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“チーム内の心理的な安全性”とは?提唱者の論文を参考にその定義と、4つの勘違いを紹介

チームの心理的な安全性が向上したした結果、数多くの企業でメンバーの生産性が向上しています。

ただ、1部には好ましい結果を出せずじまいの企業もあるようです。

それは、”チームの心理的安全性”という概念の正確な理解ができているか否か、が関係しているのではないでしょうか。

実は、心理的な安全性の概念を提唱した学者も、正しく理解されずに実行に移されている場合が、1部にあると感じているそうです。

本記事では、“チーム内の心理的な安全性”の定義を再確認し、一般的に起きやすい勘違い4つを紹介していきます。

組織やチーム内で心理的な安全性を確保することの重要性

導入する企業が次々と現れるのは、得られるプラスの効果が非常に大きいためです。

心理的な安全性が確保されていると、意見が尊重されるようになります。
すると、発言しやすくなるため、発言の回数は多くなっていきます。

組織やチームに参加している意識が高まり、やりがいや喜びに加えて責任感などもメンバーは感じはじめるでしょう。

メンバー個々のモチベーションアップから、パフォーマンスの向上も期待できるのです。

言葉の意味

非常に大ざっぱな表現ですが、メンバー自身にとっての自然な状態で組織やチーム内にいられる文化が心理的な安全性です。

組織やチーム内で、メンバー全員が周囲への気遣いなしに意見の主張ができたり、行動に移したりできているでしょうか。
自身が正しいと考える発言や行動が何の束縛もなくできる組織やチームでは、心理的な安全性が確保されていると考えていいでしょう。

“心理的な安全性”という言葉が生まれたのは、1999年でした。
心理学で使われる用語“psychological safety”を日本語に訳したのが、心理的な安全性です。

ハーバード大学ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授(組織行動学)が執筆した論文のタイトル中に、psychological safety(心理的な安全性)という心理学の用語があったのです。
参考:『Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams

心理的な安全性が脚光を浴びる理由

心理的な安全性は、4半世紀近くが経過した現在になって、ようやく注目を集めているのではありません。
注目されはじめたのは、発表から10数年後のことでした。

心理的安全性が脚光を浴びる理由は以下のとおりです。

きっかけはGoogleの“プロジェクト・アリストテレス”

Googleが生産性アップを目的に、2012年からスタートさせたプロジェクトの総称がプロジェクト・アリストテレスです
心理的な安全性が注目されはじめたきっかけは、このプロジェクト・アリストテレスです。

同社は社内にある数百のチームを、4年にわたってリサーチ。
成功を収め続けられるチームが必要とする条件を探るためです。

分析の結果、以下の4点が成果を出しつづけるチームに共通していることが明らかとなりました。

  1. 収益性が高い
  2. 離職率が低い
  3. ほかのメンバーが提案したアイデアを生かすのがうまい
  4. 効果的な働きに対するマネージャーからの評価は約2倍

テレワークの拡大

テレワークを導入する企業が、増えてきたのはご存じでしょう。

東京都はテレワークを実施している企業の状況について、2022年7月11日に発表しました。
それによると、従業員30人以上を有する都内の企業が、テレワークを実施している率は54.6%でした。

従来なかった働き方のテレワークには、移動に要する時間の削減など、プラスの側面は少なくありません。

ただ、その一方で従業員の孤独感を強めてしまうなど、マイナスの側面もあります。

心理的な安全性が確保されている組織やチームなら、メンバーも安心して相談や意見の主張ができるでしょう。

心理的安全性の醸成を阻害する4つの不安

意見の主張が原因で、マネージャーやほかのメンバーから非難される不安をメンバーは感じてはいないでしょうか。
メンバーが次に紹介する4つの不安を感じている場合、チームの心理的安全性はうまく醸成できないでしょう。

彼女は、「不安」を具体的に以下の4つに分けました。
参考:『Amy Edmondson, Building a psychologically safe workplace, TEDxHGSE

能力がないと思われることに対する不安

能力がないと思われる不安があると、メンバーは適切な報連相(報告・連絡・相談)をする気にはなれません。
結果、重大なことが生じなければ問題とはならないでしょう。

しかし、重大な事態に発展するケースが、しばしばあります。

能力がないと思われるかも知れないというメンバーの不安が、組織やチームの大きなマイナス要因として作用するのです。

無知と思われることに対する不安

業務についての正確な知識がメンバーになければ、業務の正しい遂行はありえません。

ところが、心理的な安全性が確保されていない組織やチームでは、メンバーからの周囲への質問や相談がなされない傾向にあります
自身の無知が発覚すると、周囲から非難される可能性があるからです。

もちろん、業務上のトラブル発生リスクが高まるのです。

考え方がネガティブと思われることに対する不安

考え方は、人それぞれです。
ほかのメンバーの意見に、同調できないときもあるでしょう。

それでも、「ひとさまの意見に反対ばかりする」などの評判が立つことは、一切気にならないでしょうか。

問題の芽を、早期に発見できなくなるのです。
早い段階で芽を摘んでおけば、深刻なトラブルに発展する可能性を小さくできます

業務の妨げになっていると思われることに対する不安

斬新なアイデアには、入念な検討が不可欠でしょう。
ときとして、会議が長期化する一因ともなり得ます。

しかしながら、長期化の原因となったアイデアに冷たい無言の視線が送られているようでは、安心しての提案は難しいのではないでしょうか。
もしかすると、企業の大躍進につながるかも知れないすばらしいアイデアが、メンバーの心の中に埋もれてしまうかも知れないのです。

心理的な安全性を提唱した本人が感じる世間の勘違い4つ

心理的な安全性という考え方を正確に理解できていれば、組織やチームの生産性がアップします。

しかし、提唱者のエドモンドソン教授は正しく理解できていないケースを目にすることが、少なくないといいます。
本来なら生産性アップから獲得できているはずのさまざまなプラス効果を、獲得できていないのです。

以下に紹介する4つの正しくない認識が、見当たらないでしょうか。

(1)周囲への気遣いが多いチームほど心理的な安全性も向上

心理的な安全性の高い組織やチームでは、メンバーがほかのメンバーを傷つけないよう、感じのいい振る舞いを求めることはありません。
全員が仲よしの組織やチームを、「心理的な安全性が高い状態にある」と考えるのは誤りです。

自身の意見と異なる意見の主張をするメンバーがほかにいるとき、建設的な議論が可能な組織やチームこそ、心理的な安全性が高いと言えます。
意見の衝突も、もちろんあるでしょう。

しかし、「組織やチームにとって建設的な不快感やストレスは可」と考えるのが、正しい理解です。

前向きな意見の対立から双方の関係性が悪くなるようでは、心理的な安全性が高い状態にあるとは言えません。

(2)業績の基準を下げると心理的な安全性も向上

業績の基準を下げれば、心理的な安全性が高まるという間違った認識の人も1部にはいます。

業績の基準が下がることで、たしかにメンバーの居心地はよくなるかも知れません。
それでも、離職率の低下につながる可能性も否定はできないでしょう。

しかし、ここでも心理的な安全性において、「組織やチームにとって建設的な不快感は可」です。
心理的な安全性の向上と業績の基準を下げることが一致しないのは、次の図ではっきりとするのではないでしょうか。


各象限は、メンバーの状態を表しています。
そして、右上の心理的な安全性が高く、業績の基準も高い組織やチームでこそ、メンバーの学びや高いパフォーマンスが促進されるのです。
心理的な安全性を高めて、メンバーをこの象限に導くのが理想です。

(3)心理的な安全性は“信頼”と同義

概念の生みの親・エドモンドソン教授は、「信頼は心理的な安全性の別名ではない」や「それぞれを置き換えることはできない」などの表現も使っています。

さらには、信頼とはメンバーが組織やチームをさしあたって信じてみようと思うことであり、心理的な安全性とは組織やチーム(のマネージャーとほかのメンバーすべて)が、メンバーをさしあたって信じてみようと思うことともしています。

「信頼のベクトル(向き)が違う」といった表現も可能ではないでしょうか。

組織やチームの心理的な安全性を高める責務を負っているマネージャーは、この点についても正確な認識を持っておくべきでしょう。

(4)心理的な安全性の高いチームメンバーの性格は外向的

心理的な安全性とチームメンバーの性格に関係性のないことも、エドモンドソン教授は著書の中で述べています。

組織やチームの心理的な安全性が向上しない原因を、メンバーの性格が内向的なことと考えるマネージャーも1部にはいるようです。
この考え方が正しいのなら、その組織やチームの心理的な安全性は、いつまでたっても向上し得ないでしょう。

マネージャーも、いずれは心理的な安全性の向上をあきらめざるを得ません。

しかし、心理的な安全性とチームメンバーの性格は無関係です。
心理的な安全性が上がらない原因は、ほかの場所にあると考えられます。

チーム内の心理的な安全性に対する勘違いをなくして得られるメリット

非常に有効な概念であっても、それを勘違いして捉えていては、効果には結びつかないでしょう。

心理的な安全性を正確に理解し、高いレベルで確立できたときに得られるメリットは多くあります。
それらを、組織やチームにもたらされるものとメンバー個人にもたらされるものに大別しました。

いずれかに、効果の発現が見られないときのチェックにも役立つでしょう。

組織やチームにもたらされるメリット

組織やチームの全員が努力することで、心理的な安全性は獲得できます
それによるリターンは、以下に紹介するような形で、いったんは組織やチームが享受します。

しかし、マネージャーやメンバー個人に、なんらかの形で分配されるのが望ましいでしょう。

離職率の低下

少子化などから、各企業は人材の確保に懸命です。
離職率の低下を目指している点で、企業間における差はないでしょう。

マネージャーの勘違いから、心理的な安全性の向上をあきらめているようでは、離職率は高い水準で推移を続けるのみです。

組織やチームの弱みが改善

メンバーが率直に意見を言えない組織やチームで、それらの弱点をはっきりと指摘するのは容易ではないでしょう。
特に、その弱点がマネージャーやほかのメンバーの利益につながっている上に、周囲への気遣いが求められていれば、なおさらではないでしょうか。

心理的な安全性が確保されている組織やチームでは、そういった弱点であってもきたんなく指摘されます

弱点の払拭は、自社が社会に提供する製品やサービスのイノベーション(革新)にもつながります。

生産性アップ

各メンバーが高いパフォーマンスを発揮できれば、メンバーそれぞれの生産性は上がります
そして、さらなる組織やチーム全体の生産性アップへとつながるのです。

もし、マネージャーが業績の基準を下げると心理的な安全性が向上すると考えていたのなら、どうでしょう。

メンバーはその組織やチームを快適に感じるか、やる気を失うかのいずれかしかありません。

共有できる情報量の増大

心理的な安全性とは、「メンバーがただちに感じられる経験」という表現も、エドモンドソン教授は使っています。

組織やチームの心理的な安全性が高まることで、メンバーは安心して建設的な意見を口にできるようになります
マネージャーやメンバーが“心理的な安全性=信頼”と間違った認識でいるようでは、属する組織やチームで心理的な安全性を確保することなど望むべくもありません。

迅速な問題の解決

心理的な安全性が高まると、メンバーはこれまでは口にしなかったことでもはっきりと発言するようになります。
すると、組織やチーム内のコミュニケーションの活発化や円滑化が促されるのです。

結果、なんらかの原因でプロジェクトの進展が思わしくなくなったときでも、解決の手がかりを見つけやすくなります。

ハラスメント発生率の軽減

先輩のハラスメントを指摘できるでしょうか。
属している組織やチームの心理的な安全性が低ければ、難しいでしょう。

エドモンドソン教授は自身の著書内で、メンバーの性格と心理的な安全性は無関係としています。
前向きな意見が言える環境下なら、内向的な性格のメンバーでも指摘をできるようになるはずです。

ハラスメント抑制の効果は、360度評価にもあります(参考:『あの有名企業も!360度評価の違いを10社の導入事例と共に解説』)。
心理的な安全性と組み合わせることで、より効果的なハラスメント対策となるでしょう。

メンバー個人にもたらされるメリット

各メンバーは以下に紹介することを期待して、心理的な安全性の構築に協力する側面が大きいでしょう。

アサーティブ・コミュニケーションが身につく

近頃求められるようになってきたのが、アサーティブ・コミュニケーションです。

心理的な安全性の向上に向かって個々のメンバーが取り組むことで、アサーティブ・コミュニケーションのスキルが自然と身につきます

“ウィズダム英和辞典 第四版”では、“assertive”を“しっかり自己主張する”などと紹介しています。

しかし、一方的に自己を主張することではありません。
相手の尊厳も考慮しながら意見を交わすのが、アサーティブ・コミュニケーションです。

マネージャーやメンバーのすべてが相手に優しく接する組織やチームこそ、心理的な安全性が高いと考えているようでは、決して身につかないスキルです。

ストレス軽減

心理的な安全性の向上により、自身に素直でいられるようになります。
各メンバーのストレスが、軽減されるようになるのです。

組織やチーム内で達成できている心理的な安全性の度合いを確認

心理的な安全性の達成レベルには、いつも関心を払っておくべきです。

心理的な安全性は、常に一定ではありません。

組織やチームを構成するマネージャーやメンバーの日ごろの心がけしだいで、変化していると考えていいでしょう。
人間の心は、変化するものだからです。

心理的な安全性の達成レベルを測るのに便利な方法を、次に紹介します。

7つの質問

心理的な安全性を定量化する方法の1つです。
提唱者は、心理的な安全性の生みの親でもあるエドモンドソン教授です。
以下7つの質問が書かれたチェックシートをメンバーに配り、当てはまる度合いを1~5までの数値で回答してもらいます。

  1. チーム内でミスをしたとき、ほとんどの場合で責められない
  2. チーム内で生じている問題について、ほかのメンバーたちやマネージャーと指摘し合える
  3. 相手の頼みや要求を拒むメンバーがチーム内にいない
  4. チーム内でのリスクを取った振る舞いが許容されている
  5. ほかのチームメンバーに助けを求めるのは容易
  6. ほかのチームメンバーの仕事をさげすむメンバーやマネージャーはいない
  7. ほかのメンバーと仕事をともにするとき、自身の才能やスキルへの尊重と活用が感じられる

スコアが高ければ高いほど、その組織やチームの心理的な安全性は高いと考えられます。

3つのサイン

これも、エドモンドソン教授が提唱者です。
心理的な安全性が高い組織やチームでは、次の3つのサインが見られるとしています。

  1. 積極的で肯定的な発言が多い
  2. 成功のみならず、いい結果とならなかったことや問題などについての会話がある
  3. 笑いとユーモアを組織やチームが促しているのを感じる

7つの質問より、手軽にできるチェック方法です。
マネージャーはこれらのサインの確認のみで、担当する組織やチームの状態を測れるのです。

ほぼ毎日でも、確認ができるのではないでしょうか。

ストレスチェック

ストレスチェックも、心理的な安全性が適切に確保できているか測るのに有効です。

1972年に制定された労働安全衛生法では1部改正により、年1回以上のストレスチェック実施が義務化されました。
50人以上の従業員を有する事業所に対して、2015年12月1日から適用されています。

ストレスチェックで、心の健康を専門的に診断できます。
従業員の心の負担や不調などを、いち早く把握できるのです。

また、多くの企業が導入済みのはずです。
ただちに活用できるのではないでしょうか。

ストレスチェックについては、この記事にも言及があります。
職場を活性化させる5つのメリット!活性化する流れと改善方法をご紹介

組織やチームの心理的な安全性を向上させるための施策

次に、向上させるための施策を2つに分けて紹介しています。

施策とはいってもマネージャーが持つ権限は、さほど大きくはないでしょう。

施策を、企業が実施できるものとマネージャーが実施できるものに分けています。

企業が実施できる施策

以下は、マネージャー1人の判断では導入が難しい、比較的コストを要する施策です。

マネージャーは企業の上層部に、これらを提案する形になるでしょう。

マネージャーへの研修

心理的な安全性の醸成に、マネージャーは大きく関わっています

しかし、エドモンドソン教授が感じるような勘違いをしているマネージャーもいるのが現実です。

とはいうものの、どのマネージャーがどのような勘違いをしているのかの判別は困難ではないでしょうか。
マネージャーを対象とした研修の提供をビジネスとしている企業があります。

心理的な安全性が高まれば、組織やチームのみならず、企業の将来にも明るい兆しが見えてくる可能性も高まります。
検討の価値は十分にあると考えていいでしょう。

マネージャーのみを対象とするもの以外に、マネージャーとメンバー、または、それぞれを対象とした研修も用意されています。

チームビルディングの導入

メンバーが一丸となって目標に向かっていけるよう、組織やチームをつくりあげるための取り組みがチームビルディングです。

適切にチームビルディングされていると、心理的な安全性の向上も容易になります

チームビルディングを目的とした研修では、ワークショップやゲームなどを取り入れて、参加者が楽しめるようになっています。

1つのチームのみを対象として研修を実施するなら、ワークショップを取り入れたチームビルディング研修が適しているでしょう。

複数のチームメンバーを研修に参加させるときには、ゲームの要素を取り入れた研修が多くの場合で実施されます。
フラフープを用いるチームゲーム“ヘリウムリング”などの名称を、耳にしたこともあるのではないでしょうか。

ゲームはもちろん、ワークショップも、参加者の全員が楽しみながら学べるようにつくられているのが、チームビルディングに有効な理由の1つです。

チームビルディングとワークショップについては、この記事に詳しく書かれています。
チームビルドの目的やメリットは?実践したいワークショップ例を紹介

ピアボーナスの導入

ピアボーナスは、心理的な安全性を高めるために、Googleも導入している制度として話題になりました。
“同僚”を意味する英単語“Peer”と、“ボーナス(賞与など)”を表す“Bonus”を組み合わせた造語です。

Googleのピアボーナスは、16,000円ほどの現金です。
メンバーが所属するチーム以外のチームで働くマネージャーやメンバーに送れます。

少額の報酬のほかに、称賛のメッセージなども添えて送る方法を採用している企業も少なくありません。

また、同じチームの同僚にメッセージのみを送れる企業もあります。

ピアボーナスにも、さまざまな形があるようです。

1on1ミーティングの導入

組織内の風通しをよくし、心理的な安全性を確保するためにも、1on1ミーティングが注目されるようになってきました

マネージャーとメンバー間で、定期的に実施されるミーティングが1on1ミーティングです。

定期的に実施されることから、実施の時間を30分ほどとしている企業が多いのではないでしょうか。

1on1ミーティングを全社で導入するに当たって、まず人事部が動きはじめめるのが通常です。
次に、人事部や特定の部署で、試験的な運用を実施。

改善を重ね、見通しのついた時点で、全社での運用となる場合が多いようです。

また、1on1ミーティングを導入してはみたものの、得られるはずの効果を実感できていない企業も1部にはあります。
そういった企業では、1on1ミーティングを改善するための研修を導入してみるのはいかがでしょうか。

マネージャーが実施できる施策

マネージャーの心がけ1つで、実践できるものばかりです。
いずれも実践するに当たって、コストが発生することはありません。
難しさも、特段には感じられないでしょう。
早ければ、明日からでもはじめられるのではないでしょうか。

メンバーに対する日常の気遣い

心理的な安全性の確保に要する手間と時間を減らすため、近頃では1on1ミーティング専用ツールを導入する企業も増えてきました
責めるような話し方や、メンバーを拒絶するような表情にも注意するべきでしょう。

1on1ミーティング以外のときでも、マネージャーはメンバーに対して配慮しなければなりません。

偏見は、もってのほかです。
偏見のないオープンマインドが、重視されるようになってきました。

オープンマインドでないマネージャーに、メンバーが心を開けるでしょうか。

組織やチームの心理的な安全性を向上させるには、自身とは異なることを理由に、特定のメンバーを拒絶などしないようにするのが大切です。

組織やチームの現状についての情報を共有

メンバーとの情報の共有も、心理的な安全性の確立には重要です。

わからない部分が多い組織に対して、不安を感じるのが人間です。
そういった組織やチームで心を開くメンバーは、いないでしょう。

メンバーが心を開かない以上、心理的な安全性の確立もありえません。
組織やチームの現状況をできるかぎり速やかに、適切な方法で、マネージャーは伝えるべきです。

また、特定のメンバーにのみ情報を伝えないなど、情報の操作も禁物です。
情報を伝えられなかったメンバーは、疎外感を抱いてしまいます。

質問・相談・提案を歓迎

1on1ミーティング以外の時間でも、メンバーからの質問・相談・提案を喜んで受け入れるのも1つでしょう。
コミュニケーション自体が増え、心理的な安全性が高まることにつながります。

また、メンバーの前向きな気持ちも育まれます。

これらに対して歓迎的ではない態度をマネージャーが取ってしまうと、心理的な安全性の確立からは遠ざかってしまうでしょう。

メンバーの提案が元になった新しい試みが成功しなかったときも、責めるような態度はよくありません。
組織やチーム全員の前向きな姿勢をつくるのが、心理的な安全性を確立する目的だからです。

組織やチームの心理的な安全性の高さを定期的に確認しよう

組織やチームの心理的な安全性の高さがどの程度かを、定期的に確認するのがいいでしょう。

全員の努力があれば、いったんはかなりの高さにまで達することも珍しくはありません。

しかし、それでも安心するべきではないのです。

心理的な安全性の高さは、常に変化しているからです。
記事内で紹介した方法などを用いて、一定の間隔で測るようにすれば、下落もいち早く把握できます。

さらなる上昇が確認できれば、マネージャーやメンバーのこれまで以上のやる気にもつながるのではないでしょうか。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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