仕事の目標設定による効果
仕事における目標設定は、さまざまな効果が期待できます。
そして個人の目標達成は、組織の目標達成や生産性向上にもつながるため、重要と考えられます。
仕事の目標設定をする理由は、個人のゴールを明確にして効率的に仕事を進めることが重要な目的です。
目標設定による効果を理解すると同時に「今の自分には何が足りないのか」といった点にも注目しながら考察していきましょう。
モチベーションの向上
自分で目標を立てると、与えられた目標を立てずに仕事をこなすときと比べて、モチベーションの向上が期待できます。
理由は、自分の決めた目標に対して能動的に取り組むことで、仕事に対するやりがいをより感じられるからです。
また、自分で立てた目標が達成できると、達成感も強く感じられるのです。
自分で設定した目標が達成できたときの成功体験は、今後の仕事に対するモチベーション向上に重要な鍵だといっても過言ではないでしょう。
作業効率アップ
何を・いつまでに・どうするのかといった個人の具体的な目標が設定できると、より具体的な行動のイメージがしやすくなり、作業効率がアップします。
具体的な目標設定は、不必要な行動の省略や効率的な作業方法の設定が可能です。
目標設定を行わずに仕事に取り掛かるのは、一見すると時間短縮にも感じられます。
しかし目指す場所がわからず、闇雲な行動や非合理的な思考につながるため、結果的に何も達成できない状態になってしまうのです。
作業全体の効率がアップするため、多少の時間を割いても仕事の目標設定は必要なのです。
自律性の促進
達成したい明確な目標ができると、自身が自律的に行動をおこしやすくなります。
目標を設定していなかったり、目標の設定が曖昧だったりすると、ゴールへの道筋がはっきりしないのです。
そうすると行動に計画性がなくなってしまったり、本来は自分で解決しなければならないことでも他力本願になってしまったりといった問題も少なからず予測できます。
自分で仕事の目標設定をすると、仕事に対する責任感と健全なプレッシャーがかかります。
すると時間の有効活用方法を考える習慣や、仕事の優先順位を付ける習慣が自然と身に付くのです。
目標への道筋が明確になると、自分の立ち位置が把握でき計画的に行動できるので、自律性へつながります。
組織全体の生産性向上
個人が目標を設定し達成していくことは、組織の生産性向上に大きく関係します。
なぜなら、仕事における個人の目標設定は、組織の生産性向上にも必要である仕事に対するモチベーション向上・作業効率の向上・自律性の向上といった、効果が期待できるからです。
個人の生産性の向上は、組織における生産性向上へもつながっています。
個人が期日や行動の目標を設けることで、自身の非効率的な作業の仕方や、容量の悪い部分に気づくタイミングができます。
そして、スキルアップを図ったり、効率的な方法を模索し、自身の目標達成のために個人の生産性を向上させていきましょう。
仕事における目標の基本構成
目標を設定するにあたって、目標の基本構成をあらかじめ理解しておきましょう。
目標設定が正しく行えていないと、目標達成やモチベーションの維持が難しくなってしまう可能性があるからです。
目標の基本構成は次のとおりです。
- 目標
- 期日
- 行動
- 評価
目標内容と、期日の決め方やルールを理解して、効果的な目標設定を実施しましょう。
目標
目標の設定は、目標の基本構成において基盤となる重要な項目です。
次のステップをイメージしやすくするためにも、目標設定はできるだけ具体的に設定しましょう。
例えば、「資料を作成する」という目標を「新入社員がわかりやすい資料を1週間で作成する」といった設定にすることで、目標を達成しやすくなります。
次に、目標の設定は自分自身で決めましょう。
なぜなら、自分以外の人に決められた目標は、モチベーションの維持が比較的難しくなってしまうからです。
会社や組織の目標など自分が設定していない目標設定に対しては、自分の目標と組織の目標を紐ずけた目標設定を行いましょう。
すると、自身が組織の一員であるというチーム意識が高まると共に、目標に対するモチベーションの維持がしやすくなります。
期日
目標設定における期日は、目標を達成するまでの期日を指します。
期日設定は短期的な設定をおすすめします。
長期的な期日設定では、モチベーションの維持が比較的困難なため、効果的な期日設定とは言い切れないからです。
目標に見合った適切な期日設定は、自身が目標に対して限られた時間の中で効率的な方法を考えるきっかけにもなるのです。
そして、具体的な行動計画が立てやすくなります。
行動
目標達成にむけた行動計画は、できるだけ具体的に行います。
ツールは何を使用するのか、課題へのアプローチ方法といった具体的なアクションプランを自身に落とし込むことで、業務がより進めやすくなります。
また、目標達成へ向けて進捗状況が一定であると同時に一目で理解できるようにしておきましょう。
そして、マネージャーが定期的なフィードバックを返しやすい行動計画の資料作成も重要です。
評価
目標を設定する際には、事前に評価方法や、評価基準を確認しておきましょう。
また評価者は、目標設定に対する評価をする際に目標に対する結果だけを評価するのではなく、行動目標に対する行動の評価にも注目しましょう。
目標に対する評価基準が明確に設定されていると、自分には「何が余分で、何が不足しているのか」「何がよかったのか」といったマネージャーからのフィードバックを受けやすくなります。
また、マネージャーのような評価者と面談などを実施して評価基準や評価方法の擦り合わせを行うことで、評価に対する納得感が得られるのです。
目標設定の種類
目標の設定には、2つの種類があります。
はじめに、自身の仕事に対するスタイルやプロセスである定性目標を設定したうえで、具体的な数値目標を掲げる「定量目標」を設定しましょう。
定性目標設定
定性目標とは、自分の役割を理解したうえで立てる組織の状態の変化に対する目標です。
例えば、”向上心をもって取り組む”、”積極的に提案する”といった目標です。
定性目標は結果だけではなく、自身の仕事に対する取り組み方や、努力も評価してもらえます。
しかし、比較的私情が入りやすい傾向にあります。
評価者は、複数人で評価をするなどをして客観性に欠けないように対策をしましょう。
そして定性目標の目的は組織の状態の変化に対する目標のため、定性目標を立てる際には、職場や部署と方向性を合わせるようにしましょう。
定量目標設定
定量目標は、具体的な数値を掲げる目標設定です。
例えば”作業時間を月10時間短縮する”のように具体的な数値目標を設定します。
定量目標の設定は、達成度を一目で把握できるので、今現在「どの程度目標を達成できているのか?」「あとどの程度で、目標が達成できそうか?」といった自身の進捗状況を把握しやすくなります。
また、比較的私情が入りにくく、評価者は客観的に公正な評価ができることも特徴です。
しかし、適切な数値管理ができていないと、正当な評価を受けることが難しくなってしまうため、注意しましょう。
目標設定のコツ
ここでは目標設定のコツを紹介します。
目標設定のために必要なコツを意識すると、目標の達成へと一気に近づけられます。
目標を設定する際に役立つ知識なので、積極的に取り入れていきましょう。
SMART法則を意識する
- Specific (具体的であるか)
- Measurable (数値で表しているか)
- Achievable (実現可能か)
- Relevant (関連性はあるか)
- Time-bound (期限は明確か)
上記5つの項目の頭文字を取ってSMART法則といいます。
闇雲に目標を設定するのではなく、SMART法則を意識して目標設定を行うと、自身に合った実現可能な目標設定を行えるのです。
例えば、”できるだけ多く生産する”という目標設定よりも”今月は、先月の生産率よりも10%多く生産する”といったような目標を設定しましょう。
目標の数値や期日が明確だと、評価者が評価しやすいだけでなく、目標達成に向けた細かいプロセスを自身が把握できるメリットがあります。
組織の目標確認
会社や部署・チームといった組織の目標確認をしましょう。
組織の目標確認は、組織が目指す全体像の自身の立ち位置を把握できます。
自身の目標設定と、組織の目標設定との関係値があまりにも低いと、見当違いな行動をしてしまう可能性もあるので、組織の目標確認は必須といえるでしょう。
逆算する
目標設定における逆算は効果的な方法の1つです。
- やりたいこと 挑戦したいこと・興味のあること
- できること 得意なこと・他者よりも優れているところ
- しなければならないこと 会社などから求められていること
上記3つを擦り合わせながら目標設定を行うと、自身の成長につながる目標の設定が可能になります。
数年後の自分を想像しながら目標の設定をすると、漠然とした目標ではなく、歴然とした目標設定になるため、仕事に対するモチベーション向上も期待できるのです。
目標を思いつかない場合に考えられる理由
「そもそも、目標が思いつかない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
目標が思いつかないのには、2つの理由があります。
これから紹介する2つの理由を自身に当てはめながら「なぜ、目標が思いつかないのか」を考察してみましょう。
自分の役割が理解できていない
組織の中における自身の役割が理解できていない人は意外にも多いのではないでしょうか。
目標が思いつかない場合は、あらためて「自分は会社から何を期待されているのか」を今一度振り返ってみましょう。
また、どのような仕事でも目標を見つける糸口があります。
例えば、自分よりも作業が早い人や正確に作業をこなしてミスの少ない人が周りにいれば、目標としてもいいのかもしれません。
少しでも上を目指そうと考えると、比較的目標の設定がしやすくなる可能性があります。
そして、自身の仕事が「組織のどこに貢献しているのか?」「何につながっているのか?」を意識しましょう。
会社が自身に期待していることに対して自分への役割を理解を深めていくと、目標がより明確になります。
会社における自分の役割を理解したうえでもう一度自身の目標を考えてみましょう。
自分の立ち位置を理解できていない
自分がどこを目指しているのかが不明瞭だと、目標の設定が難しくなってしまう可能性があります。
例えば、どこかへ出かけたり旅行する際は、まずはじめに「ここからどこに行きたいか」を考えた後にルートや手段、日数を考える場合が多いでしょう。
よって、目標が思いつかない場合は、現在における自身のキャリアプランを整理してから自身の立ち位置を理解するといいでしょう。
そして”得意なこと”と”今後の課題”を洗い出し、自分がどこを目指しているのかを明確にすること、なりたい自分に近づくための目標設定ができるのです。
目標設定の失敗例
「目標に対するモチベーションの維持ができない」または、「目標設定をしたが、達成できない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
高すぎる目標設定や、自分で決めた目標設定ではない場合、目標の達成が困難になってしまう可能性が高くなってしまいます。
目標設定の失敗例を基になぜ目標達成できないのかを考察していきましょう。
目標の設定が高すぎる
志を高く持つのはよいことです。
しかし、達目標設定が高すぎると、目標の達成率が低くなってしまいます。
目標設定の失敗による自尊心やモチベーションの低下はできるだけ避けたいところです。
自分自身の力量や立ち位置を把握して、実現可能な目標設定を心がけましょう。
自分で決めた目標ではない
目標設定の失敗の原因に自分で決めた目標ではないことがあげられます。
自分以外の人が決めた目標は、自身が十分に納得できていない場合があり、モチベーションの維持が難しく努力の継続が困難になってしまうからです。
一方、自身で設定した目標は、具体的な期限や量に対して納得しているため継続した努力が可能になるのです。
与えられた仕事でも自分事だと考え、自身で目標を設定することが目標の達成においては重要といえます。
1on1ミーティングの活用で、より目標達成に近づける方法
1on1ミーティングの活用で、自身の目標達成に近づける可能性が高められることをご存知ですか。
マネージャーとメンバーの間で、ビジョンの共有や進捗状況の報告、マネージャーからフィードバックを受けるためなど1on1ミーティングが実施される理由はさまざまです。
また、1on1ミーティングは、人事面談とは違い、比較的短いサイクルで定期的に実施されるのも特徴の1つです。
1on1ミーティングを活用して、目標達成により近づけていきましょう。
1on1ミーティングでコミュニケーション不足を解消
1on1ミーティングを通してマネージャーとメンバーのコミュニケーションの機会を増やすと、目標の設定において3つの効果があります。
1つめは、メンバーは対話中の自身の発言によって新たな課題や新しい発見を見い出しやすくなるからです。
1on1ミーティングの実施によるマネージャーとメンバーの信頼関係の構築は、メンバーがマネージャーに対して仕事に対する悩みや、困りごとを相談しやすい環境をつくるために重要なのです。
2つめは、ヒトは自身の考えを言葉に発することで頭の中が整理しやすくなることです。
メンバーがマネージャーに話しを聞いてもらう中で自身の頭の中が整理され、課題を客観的に把握しやすくなります。
3つめは、マネージャーがメンバーの悩みを聞くことによって心理的安全性の確保ができるため、メンバーは能動的に行動を起こしやすくなり、新たな課題を見出せることです。
「失敗したらどうしよう」と行動を起こしづらい環境では、失敗から見いだせる新たな課題や、発見を見つけにくい状態になってしまいかねません。
ときには、失敗をして、課題にぶつかる経験が大切な場合もあるのです。
エンゲージメントと目標の達成率の関係
1on1ミーティングによるエンゲージメントの向上は、仕事における目標の達成率を上げる可能性があります。
理由は対話をする中でメンバーが、チームや組織のビジョンに対する理解と納得ができ、課題に対して意欲的に取り組めるからです。
また、1on1ミーティングを繰り返す中で適切なフィードバックが実施されると、メンバーのエンゲージメントが向上し、目標達成のサポートにもなるのです。
そして、仕事に対するエンゲージメントが向上すると、目標に対してポジティブな気持ちで取り組めるため、目標の達成率が上がる1つの要因と考えられます。
仕事において、エンゲージメント向上と目標の達成率の関係は密接にあるといえるでしょう。
正しく目標設定をして自身の成長や仕事の生産性向上につなげよう
仕事における目標設定のさまざまな方法やコツをご理解いただけましたでしょうか?
また、闇雲に目標設定をするのではなく、自身の置かれた状況や力量に考慮した目標設定の重要性も同時に理解いただけたのではないでしょうか。
自分で設定した目標が達成できると、自身の仕事に対するモチベーションやエンゲージメントの向上が見込めるため、仕事をするうえで目標設定は重要といえます。
目標の設定に対する悩みを抱えている方は、1on1ミーティングや、SMART法則を積極的に取り入れて実現可能な目標の設定をしてみましょう。
また、こちらの資料では、弊社ならではの1on1ミーティングのノウハウを紹介しています。
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