ピープルマネジメントとは
ピープルマネジメントとは、近年注目されているマネジメント手法です。
本章では、下記の3つについて説明します。
- 現代においてピープルマネジメントが注目される理由
- 従来のマネジメントとピープルマネジメントの違い
- ピープルマネジメントの実施により期待できる効果
上記の3つは、ピープルマネジメントを実施するうえで、知っておきたい基礎知識です。
最後まで読んで理解を深めましょう。
現代において、ピープルマネジメントが注目される理由
現代においてピープルマネジメントが注目される理由は、大きく分けて3つです。
1つめは、働き方の多様化です。
これからの社会を支える新しい世代は、これまでとは違った新しい価値観を持っています。
よって、主な働き手となる世代の交代が行われるなかで、従来のマネジメント方法では人材育成が困難だと考えられています。
2つめは、AIなどの技術の進化です。
AIなどの技術の進化により、人間の作業が明確化されました。
一方で、働き手は、仕事においてやりがいを求める傾向にもあります。
ピープルマネジメントの実施によって、技術の進化と働き手のやりがいのギャップを埋められるのです。
3つめは、転職に対する考え方の変化です。
終身雇用の時代とは変わり、転職がポジティブなものへと変化しました。
そしてスキルアップや、自分を高く評価してくれる企業へと転職する人が増加しています。
人材の流動性が高まっているため、社員が会社に長期的に在籍し、貢献したくなるような取り組みが必要なのです。
上記3つのことからもわかるように、メンバーのエンゲージメントや、モチベーションの維持に有効なことから、ピープルマネジメントが注目されています。
従来のマネジメントとピープルマネジメントの違い
従来のマネジメントとピープルマネジメントは違います。
従来のマネジメントは、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を有効活用し、生産性の向上を目的としたマネジメント方法でした。
一方、ピープルマネジメントは、メンバーの成功にコミットしたマネジメント方法です。
メンバー1人ひとりと向き合い、エンゲージメントやモチベーションを維持し、成功へと導きます。
ピープルマネジメントにおけるマネージャーを例えるならば、マラソンの伴走者です。
メンバーが課題や目標に向かって走り出したときに、頼りになる存在を目指します。
マネージャーは、メンバーの心理的な安全性を確保し、自身の持つ可能性を最大限に引き出していくのです。
ピープルマネジメントの実施により期待できる効果
ピープルマネジメントの実施により期待できる効果は、メンバーによる自主性の向上です。
ピープルマネジメントの実施により、フィードバックを受ける機会と内省が増えます。
よって、メンバーは自分の立ち位置を意識した行動が可能となり、自主性が高まるのです。
また、自主的な行動による成功体験の積み重ねは、メンバーのモチベーションの向上も期待できます。
メンバーの成功と向き合い、エンゲージメント向上や、信頼関係の構築も可能です。
ピープルマネジメントの実施による効果は、メンバー1人ひとりの生産性と大きく関係しているため、取り入れるメリットは十分にあるといってもいいでしょう。
ピープルマネジメント方法
ピープルマネジメントの方法は大きく3つのステップに分かれています。
- 目標の設定
- 対話
- フィードバック
上記の3つのステップをそれぞれ理解し、効果的なピープルマネジメントの実施を目指しましょう。
目標の設定
ピープルマネジメントにおけるメンバーの目標設定には、マネージャーによる丁寧なヒアリングが重要です。
なぜなら、目標設定が不適切だと、メンバーのモチベーションが低下してしまう可能性があるからです。
適切な目標を設定してもらうには、メンバーに対して目標設定におけるフレームワークの提案をしてもよいでしょう。
メンバーの力量に見合った目標設定は、業務を進めるうえで、モチベーション向上へとつながります。
小さな成功体験の積み重ねは、モチベーションの維持に有効なので、メンバーの力量に合った目標設定を心がけましょう。
対話
ピープルマネジメントを実施する際、メンバーとの対話は重要です。
なぜなら、マネージャーが一方的に話をするだけでは、メンバーの課題が解決しないからです。
メンバーの話に耳を傾け、傾聴の姿勢をこころがけましょう。
そして、必要に応じてあいづちをうち、課題解決に向けたヒントを入れた話をします。
そうすることで、メンバー自身が業務を自分ごとととらえ、自主的に行動へと移せるのです。
フィードバック
適切なフィードバックは、ピープルマネジメントにおける重要なステップです。
マネージャーによるフィードバックのよし悪しによって、メンバーの成長に大きな変化をもたらすといっても過言ではありません。
“称賛と指摘のバランスをうまくとりながら、メンバーの成長を促す”というマネージャーの腕を発揮できる場面でもあります。
1on1ミーティングを活用したピープルマネジメント方法
ピープルマネジメントの実施において、1on1ミーティングの導入は有効です。
理由は、前述した“ピープルマネジメント方法”における3つのステップが可能となるからです。
1on1ミーティングによる定期的かつ短い周期のミーティングは、ピープルマネジメントを実施するにあたって最適だといってもいいでしょう。
本章で、1on1ミーティングがピープルマネジメントにどのように適しているのかを説明します。
1on1ミーティングについては、こちらをご参考になさってください。
『1on1ミーティングには6つのメリットや効果がある!進め方も解説 | revii(リービー)』
メンバーの成功と向き合う機会を増やす
1on1ミーティングの実施によって、メンバーの成功と向き合う機会を増やせます。
なぜなら、1on1ミーティングは、メンバーとマネージャーによって定期的かつ短い周期で実施され、相互理解を深められるからです。
1on1ミーティングの実施により、成功と向き合う機会を増やし、エンゲージメントの向上を目指します。
メンバーの成功にコミットしたピープルマネジメントの実施が、1on1ミーティングによって可能となるのです。
メンバーに合った目標設定
メンバーに合った目標を1on1ミーティングによって設定できます。
メンバーが持つ力量に合った目標設定は重要です。
なぜなら、メンバーの力量に適した目標は、達成の確率が高くなるからです。
多くの成功体験は、今後のメンバーのモチベーション維持と自主性に関係します。
1on1ミーティングによる1対1の対話と丁寧なヒアリングによって、“メンバーの力量を考慮した目標設定”が可能です。
しかし、注意しておきたい点があります。
個人の目標は、メンバー自身で設定しなければ、モチベーションの維持が困難となる可能性があります。
メンバー自身が達成したいと思える目標でないと、メンバーの持つ可能性を引き出せなくなってしまうのです。
メンバーの小さな成功体験が積み重なるように、マネージャーは目標設定のサポートを実施しましょう。
有効なピープルマネジメントを実施するポイント
最後に、ピープルマネジメントを実施するうえで、重要なポイントを3つ解説します。
- 傾聴の姿勢をとる
- メンバーの目標を理解する
- メンバーに任せきりにしない
上記3つのポイントが、なぜ重要なのか理解を深めてより効果的なピープルマネジメントが行えるようにしましょう。
傾聴の姿勢をとる
ピープルマネジメントにおいて傾聴の姿勢は、重要です。
マネージャーが一方的な会話をしたり、メンバーの会話をさえぎってしまったりすると、 業務が他人ごととなってしまうからです。
本来、メンバーの課題や目標は、メンバー自身が自主性を持って取り組まなければなりません。
マネージャーが傾聴の姿勢をとることで、メンバーは、自分の意見や考えを尊重されていると感じられます。
また、メンバー自身が自分の考えを言葉にすると、自ら気づきを得る場合もあるのです。
メンバーの目標を理解する
ピープルマネジメントを実施する際、メンバーの目標に対する理解は重要です。
メンバーが持つ長期的な目標やキャリアビジョンの理解により、メンバーに適したフィードバックが可能となるからです。
一方、目標を理解できていない場合、マネージャーとメンバーの間にズレが生じてしまう可能性があります。
メンバーの長期的な目標や、キャリアビジョンへの理解は、日々の業務をこなすうえでのモチベーションと密接な関係があります。
そして、マネージャーがメンバーの目標に理解を深めるには、対話による丁寧なヒアリングの実施が有効です。
メンバーに任せきりにしない
1人で業務をこなせるからといって、メンバーに任せきりにしないように心がけましょう。
順調そうだからと、メンバーに業務を任せきりにしては、問題が発生した際に迅速な対応が困難となる可能性があります。
また、順調そうに見えても、メンバーは困っている場合があるのです。
なので、メンバーとの信頼関係を構築するためにも、業務を任せきりにしてしまうのは極力避けましょう。
ピープルマネジメントには1on1ミーティングが有効
成功にコミットしたピープルマネジメントは、従来とマネジメント方法が異なる点から難しく思われていた方も多いのではないでしょうか?
前述したとおり、ピープルマネジメントにおけるマネージャーは、マラソンで例えるならば、伴走者です。
メンバーが目標や課題といったゴールを目指して走り出したとき、一緒になって走り、最後までサポートをします。
よって、1on1ミーティングはメンバーの成長や成功と向き合えるので、ピープルマネジメントに有効です。
メンバーに寄り添うピープルマネジメントと、定期的かつ短期間で実施する1on1ミーティングの相性はよいので、1つの選択肢として考えてもいいでしょう。