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マネージャーを育成する方法とは?一般的な人材育成の違いと共に解説

管理職は、組織を支えるうえでなくてはならない存在であり、その育成は組織にとって大切です。

しかし、いざ育成に関わってみると難しいと感じるケースも珍しくありません。

今回は、なぜ管理職の育成が難しいのか、その理由と管理職の育成をスムーズに行うコツなどを紹介します。

マネージャーに求められる役割と能力

マネージャーの育成方法をご紹介する前に、マネージャーに求められる役割や能力を解説します。

企業におけるマネージャーとは、数名~数十人の部下を指導してプロジェクト達成のための運営や管理を行う仕事です。
役職だと、主任~係長に該当する会社が多いでしょう。

求められる能力や役割を把握しておけば、人材育成の方法やポイントもわかってきます。

マネージャーは経営者と現場をつなぐ役割を担う

マネージャーに求められる第一の役割は、現場と経営者の橋渡し役です。
会社の規模が大きくなるほど、現場と会社の舵取りをする経営者との距離は開いていきます。

経営者と現場との距離が遠くなれば、現場の従業員は自分が何のために仕事をしているかわからなくなりがちです。
仕事の目的や目標が曖昧なままでは、モチベーションも低下していくでしょう。

マネージャーは、経営者と現場との間に立って経営者の考え方や抱いている目標を現場に伝える役割が求められます。
目標や目的がはっきりわかれば、従業員のやる気にもつながります。

また、経営者も現場の様子や従業員の状態がわからなければ、状況にそぐわない指示を出したり目標を定めたりする恐れもあります。
そのため、マネージャーは現場の率直な意見や従業員の様子を経営陣に伝えるのも大切な役目です。

メンバーの育成とサポートする能力が必要

現場のメンバーが目の前の仕事に集中して目標を達成するのが重要だとしたら、マネージャーはメンバーのサポートや育成が重要な仕事です。

現在は、わかりやすいマニュアルを作るのも容易になりましたが、それを渡すだけでは仕事は覚えてもらえません。
メンバー全体の育成、メンバー個人に合わせた育成など状況に合わせたきめ細かい対応が求められます。
同時に、メンバーのサポートも重要です。

まったくミスをせずに完璧に仕事をやり遂げられる従業員はいません。
失敗して当たり前です。

ときと場合によっては失敗を厳しく叱ることも必要ですが、それよりも大切なのが二度と失敗しないための対策です。
失敗の再発を防止する策として以下が考えられます。

  • 再度研修をする
  • 1人ひとりに個別に指導する
  • 配置換えをする

高いコミュニケーション能力が求められる

マネージャーに求められる役割を全うするには、高いコミュニケーション能力が必要です。

コミュニケーション能力とは、話す能力だけでなく相手の話を聞く能力も含まれます。
メンバーが何に悩み、どのようなサポートや指導を必要としているのか会話から見抜かなければなりません。

また、経営陣に現場の意見を伝える際にもコミュニケーションは大切です。
限られた時間で言いたいことを正確に伝え、要望を受け入れてもらわなければなりません。

そのため、自分自身が口下手と感じるマネージャーは、言いたいことを言語化し伝える準備をしておきましょう。

マネージャーの育成が必要な理由

今度は、会社組織にとってマネージャーの育成が必要な理由について解説します。
マネージャーが育成できないと会社に発生しうる不利益についても解説するので、参考にしてください。

メンバーをまとめて現場の目標や仕事の方向性を決めるため

会社が大きくなるほど現場で働く従業員の数は多くなり、彼らを統率するマネージャーの役割が重要になります。
また、スパン・オブ・コントロール(マネジメントの適正人数)は5~8名が理想といわれています。
それ以上の人数をマネジメントしようとすれば、マネージャーの管理能力を超えてしまい業務に支障が出る可能性もあるでしょう。

つまり、大きな会社組織ほどメンバーをまとめ、現場で目標を定めて仕事の方向性を決めるマネージャーは数多く必要です。
マネージャーの数が足りなくなれば、いくら会社が大きくなって従業員の人数が増えてもそれを統括するマネージャーが育成できていなければ、仕事の効率は上がりません。
会社を大きくしていくのに併せて、マネージャーの育成にも力を入れていくのが理想です。

現場での能力開発や育成が必要なため

経営陣が会社全体の成長や進むべき目標を定める役割を担うなら、現場でメンバーの能力開発や育成を行うのがマネージャーの役割です。

専門性がある質の高い仕事を従業員に望むなら、メンバーの育成や能力開発が欠かせません。
外部から講師を招いたり研修に参加したりする方法もありますが、日々の仕事に合わせた育成や能力開発を行うには、マネージャーの力が必要です。

有能なメンバーを育てたいならば、有能なマネージャーをまず育てることが重要です。
有能なマネージャーが多いほど、1人あたりの負担が減ってメンバーの育成も効率的に行えます。

一般的な人材育成とマネージャーの育成方法との違い

多くの会社では、主にメンバーを対象とした人材育成を行っています。
人材育成に力を入れていることを自社のアピールポイントとしている会社もあるでしょう。
しかし、一般的な人材育成とマネージャーの育成方法は違います。
ここでは、マネージャーを育成する方法のポイントについて解説します。

育成すべき人材を選抜することが重要

マネージャーは自分に与えられた仕事をこなすだけではなく、業務管理や人材育成などマネジメント業務をおこなわねばなりません。
仕事ができてもマネジメント業務が苦手な従業員もいれば、仕事こそ人並みでもマネジメント業務が得意な方もいます。
マネージャーとして必須の能力であるマネジメント能力がある方に対象を絞ることが大切です。

一般的な人材育成が全てのメンバーを対象としているのに対しマネージャーの育成方法は人材の選抜から始めます。
人材選抜の方法としては、リーダーを任せてみてマネジメント能力を測るなどの方法が一般的です。

必要ならば研修や出向を行う

一般的な人材育成ならば社内で一通りの教育をおこなった後、自己育成に任せることもできるでしょう。
しかし、マネージャーに必要な能力をすべて自社で教育して身につけさせるのは、なかなか大変です。
現在は、管理職向けの教育研修を実施している団体も多く、必要ならば積極的に利用しましょう。
研修は、日程・内容・対象などがすべて異なるので、内容をよく比較検討したうえで選んでください。

また、グループ会社がある場合は、出向して広い視野を得てもらう方法もあります。
どちらのほうが効果的なのかは、教育をおこなう既刊や適性などを見て考えましょう。

マネージャーを育成する際のポイント

ここでは、今までの記事内容をふまえた上でマネージャーを育成する際のポイントを解説します。

これからマネージャーの育成を行おうとする方や、マネージャーの育成方法に悩んでいる方は参考にしてください。

コミュニケーション能力など特定の能力を育成することが重要

人材育成方法にはいろいろな手段があり、手段によって育成できる能力も変わってきます。
マネージャーを育てるには、以下の能力育成が最重要課題です。

マネージャーに必要な能力
  • コミュニケーション能力
  • 危機管理能力
  • 判断力
  • 育成力(マネジメント能力)

これらを重点的に伸ばすには、どうすればいいか考えましょう。

マネージャーの役割と必要性を理解してもらうことが大切

マネージャーの立ち位置は中間管理職でもあり、マイナスなイメージを抱く方もいます。
苦労ばかりで実入りがない、ストレスばかりがかかりそうといった先入観を持たれてしまうと、そのイメージを払拭するのは大変です。
そこで、早いうちから会社におけるマネージャーの役割と重要性を理解してもらいましょう。

マネージャーがいなければ会社が立ちゆかないことや、マネージャーとして実力を発揮すればさらに上の管理職への道が開けることを明確にしておけば、メンバーのモチベーションアップにもつながります。

早期育成開始が重要

マネージャーに求められる能力を身につけるには、時間がかかります。
1~2日の研修や短期間の出向だけでは、会社が求めるような能力は身に付きません。

研修や出向が終ったら学んできたことを会社でどう活かすか、実践の場を設けましょう。
短期間で成果を求めすぎると、やる気がある社員でも焦りと不安からモチベーションが低下してしまいます。

マネージャーの育成を行う際は、時間がかかるものと考えて早期に育成を開始しましょう。
業績が順調で従業員の増加を具体的に検討しはじめると同時に、マネージャー育成のプランニングも開始するのがおすすめです。

また、新卒で入社して1~2年たったメンバーの中で見込みある方がいたら、早めにマネージャー候補として育成を開始してもいいでしょう。

必要ならばマンツーマンの指導を行なう

人材育成の方法には、集団で研修を受ける、自分で自分を育てる自己育成などいろいろな方法があります。

マネージャーとして求められる判断力や危機管理能力などを育成するには、マンツーマンの指導も有効です。
会社におけるマンツーマンの指導といえばOJTが有名ですが、マネージャーの育成にも指導の具体例を示せる、ロールモデルを作れるといったメリットがあります。

マネージャーに求められる役割や能力は、会社によっても微妙に異なります。
研修や出向で一般的にマネージャーに求められる役割や能力について学んできたら、自社でマンツーマンの教育を行い、自社に必要な能力をより磨いていくといった方法を選択してもいいでしょう。

なお、マンツーマンの指導は指導者との相性のよさも重要です。
有能な指導者でも指導を受ける方と相性が悪ければ、効果はありません。

マンツーマン指導を導入する場合は、お互いの相性もよく確認したうえでマッチングを行いましょう。

経営陣との意見交換の場を設ける

新卒で入社してマネージャー候補になる場合、現場のことはよくわかっているケースが大半です。
その一方で、経営陣とはほとんど接点がなく、入社式で顔を合わせただけといった場合も多いでしょう。
マネージャーになると経営陣とも接する機会が増えていきます。

マネージャーの育成教育をする際は、経営陣との意見交換をする場も設けておきましょう。
マネージャー候補のうちから経営陣と交流していれば、双方の架け橋となるときもスムーズにいきます。

また、経営陣の考え方や意見に接することで、マネージャーを目指すモチベーショがアップする可能性もあります。

マネージャー同士の交流の場を設ける

マネージャーの育成をしている間も、業務をおろそかにはできません。

マネージャーに選ばれる人材はメンバーの中でも優秀で能力がある方が多いのですが、それでも重い負担になりがちです。

また、マネージャーやマネージャー候補に抜擢されると、どうしてもそのほかのメンバーとの間に溝が生じがちです。
今まで親しくつきあっていた同僚と距離を置かれると、モチベーションも低下しがちになるでしょう。

マネージャーは、同じ立場との横の繋がりも重要です。
教育期間中にマネージャー同士の交流の場を作り、親睦を深めましょう。
そうすれば部署を超えて連帯がしやすくなるほか、情報も共有しやすくなります。

異なる仕事をしていても、マネージャーという同じ立場なら共感できることも多いでしょう。
連帯感が生まれれば、相談もしやすくなりいざというときも1人で悩まずにすみます。

タイプに応じて育成方法を変える

人材は、個々で適切な教育方法が異なります。
理想は、1人ひとりに合せたオリジナルの教育を行うことですが、会社ではなかなか難しいでしょう。
そこで、性格や気質によって人材をいくつかのグループに分けて適した育成方法を実行するのがおすすめです。

新卒社員の教育より、マネージャーの育成教育のほうが人数が少なくきめ細やかな指導ができやすいでしょう。
可能ならば、気質や性格によってタイプ分けしてそれぞれにあった教育方法を行うとうまくいきやすいです。

トライアンドエラーを恐れない

一通り教育を終えても、すべてのマネジメント業務を最初から完璧に行える方はいません。
最初は失敗するのが当り前です。

経営者の視点だと、時間とコストをかけて教育したのだからできるだけ早く成果を出してもらいたいと考えてしまいがちです。

しかし、自分が頑張れば結果を出せる仕事とは異なり、マネジメント業務は同じ人間相手なので一筋縄ではいきません。
経営陣が失敗を許さない態度で臨めば、優秀な人材も萎縮して当たり障りのないことしかできなくなります。

新人マネージャーにはサポートを付けて、すぐにバックアップできる体制を整えておけば、失敗もすぐにリカバリーできます。
経験から学べることもさまざまあるので、トライアンドエラーを積極的に行わせてあげましょう。

マネージャーを育成する際の注意点

最後に、マネージャーを育成する際の注意点を紹介します。
優秀な人材を外部に流出させないためにも、押さえておきましょう。

プレッシャーをかけすぎない

マネージャーはメンバーに近い立場ほどやるべきことが多く、ストレスもかかりがちです。
「皆があなたに期待している」「期待に応えないと」とプレッシャーをかけすぎるのはモチベーションの低下につながります。

期待していることを公言してもいいのですが、言葉を選びましょう。
マネージャーに昇格することにマイナスイメージを持たせてはいけません。

周囲から孤立させない

メンバーの中からマネージャー、マネージャー候補を選ぶとさまざまな点で格差が生まれます。
それでも問題のない集団もありますが、マネージャーやマネージャー候補が孤立してしまうケースも珍しくありません。
マネージャーは能力を見込まれた優秀な人材ですが、1人でできることには限度があります。

また、悩みなどを誰にも相談できないとストレスで心身の調子を崩す場合もあるでしょう。
マネージャー同士の結束を強めたり、マネージャーのさらに上の立場の管理職がサポートに入るなど、周囲から孤立させない対策をとりましょう。

適材適所に配置することが大切

マネージャーにも、ラインマネージャーやプレイングマネージャー、プロジェクトマネージャーなどいくつもの種類があります。

小さい会社では1人のマネージャーが複数のマネジメントを担うこともありますが、規模の大きな会社の場合はマネージャーにも役割分担があります。
マネージャー教育をおこなっている際に適性を見極め、適所に配置しましょう。
配置場所を間違うと、せっかくの人材が活かせません。

業務のサポートはしっかり行う

マネージャーとして教育を受けているときは、本人の負担が増しています。
業務をおろそかにするわけにはいかないと、いつもの2~3倍の力を出して仕事をしている方もいるでしょう。

本人も自覚しないうちにストレスが溜まっている可能性もあります。
マネージャー教育をおこなう側は、そのことを理解して業務のサポートも行いましょう。

まとめ:マネージャーは独自の育成方法が重要

マネージャーの育成は、新卒のメンバーを一人前の従業員に育てるより時間がかかることも珍しくありません。
求める能力が高い分、育成方法も複雑になるかもしれません。

しかし、優秀なマネージャーが育てば組織としてもメリットが大きいです。
時間をかけ、ときにはトライアンドエラーも繰り返しながら人材育成を行っていくことが重要です。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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