活性化している職場とはどのようなものか
はじめに、活性化している職場とは具体的にどのようなものかを紹介します。
職場の活性化を目指すなら、ゴールの具体的なビジョンを描いていたほうがうまくいきます。
自分の職場で実行できそうな事例があったら参考にしてください。
社内のコミュニケーションが活発な状態
活性化している職場の最も大きな特徴は、コミュニケーションが活発なことです。
ただし、このコミュニケーションとは雑談ではありません。
仕事以外の話題がどんなに盛んであっても、それはコミュニケーションが活発とはいえません。
仕事に関する話題、もしくは意見のことです。
例えば、メンバーからマネージャーへは報告・連絡・相談がきちんとされており、マネージャーはメンバーの意見に耳を傾けます。
また、よいアイデアがあったら部署を超えて共有されたり、問題がきちんと早期に明るみに出たりするのもコミュニケーションが活発な状態といえるでしょう。
このような職場は、問題が大きくなってはじめて発覚したり、よいアイデアをあるのに放置したりはありません。
従業員が会社の目標などのビジョンを共有している
職場が活性化している会社は、意思疎通がスムーズなので経営者の意図がすんなり末端まで伝わりやすいです。
理念や目標を設定している会社は多いですが、職場の活性化が不十分だと理念や目標を把握しているのは経営者ばかりといったケースも珍しくありません。
仕事は賃金を得ることも大切ですが、やりがいも重要です。
経営者の意思が末端にまでスムーズに届き、従業員全員が経営者が描いているビジョンを共有すればモチベーションも上がりやすいでしょう。
「単に売り上げ20%アップ」と直属のマネージャーに告げられるより、経営者が「今期はこのような目標を設定した、達成できれば従業員にもこのような見返りがある」と宣言し、直属のマネージャーから「そのためには売り上げをアップしないと」といわれたほうが、納得もできてモチベーションも高まりやすいです。
「自分が何のためにこの仕事をしているかわからないが、とりあえずマネージャーから指示があったからやる」といった考えかたではやる気も出にくいでしょう。
マネージャーから指示されたことをこなすだけの仕事は楽ですが、「こうすれば仕事が効率的に進められる」といった積極性も生まれません。
ゴールを明確にしてビジョンを共有し、目指すべき場所を従業員全体で共有することは重要です。
従業員のモチベーションが高い
自分が働いた分だけ見返りがあったり、マネージャーが自分の意見に耳をしっかりと傾けたりしてくれる職場は、従業員がやりがいを感じやすいです。
頑張った分だけ見返りがあると実感できれば、自然とモチベーションが高まるでしょう。
モチベーションが高まれば、自分で自分を成長させることも苦になりません。
例えば、仕事に役立つ資格を取得してみようと勉強をしたり講習会に参加したりすることにも積極的になります。
また、多少の問題があっても従業員同士で協力して解決しようと思うでしょう。
このほか、部署の垣根を越えて仕事のアイデアを出し合ったり、協力し合ったりとしたことも自然と行えます。
職場活性化はなぜ必要なのか
「職場が特に活性化しなくても、従業員が仕事さえしっかりしていれば問題ないのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに会社によっては、メンバーはマネージャーの指示に従って仕事をすることを一番に求められる場合もあるでしょう。
しかし、職場の活気が失われると会社にさまざまなデメリットがあります。
ここでは、職場の活性化がなぜ必要なのか、その理由について解説します。
コミュニケーションが円滑にならないと業務がスムーズに進まない
新入社員の教育で、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」の大切さを教えることは大切です。
マネージャーがメンバーに仕事を指示した後、報告や相談がなければ業務がどのくらい進んでいるのか正しく把握できないからです。
また、ミスがあった場合は事態の発覚が遅くなるほどリカバリーが大変になるでしょう。
コミュニケーションが円滑にいかないと、仕事が滞るだけでなく会社に重大な損害が出る恐れもあります。
職場のコミュニケーションを円滑にするには、マネージャーの態度が鍵です。
例えば、マネージャーがメンバーに仕事を振るばかりで、相談に応じようとしないとコミュニケーションは滞りがちです。
「そのくらい自分で考えて仕事をしてください」の一言は、十分に仕事に慣れたメンバー以外には使わないようにしましょう。
また、ささいなミスでも激しく叱責されることが多いと、メンバーは何も言えなくなります。
職場全体の雰囲気が暗い、活気がないと思った場合、まずはコミュニケーションの基本である「報告・連絡・相談」がうまくいっているかどうか、確認しましょう。
「目の前の仕事だけやる」「指示待ちばかり」の従業員が増える
職場が活性化していないと、仕事へのモチベーションも上がりません。
仕事のモチベーションが上がらないと、積極性も出ないでしょう。
消極的なメンバーばかりだと仕事とはマネージャーが采配し、メンバーは任された仕事をやるのみになってしまいます。
仕事をさらに自分で発展させて新しい仕事につなげるといった発想は当然出てきません。
また、何かトラブルが起こっても自分で解決しようとせず、ひたすらマネージャーの指示を待つだけになりがちです。
そのような職場(会社)は発展性もなく、成長も望めません。
離職者が増える
現在は転職に対するマイナスイメージがなくなり、若い年代ほど自分の能力を活かせる職場を求めて積極的に転職します。
職場にどんよりとした雰囲気が漂っており、従業員達にやる気が感じられないと優秀な人ほど「ここにいても将来性はない」と離職しがちです。
転職は若い年代ほど有利です。
せっかく新卒で優秀な学生に入社してもらっても短期間で離職されては意味がありません。
また、若い年代が短期間で離職すれば後身が育たずに会社の将来にも影響が出てきます。
職場の雰囲気は長年働いていると慣れてしまい「このようなものか」と思ってしまいがちです。
しかし、新入社員や中途入社のメンバーほど雰囲気には敏感です。
優秀な人材が育ちにくい
職場が活性化していないと、人材も育ちにくいです。
これからの会社に求められる人材とは与えられた仕事をそのままこなすだけでなく、自分なりに仕事を発展させて成果を出せる方です。
このような従業員は、仕事にやりがいがあり高いモチベーションを保ち続けられる職場でこそ育ちます。
また、自主的に動いて仕事を発展させる従業員を育てるためには、同僚やマネージャーのサポートも欠かせません。
しっかりとコミュニケーションを取りつつ、サポートしたりアドバイスを与えたりすれば、メンバーの自己肯定感ややる気も育っていくでしょう。
このほか、成果をあげた社員をきちんと評価することも重要です。
これらのことは、職場が活性化していないと行えません。
コミュニケーションが不活発だと、メンバーとマネージャーのやり取りは仕事の指示と最低限の報告だけになるでしょう。
頑張って仕事を発展させようといったモチベーションも育ちにくく、いくら経営者がマネージャーからメンバーにはっぱをかけるよう働きかけても、実行までに結びつきにくいのです。
職場を活性化させる4つの方法
職場を活性化させる必要性は十分におわかりいただけたことでしょう。
その一方で「職場の活性化が必要なことはわかっているが、どうやって活性化を推し進めていけばいいか悩んでいる」といった方もいるはずです。
ここでは、職場を活性化する具体的な方法を4つ紹介します。
職場にはいろいろなスタイルや伝統がありますが、実践できそうなものはぜひ実践してみてください。
経営者が会社の目指すビジョンを明らかにする
いろいろな年代、性別の方が働く職場では「働く姿から言葉の端々から自分の希望や要望を察して欲しい」とはいきません。
経営者が従業員を動かしたい場合は、できる限り具体的に会社が目指すべきビジョンを説明することが重要です。
また、目指すべきビジョンが大きくて達成に何年もかかりそうな場合は、その過程で達成すべき目標を複数設けましょう。
例えば、「業界のシェア30%目指す」というのが将来のビジョンであったら、「今年中に主力商品の売り上げを5%アップする」などの目標を定めておくと、従業員がどう動けばいいのかわかります。
目標を設定すれば、仕事をどのように進めていけばいいのかもわかりやすいでしょう。
目標達成まで着実に進んでいるとわかれば、モチベーションも上がりやすいです。
このほか、目標がなかなか達成できないことで、職場の問題点が浮き彫りになる場合もあるでしょう。
会社が目指すビジョンはどのようなものでも大丈夫ですが、できるだけ具体的に定めるのがおすすめです。
抽象的なビジョンだと具体的な目標を立てるのも難しくなります。
自由に意見がいい合える雰囲気を作る
コミュニケーションを活発にするためには、職場で自由に意見が言い合える雰囲気を作ることが重要です。
職場によっては、マネージャーに意見を言うと印象が悪くなったり出世の妨げになったりすることもあるでしょう。
また、メンバー同士でも先輩・後輩の区別が厳しく新入社員が「はい」や「わかりました」程度しか話せない、といったケースもあります。
このような職場では、コミュニケーションが活発になりません。
コミュニケーションが一方的になりがちな職場は、マネージャーがメンバーの意見を聞くことからはじめるといいでしょう。
このほか、規模が大きな会社では部署を超えたコミュニケーションを積極的に取ることも重要です。
隣の部署が何をやっているのかすら知らないでは、なかなか活性化は難しいでしょう。
横だけでなく、マネージャーとメンバーの縦、さらに部署をまたぐ斜めでコミュニケーションを充実していくのが理想です。
例えば、フリーアドレス制を導入するなどして、できるだけ多くの社員と交流する機会を作りましょう。
他部署の従業員とも交流できる機会を作る
大きな会社ほど、他部署との関係は希薄になります。
しかし、小さい会社ならば他部署との交流がさかんというわけではありません。
会社によっては、隣のデスクに座っている方がどのような仕事をしているかわからないケースもあるでしょう。
会社は、特定の部署だけで成り立っているわけではありません。
営業や企画といった目立ちやすいいわゆる“花形”と呼ばれる部署がのびのびと仕事ができるのは、総務や経理といったバックオフィス業務のお陰です。
また、バックオフィスの中でも経理や人事といった業務は会社の経営状態が見えやすい立場でもあり、そこで働いている方の意見は営業や企画の参考になるケースもあるでしょう。
職場の活発化を目指すなら、他部署の従業員とも交流できる機会を作ることが大切です。
営業や企画職はダイレクトに売り上げに直結する仕事を扱っていますが、バックオフィス業務を知ることでより仕事への理解が深まるでしょう。
バックオフィス業務に就いている従業員も、企画や営業の仕事を知ることで普段自分たちが行っている仕事がどのように役立っているか、わかります。
定期的にお互いの仕事を知る機会を設けると、職場の活性化につながります。
問題を部署で抱えない仕組みを作る
仕事をしていれば、どうしても問題は起こります。
問題が起きない会社は皆無といっていいでしょう。
一つの部署の問題でも、放置しておけば会社全体の問題になりかねません。
また、問題の中には一部署では解決が難しいものもあります。
このとき、職場が活性化して他部署とのコミュニケーションもしっかりと取れていれば、問題が小さい内に解決できるでしょう。
小さい会社の場合は、社員同士のコミュニケーションを円滑に行るようにしておくことが重要です。
問題は、放置するほど解決が難しくなります。
しかし、会社がどのような理由であってもミスを許さない雰囲気だとなかなか問題が起きたことをいいだせません。
どうにもならない状況になるまで隠しておく場合も多くなるでしょう。
そうなると非常に厄介です。
問題を小さいうちに部署を超えて解決する仕組みを作っておくことが大切です。
職場を活性化する際の注意点
職場を活性化するもっとも重要なポイントはコミュニケーションの活発化です。
また、どのような立場の従業員でも活発に意見を交すことも大切です。
しかし、職場の活性化を進めて行くにあたり、注意しなければならないこともあります。
ここでは、職場の活性化を進めるにあたっての注意点を解説します。
従業員同士のプライバシーには十分配慮する
職場の活性化のためにコミュニケーションを活発にするためには、雑談もある程度必要です。
そのため、ランチ会などの交流会を実施する職場もあるでしょう。
ランチ会ならばアルコールも入らず、時間も1~2時間程度と切りがよいため若い年代の従業員や小さい子どもを持つ従業員に好評です。
しかし、いくら雑談とはいえ、話題にしてよいことといけないことの区別はつけましょう。
例えば、20代~30代の独身社員に恋人の有無や結婚の予定を聞くのはハラスメントです。
また、私生活をあまり詮索されたくない従業員もいるでしょう。
職場の活性化に有効なコミュニケーションとは、あくまでも仕事に関する話題です。
マネージャーはランチ会などでの会話を注意して聞いておきましょう。
社員のプライバシーに踏む込むような会話が多いようならば、ランチ会ではなく議題を絞った短時間ミーティングを増やすなど工夫が必要です。
仕事は仕事、私生活は私生活と線引きを忘れないことが重要です。
飲み会やレクレーション会に過剰な期待をしない
終業後の飲み会や休日のレクレーション会などは、仕事の枠を超えて従業員同士が親しくなったり部署の垣根を越えて交流ができたりといったメリットがあります。
また、お酒が入れば緊張感も解けて会話が弾む方もいるでしょう。
その一方で、お酒が飲めない方にとって飲み会はそれほどメリットがありません。
休日に開催されるレクレーション会も、家族の都合などによっては参加できない従業員もいるでしょう。
さらに、飲み会やレクレーションはあくまでも仕事とは関係ないと切り離して考える従業員もいます。
したがって、飲み会やレクレーション会を頻繁に開けば職場が活性化すると安易に考えてはいけません。
あくまでも、複数ある手段の一つとして考えましょう。
中間管理職にすべての責任を押しつけない
職場が活性化するかどうかは、係長~部長までの中間管理職の手腕にかかっている会社もあります。
しかし、歴史ある会社の場合、職場の雰囲気がすっかり固まってしまい、一朝一夕では変わらないことも珍しくありません。
現在のビジネスにはスピードが求められます。
経営者の中には、数か月から半年で結果を出して欲しいと思う方もいるでしょう。
創業してから日が浅いベンチャー企業なら、職場の雰囲気も固まっていないため活性化もしやすい傾向です。
その一方で、歴史ある大企業の場合は「ウチの会社はこれでうまくやってきたのだから、何を今さら変える必要がある」と考えている従業員もいるでしょう。
また、古参の従業員の中には中間管理職の話を聞かない方もいます。
そのような場合、「中間管理職が悪い」と責めてはいけません。
誰かに責任を負わせるのは簡単ですが、何の解決にも繋がりません。
また、すべての責任を中間管理職に負わせる形では、誰も職場の活性化を積極的に行おうとはしなくなるでしょう。
歴史ある会社ほど、職場の活性化には時間をかけて取り組むことが重要です。
部署ごとに競争させない
職場の活性化は一朝一夕で終わらないのと同様に、「これが正解」というものもありません。
一見すると従業員が黙々と仕事をしているような職場でも、しっかりと意思疎通ができていれば職場は活性化しています。
反対に、昼休みは賑やかに喋り合っていて飲み会も頻繁に行っていても必要な報告や連絡が行われていなければ活性化しているとはいえません。
また、営業や企画といった部署と経理や人事、総務といったバックオフィス業務でも活性化の方法は違います。
そのようなことを無視して職場同士で活性化の度合いを競わせるとうまくいきません。
活性化は競争ではないので、部署や会社のペースで行いましょう。
そのほうがうまくいきやすいです。
まとめ:職場の活性化は人材育成にも効果があり
職場の活性化は人材育成をはじめさまざまな効果が期待できます。
特に優秀な社員を自分の力で成長させる効果は大きいでしょう。
また、職場が活性化すればコミュニケーションも活発になり、問題が発生しても小さいうちに対処できます。
「我が社はどうも離職率が高い」「人材育成がうまくいかない」と悩んでいる場合は、まず職場の活性化を試みてみましょう。
時間をかけて行えば、少しずつでも変化が出てきます。
すべての従業員が自由に意見を言えるようになれば、職場の雰囲気も変わるかもしれません。
特に、マネージャーがメンバーの意見に耳を傾けることで、活発な意見交換がしやすくなるでしょう。