新入社員と1on1を実施する目的
新入社員と1on1ミーティングを実施する目的は、下記の5つです。
- 信頼関係の構築
- メンバーの仕事を理解してもらう
- 目標の設定
- 適切な仕事量の把握
- 心身の健康チェック
普段メンバーと1on1を実施する目的と同じ項目もあります。
しかし、新入社員の場合は会話内容やアプローチの方法が異なります。
本章を読んで新入社員との1on1ミーティングにおける実施の目的に理解を深めましょう。
信頼関係の構築
新入社員との信頼関係の構築は重要です。
1on1ミーティング実施における信頼感関係の構築は、新入社員に限った目的ではありません。
しかし、新入社員においては、特に重要だと考えていいでしょう。
なぜなら、信頼関係の土台を構築しなければならないからです。
メンバーと社員の信頼関係における土台がしっかりと構築されることによって、失敗やトラブルに強い人材が育ちます。
そして、マネージャーからのネガティブなフィードバックも「自分の成長のために言ってくれている」と前向きに捉えられるのです。
また、信頼関係は、短時間で構築できるものではありません。
時間をかけて確実に新入社員とのよい関係を築いていきましょう。
メンバーの仕事を理解してもらう
新入社員に自身の仕事を理解してもらうと、生産性の向上へつながります。
理解できているとマネージャーが思っていても、新入社員が理解できていない可能性も否定できません。
例えば、新入社員が自分の仕事とは違うことに時間を費やしている場合、チームワークが乱れてしまいます。
そのため、チームの生産性が低下し、そして組織全体の生産性も低下してしまうのです。
メンバーの仕事を理解してもらえると、新入社員は自身の立ち位置が理解できます。
そして、自分の仕事へ注力してもらえるので、チームの生産性の向上が見込めるでしょう。
目標の設定
目標の設定をしておくと、業務が明確になるので、新入社員は働きやすくなります。
そして、目標の設定は、日々の業務を計画的に実行するうえで必要不可欠です。
ゴールが設定されていると、業務の逆算ができるので、計画的に仕事を進められます。
よって、新入社員は、自律的に自身の業務と向き合えるのです。
働き方が変化している現代社会において、マネージャーは、メンバーの自律サポートも求められています。
また、1on1ミーティングは1対1で話せるので、目標の設定を実施するのには最適です。
そのため、1on1ミーティングを目標設定や共有の場としてもいいでしょう。
適切な仕事量の把握
新入社員の仕事量が、適切であるか把握するのは重要です。
仕事量が多過ぎる場合、新入社員の負担も大きくなってしまいます。
また、多くの業務を抱え込んでしまった新入社員を放置した場合、精神的に追い詰められてしまう可能性があります。
そのため、業務過多の場合は業務を減らしましょう。
そして、新入社員に余裕がありそうな場合は、業務を増やしたり新たな業務を任せてみたりしてもいいでしょう。
新入社員に対する仕事量が適切であるかの確認や観察は、マネージャーの大切な仕事なのです。
心身の健康チェック
1on1ミーティングは1対1で会話をするため、新入社員の心身の健康を観察するのに適しています。
特に新入社員は、慣れない場所で仕事をするうえに、わからないことが多くストレスも溜まりやすい傾向があります。
そのため、1on1ミーティングでの心身の健康チェックは、欠かさないようにしましょう。
また、普段からメンバーの心身の健康に気を付けていると、些細な変化にも気づけます。
心身の健康維持は、社会人にとって必要なスキルですが、新入社員の場合はそこまで気が回っていない可能性が高いのです。
よって、マネージャーは新入社員の心身の健康の観察をし、早めのアドバイスや本人の意思確認を行うといいでしょう。
新入社員とのミーティングの基本
1on1ミーティングには、ある程度基本があります。
しかし、相手が新入社員の場合は少し違います。
新入社員に適切なミーティング方法があるのです。
本章では、下記の2つについて詳しく説明していきます。
- 新入社員が話しやすいテーマの提供
- より理解しやすいミーティングの進め方
最後まで読んで、充実したミーティングの実現に向けて参考にしてください。
新入社員が話しやすいテーマの提供
新入社員が話しやすいテーマの提供は、1on1ミーティングの充実に欠かせません。
普段、1on1ミーティングを実施する際は、メンバーが主導となって話を進める場合がほとんどです。
しかし、新入社員の場合は多少違います。
マネージャーが質問を投げかけることにより、短い時間の中でも効率的に話しを進められるのです。
なかでも新入社員が話しやすいテーマを選ぶことによって、メンバー主導の会話へと変えられます。
また、マネージャーが自身の体験談などを話してから質問をすると、新入社員の話しをより引き出しやすくなります。
気を付けたい点は、質問と傾聴のバランスです。
どちらかに偏りすぎると、新入社員は話しづらいと感じる可能性があるので注意です。
よって、新入社員が1on1ミーティングに慣れるまでは、話しやすいテーマの提供をこころがけるといいでしょう。
より理解しやすいミーティングの進め方
新入社員と1on1ミーティングを実施するにあたり、“内容の理解のしやすさ”は重要です。
普段メンバーとミーティングをするときよりも、よりわかりやすく進める必要があります。
わかりやすいミーティングに必要なことは、下記の4つです。
- 全体像を伝える
- 簡潔に説明する
- 先に結論から伝える
- 専門用語はできるだけ避けるか、補足をしてから使用する
上記の4点からわかるように、長々と話しをするのは避けたほうがいいでしょう。
理解しやすいミーティングは、メンバーの成長を大きく左右します。
よって、新入社員とのミーティングは、特に理解のしやすいミーティングを意識するといいでしょう。
新入社員におすすめなフィードバック方法
1on1ミーティングの実施において、重要な実施事項はフィードバックです。
しかし、フィードバックにはさまざまな方法があります。
本章では、新入社員へ特におすすめなフィードバック方法を2つ紹介します。
サンドイッチ型とSIB型フィードバックにより理解を深め、効率的な1on1ミーティングの実施を目指しましょう。
サンドイッチ型
サンドイッチ型フィードバックは、ネガティブをポジティブでサンドイッチするフィードバック方法です。
褒める・指摘する・褒めるといった順番で伝えると、新入社員のモチベーションをあまり下げずに改善点を伝えられるのです。
入社したばかりの社員は、失敗も多くモチベーションを保持するのが困難な場合も想定できます。
しかし、間違えの指摘も必要です。
サンドイッチフィードバックは、褒める割合が多いフィードバック方法のため、モチベーションの低下を防げるのです。
よって、新入社員のモチベーションが低下していると感じた場合は、特にサンドイッチ型フィードバックが有効だといえます。
SBI型
SBI型フィードバックは、状況・行動・影響の順番でフィードバックを実施します。
それぞれの項目に分けて詳しく説明をするSBI型フィードバックは、理解しやすく新入社員に適しているといえるでしょう。
また、新入社員が自身の起こした行動でどのような影響があったかを客観的に知れるため、内省を促せます。
しかし、マイナスの影響があった場合は、伝え方に十分な配慮が必要です。
一方、プラスの影響があった場合は、良かった所を強調して伝えるといいでしょう。
相手に伝わりやすいSBI型フィードバックは、状況に応じて使うことにより、新入社員の成長を促進できます。
そのため、1on1ミーティングに上手に取り込むと、効果的です。
1on1ミーティングNG例
新入社員との1on1ミーティング実施において、気を付けておきたい点は下記の3つです。
- マネージャーが話し過ぎてしまう
- ネガティブな話題が多い
- 話しの意図が不明確
上記3つは、普段のミーティングでも避けたい行動となります。
また、特に新入社員においては、関係性が構築される前なので特に避けたい行動です。
マネージャーは、自身と置き換えてNG行動をしてしまっていないか今一度振り返りましょう。
マネージャーが話し過ぎてしまう
マネージャーの話し過ぎは、新入社員の対話も妨げになるので避けましょう。
沈黙を避けるために、つい話しすぎてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし新入社員との1on1ミーティングにおいては、特に話しをコンパクトにまとめる必要があります。
また話が長くなればなるほど、何が重要であるのかが読み取りづらくなります。
理由は、長々と話しをされても1度に理解できる情報量には限りがあるからです。
特に新入社員の場合、わからないことが多いです。
よって、簡潔かつコンパクトに話をまとめて話すことにより、新入社員はより理解しやすくなります。
ネガティブな話題が多い
1on1ミーティングでネガティブな話題はできるだけ避けましょう。
特に、別のメンバーや会社に対する個人的なネガティブな話しは慎むべきです。
組織の士気が低下するだけではなく、メンバーに対する信頼も低下する可能性が高いからです。
しかし、指摘などでネガティブな話しをしなければならない場合もあります。
そのような場合は、ポジティブな話題とネガティブな話題を7:3程度にして話すとよいでしょう。
バランスを考えて話しを進めると、新入社員のモチベーションを下げることなくミーティングが実施できるのです。
話しの意図が不明確
話しの意図が不明確だと、会話の相手に伝わりにくいと共に、時間のロスになります。
マネージャーは、話しをする前に、何を伝えたいのかきちんと整理してから発言するクセを付けましょう。
はじめのうちは、頭の中で考えながらの会話は難しいと思われるかもしれません。
そのような場合は、下記を取り入れてみると効果が期待できます。
- メモを取りながら話を進める
- 内容を細かく紐解いて話しを進める
前述したように、簡潔にわかりやすく話を進めることは、充実した1on1ミーティング実施には必要なのです。
マネージャーは、新入社員にとってわかりやすいミーティングを実施するため、話しの意図を明確にし話しを進めましょう。
新入社員とのミーティングにおけるポイント
新入社員との1on1ミーティングの実施において、有効なポイントは5つあります。
すぐに実践できる簡単なことなので、ぜひ取り入れてみてください。
具体的な数字を伝える
具体的な数字の提示は、新入社員との会話を円滑に進めるうえで重要なポイントです。
なぜなら、特に新入社員とマネージャーでは、感覚の差が大きいからです。
「たくさん」や「今度」といった抽象的なワードを使用するのではなく、明確な数字を使うことにより感覚の相違を避けられます。
明確な数字の提示により、新入社員もスケジュールを組みやすくなるといったメリットがあります。
そのため、普段から明確な数字を使った会話の実施を意識しましょう。
ビジネス用語の多用は控える
ビジネス用語の多用は、新入社員とのミーティングで控える必要があります。
ビジネス用語は略語化されていたり、英語であったりと普段使用することがない人にとっては非常にわかりにくいです。
新入社員が前職が同じ職種の場合を除いては、ビジネス用語の多用を避けるか、使用する場合は補足が必要です。
ビジネス用語の多用は、ミーティングの会話が止まってしまう可能性と、新入社員が会話の内容を理解できないリスクがあります。
アイスブレイクの実施
1on1ミーティングの実施において、アイスブレイクの実施をされている方も多いのではないでしょうか。
新入社員に対するアイスブレイクは、効果が大きいので、侮ってはいけません。
そもそも、アイスブレイクの目的には、緊張をほぐす目的があります。
効果としては、メンバーの積極性が増し、円滑なコミュニケーションが取れるようになるのです。
はじめての1on1ミーティングにおけるアイスブレイクは、自己紹介が無難です。
また、仕事とは関係値の低いテーマを決めて簡単に話すのも効果があります。
しかし、アイスブレイクには、注意する点があります。
それは仕事とは関係のない話で、多くの時間が過ぎてしまうことです。
そのためアイスブレイクは、あくまでも1on1ミーティングを充実させる手段の1つであることを念頭に入れておきましょう。
マネージャーは、10分や15分と自分の中で時間を決めておくのも効果的です。
1on1ミーティングの目的を共有
新入社員の場合、1on1ミーティング実施における目的を理解できていない可能性があります。
そのため、1on1ミーティング実施の目的の共有は重要です。
目的を理解できていないままミーティングを実施すると、せっかく実施しても成果が出ないです。
マネージャーも1on1ミーティングの目的に対する理解を深め、新入社員に共有しましょう。
また以下の記事では、1on1ミーティングの進め方をより詳しく解説しています。
進め方を理解したい方はご覧ください。
『1on1ミーティングには6つのメリットや効果がある!進め方も解説』
新入社員に寄り添う姿勢が重要です
誰しも新入社員の頃があります。
そして、新入社員はわからないことも多く、時には失敗もするでしょう。
しかし、1on1ミーティングで新入社員の失敗の原因を一緒に考え成功に寄り添うことは、メンバーの自律や能動的な行動につながります。
根気よく寄り添う姿勢は、メンバーの自律を促し、結果として生産性の向上へとつながるのです。