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凝り固まった組織を変える〜ミドルマネージャーのマインド変革プロジェクトを進める3つの鍵〜

グローバル化や急速な技術発展など、企業を取り巻く環境は急激に変化しました。

このような状況下で、社員一人ひとりの能力やスキルを伸ばす「人財開発」に注力する企業が多い一方で、健全で持続的に成長をする文化を構築するためには「組織開発」にも取り組む必要があります。

そのためには、ミドルマネージャーが新しいマネジメント手法を学び、レジリエンス・マインドの変革に取り組むことが重要です。

本セミナーでは、コーチマッチングプラットフォームやプロコーチ養成講座を提供しているZaPASS JAPAN株式会社の代表取締役COOの管氏をお招きして、現代のマネージャーに求められているレジリエンスやなぜ組織が変われないのかについて、事例を交えながら以下の内容でお話しさせていただきました。


  • 現代のマネージャーに求められているリスキリング

  • 凝り固まってしまった組織が変われない理由

  • マインド変革の事例

  • 明日からできる取り組み


下記にお悩みの経営・人事の方々はぜひご一読ください。


  • 持続的に成長する組織を作りたい方

  • 組織の拡大に伴い、エンゲージメントが高い組織を作りたい方

  • マネージャーの育成にお悩みの方

  • 若手社員の育成方法について知りたい方


登壇者プロフィール


ZaPASS JAPAN株式会社
代表取締役 COO
管 大輔 氏

2013年に早稲田大学教育学部卒業後、株式会社ガイアックスに新卒入社。SNSマーケティングのコンサルタントとして事業に携わり、2015年9月から事業部長に就任。クラウドソーシングの活用、リモートワークの推奨、複業の自由化など、働き方改革を推進。その結果、2年間で売上5倍、離職率を40%から0%に改善。2017年上半期ガイアックス全社MVP。働き方改革関連の取材、イベント登壇実績多数。

2019年にZaPASSを共同創業し、コーチ養成講座事業の立ち上げを牽引。現在は法人事業の責任者を務めている。

▼「ZaPASSコーチングサービス」へのURLはこちら
https://zapass.co/


株式会社ZENKIGEN
revii事業部 プロダクトマーケティングマネージャー
東 壌

2012年に株式会社大塚商会へ新卒入社し法人営業に従事。2014年に株式会社マイナビに入社し、法人営業や事業部内人事を担当。2020年にアイセールス株式会社に入社し、営業部長と人事責任者を経て、2022年より現職。

▼「revii(リービー)」へのURLはこちら
https://revii.jp/

現代のマネージャーに求められているリスキリング

東: 今まではメンバーは不明点があった際にはマネージャーに聞きにいき、マネージャー=正解という世界観でした。しかし不確実な時代となった今は、マネージャーとメンバーが一緒に正解を探していくようになったと感じます。こうした時代的な背景も相まって、マネジメントやミドルマネジャーの役割が変わってきています。管さんのお客様の中でも、こうした課題感を持つ方が多いのではないでしょうか。

管 氏 :おっしゃる通りです。これまでのマネジメントスタイルでは、ティーチング型やアドバイス型でマネージャーの方がメンターとなって、持っている知見や経験をメンバーに共有することが役割として期待されていました。最近では、メンバーの自律的な思考や行動を促す、コーチングのような関わり方に切り替わっているように思います。

——若手人材の価値観やマネージャーに求める人物像の変化


東: 僕もそのような感覚が年々強くなってきました。リクルートマネジメントソリューションさんの資料で、「理想の職場とはどのような職場か」といったアンケートを、2021年と10年前のデータで比較してみたものがあります。2021年の結果では「お互いに個性を尊重する」「お互いに助け合う職場がいい」と回答されている方が17%ほど増えました。また、理想のマネージャーについては「一人ひとりに対して丁寧に指導する」「よい仕事を褒めてほしい」「相手の意見に耳を傾けてほしい」といったところが過去と比べて非常に増えています。

正解を知ってやり切らせる、というリーダーシップが徐々に求められなくなっていることが、このようなデータからも見えてきます。


東: また、「悩みを相談しやすい上司や先輩はどのような人ですか」というアンケートでは「普段から自分の人間性や価値観を認めてくれていると感じる人」「押し付けがましくない人」などの回答結果もありました。マネージャーがメンバーを理解し、聞いてあげるなどの行動を通して、若手人材が安心して発言できる世界観を作っていかないといけないところが、見てとれるかなと思います。

とはいえ、現場のマネージャーの皆様も目先の短期的な数字に追われ、社会情勢やメンバーの価値観も変わってきている状況下では、何をすれば良いのかわからなくなることもあると思います。具体的に、リスキリングでは何のスキルが最も必要とされているのでしょうか。

管 氏 :先ほどのティーチングからコーチングへ変わるというところで言い換えると、今まではいかにわかりやすく説明し、伝えるかというスキルが重視されていました。そのために伝える練習やトレーニングは結構されていると思います。今後は、相手の話に耳を傾け、傾聴した上で承認するスキルが求められるようになるので、話を聞く練習や相手を認めるトレーニングが必要です。

——相手の話を聞くトレーニングとは

東: 話を聞くトレーニングとは、どのようなトレーニングがあるのでしょうか。

管 氏 :相手が話しているときの自分の思考や、相手の話の受け取り方を確認し、メンバーにアドバイスをする前に質問して思考を促してみるなどのトレーニングが重要です。私自身トライしてみて、難しさに気付かされることが多々ありました。

もちろんこれは使い分けだと思っていて、コミュニケーションの中でティーチングが重要になることもあると思います。メンバーが失敗をしてしまったときや、将来について悩んでいるときなど、本人に思考を促したほうがよい場合に、傾聴のモードに切り替えられるかが大事です。

凝り固まってしまった組織が変われない理由

東: 組織全体が変わろうとするとき、まずは個人の意識や行動に変化がないと何も起こりません。しかし、「1on1ミーティングが定着しない」「メンバーと本音で話せていない」などが起こりやすいのかなと思います。コミュニケーションの弊害が起きてしまう原因や理由について、管さんはどのようにお考えになりますか。

管 氏 :弊害の原因は、マネージャーが聞くに徹してしまうことです。さきほどの話と矛盾していますが、チームとして変わるためにはマネージャーも自己開示が必要です。マネージャーが自己開示し、本音で話さないと、メンバーは自分自身について話しにくいですよね。マネージャーが感情的な側面を出して初めて、関係性を作れるようになると思います。

また、マネージャーの方々は過去の成功体験があるからこそ、よくも悪くもアドバイスに寄りがちになります。自分の経験や知見がすべて正しいわけではないという前提に立って向き合うところも、マインドとして重要です。

——マネージャーはどのように自己開示すべきか

東: マネージャーがメンバーに自分のキャリアビジョンを伝えているイメージはあまりないのですが、管さんは会社のメンバーに自身のキャリアビジョンを話すことはありますか。

管 氏 :メンバーに聞くときは自分も話すようにしていますね。キャリアビジョンに限らず、業務に関係のないプライベートの情報もシェアしています。1on1ミーティングの時間にあえて「最近しんどいんだよね」などの話をすることで、メンバー側にこのぐらい気楽に話していい場だと認識してもらえれば、徐々に業務の合理的な会話以外の内容も出てきやすくなるかもしれません。

東: 面白いですね。マネージャーから「しんどい」「つらい」といったネガティブな言葉はメンバーに感情が伝播してしまうことを懸念してしまいます。ただ、管さんのお話を聞くと、たしかにマネージャーから自己開示があるとメンバーは話しやすくなりますね。

管 氏 :私の会社では、ミーティングの冒頭にチェックインという時間を作って、自分の状況を伝えています。特にリモートだと、相手の調子がわかりにくいため、非言語的なところを開示してコミュニケーションを柔らかくしています。

——メンバーに弱みを見せることは不利になるのか

東: 弱みを見せることで、経営者として不利になるのではないかと心配される方も多いと思いますが、いかがでしょうか。

管 氏 :いろいろな経営スタイルがあるので、何を重視されるかだと思います。メンバーの自己開示を促すのであれば、強みだけではなく弱みもすべて共有をしながら一緒に作っていくことが鍵になると思います。もちろんこれだけが正解というわけではありません。

東: やはり弱みを見せることで、最後のもうひと踏ん張りとか、あと一歩みたいなところが弱くなってしまうという懸念が僕もありました。でも弱みも含めて、お互い作っていくべきだという話ですよね。

管 氏 :そうですね。根本には、リーダーや経営者の方がどういう組織を作っていきたいのかという思想が最初に来るべきだと思っています。そして、その思想に基づいてマネジメントスタイルを決めていくのがいいと思うんですね。これがすべて正解というわけではなく、ご自身がどのような思いを実現したいのか、内省しながら決めていくのがいいのではないでしょうか。

マインド変革の事例を紹介

——マネージャーに大きな変化があった事例


管 氏 :Kellogg’sさまの事例を紹介したいと思います。

Kellogg’sさまは過去にもマネジメント研修をされていましたが、日常業務が忙しく、研修への積極的な参加を促すには工夫が必要と感じられていました。そこで、先にコーチングを体験してもらい、価値を感じてもらった上で、学びの研修を進めましょうという提案をさせていただきました。

まずコーチングセッションについて、自分の話を100%集中して聞いてもらえることに感動されたマネージャーの方が多くいらっしゃいました。特にレイヤーが上がれば上がるほど周りの人の話を聞く機会は増えますが、自分の話を聞いてもらう機会は減りますよね。話を聞いてもらうことで思考が促され、視野が広がり、長期的な目線で物事を考えられるようになったと、ご自身の変化を感じられていました。

その後研修を行うと、多くののマネージャーの方々が前のめりに関わっていただきました。メンバーからも「マネージャーが変わった」と驚きの声が人事に上がってきたそうです。社内のエンゲージメント調査でも人間関係に関する数値が大きく改善され、ポジティブなインパクトがあったようです。

明日から社内でできる取り組み

管 氏 :話を伝えるところと聞くところから工夫ができると思います。
伝える方法に関しては、KPIや目標に直結しない、感情面や人間味がある自己開示をすることで、関係性が少し変わってくると思います。

聞く方法は、ティーチングやアドバイスのモードに入らずに、相手の話を一言一句最後まで聞き切る。かつアドバイスの代わりに質問を投げかけてみて、話を引き出していくような時間を1on1ミーティングなどで作ってみるといいかなと思います。

質疑応答

——どれくらいの頻度でメンバーとコミュニケーションを取っていますか。

管 氏 :1on1ミーティングは、週に1回もしくは2週間に1回の頻度で30分取っています。また、複数人いる場のミーティングは週に2〜3回です。それ以外では、自分のカレンダーを共有しているので、空いてる時間に自由にミーティング設定していいよと伝えています。

——冒頭の「チェックイン」とは具体的にどういった話をされていますか。また、互いにどのようなフィードバックを行っていますか。

管 氏 :チェックインは日常的な話が多く、「今年のヨーロッパは暖冬で、最近は毎日晴れている」「子どもが体調を崩していて、今日のミーティング中も途中画面をオフにするかもしれません」などです。フィードバックはあまり目的にしていなくて、きちんとお互いの話を聞くところにフォーカスしています。

——1on1ミーティングはオンラインだとやりづらいような気もしますが、コツがあれば教えていただきたいです。

管 氏 :やりづらさはまったくないですね。強いて言えばオンラインは感情面や体調面が見えにくいことです。そのため、リアルで話すときよりも相手の状態に意識を払っています。それ以外の面でオンラインがやりにくいことはないかなとは思います。

——組織変革に取り組みされる際、変化を起こしやすい部署やチームの特徴などはありますか。

管:ここはリーダーが課題感を持っているか、あるいはリーダー自身が変化したいと思っているかがポイントです。僕らは、当事者がどのくらい強く変化を望んでいらっしゃるかを見て判断するようにしています。

–この度はご登壇いただき、誠にありがとうございました。

reviiコラム編集部

revii(リービー)のサービス企画・運用に携わるメンバーが、組織改革やマネジメント育成、1on1ミーティングなどで役立つ情報・HowToを発信しています。
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