポートしましょう。
なぜならチームの目標達成には、メンバー個々の目標達成が欠かせないからです。
例えばマネージャーはメンバーが目標達成できるように、人を紹介したり、アドバイスを行ったりしてサポートをします。
メンバーのサポートをするときは、メンバーの自主性を促すために関わり方のバランスに注意しましょう。
マネージャーとして適切に目標を管理してチームを目標達成に導こう
チームやメンバー、マネージャー自身が成長し成果を出すには、マネージャーがそれぞれの目標を適切に管理する必要があります。
なるべく具体的な目標を設定し、進捗は数字で管理するように心がけることがポイントです。
まずはマネージャー自身の目標管理に、本記事で紹介した目標設定の方法を取り入れて、実践してみてはいかがでしょうか。
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