1on1ミーティングの目的
マネージャーとメンバーが、定期的に時間を決め面談をする1on1ミーティングの目的は、組織全体の生産性を高めることです。
そのため、メンバーには下記3つの目的があります。
メンバーの業務遂行効率を高める
1on1ミーティングの実施によって、メンバーの業務の遂行効率が高められます。
メンバーと定期的に面談しメンバーの特性を深く理解することで、チームや組織の状態を把握できます。
それにより、マネージャーはメンバーひとり1人に合った適切な業務の割り振りが可能になり、業務効率を高められるでしょう。
メンバーの成長を促す
1on1ミーティングの実施により、メンバーの成長を促します。
なぜなら、1on1ミーティングで普段感じている業務への不満や悩み・キャリアアップの相談、またプライベートの話題などをメンバーが主体で行うためです。
メンバーが話したいテーマをマネージャーと解決に向けて話すため、主体性が大切になります。
このように、1on1ミーティングではメンバーが自ら話題を展開するため、能動的に動く人材育成にも効果的なのです。
信頼関係を構築する
1on1ミーティングを定期的に実施することで、マネージャーとメンバーの信頼関係が生まれます。
従来の面談は、メンバーの評価が目的のためメンバーは緊張しがちです。
しかし1on1ミーティングでは、業務以外にもプライベートや趣味など、さまざまな話題をざっくばらんに話すため、自然と距離が縮まるでしょう。
また、業務や仕事上の課題に対して一緒に解決へ取り組むことで、信頼関係が構築されメンバーのモチベーションの向上も期待できます。
部下側が1on1ミーティングを苦手と感じる要因
メンバーが1on1ミーティングに対して苦手意識を持つ理由は以下の3つがあげられます。
- マネージャーの圧を感じ本音を話しにくい
- マネージャーが一方的に話してしまう
- 1on1の目的がわからず意味がないと感じる
マネージャーにはメンバーにプレッシャーをかけているつもりはなくても、マネージャーの存在自体が強者と感じているメンバーも少なくありません。
そのためメンバーはマネージャーとの対話で緊張し、本音を言いづらくなるのです。
またマネージャーが一方的に話す1on1ミーティングは、メンバーに負荷がかかりやすくなります。
一方的に話されるとメンバーは対応に困るでしょう。
本音を話せず、マネージャーが一方的に話す1on1ミーティングが続くと、メンバーは1on1ミーティングに意味がないと考えてしまいます。その結果メンバーは、1on1ミーティングに苦手意識を持ってしまう可能性があるのです。
1on1ミーティングに苦手意識を持つメンバーに対策として、次の内容を伝えると問題解決につながります。
1on1ミーティングで部下側にも共有しておきたい心構え
1on1ミーティングでは、メンバーにも何のための時間であるかを理解してもらうことにより、質が向上していきます。
メンバーと1on1ミーティングの心構えを共有して、共通認識を持って取り組めるようにしましょう。
1on1ミーティングはメンバーの成長のため
そもそも、1on1ミーティングは、メンバーの業務の遂行効率を高める目的で実施されます。
メンバー1人ひとりの業務効率が高まれば、チーム・会社全体の生産性やエンゲージメント向上につながります。
業務の遂行効率を上げるにはメンバーの成長が不可欠です。
そのため1on1ミーティングはメンバーのための時間であることを共有して、マネージャーとメンバー間で共通認識を持てるようにしましょう。
またはじめは目的の共通認識があったのに、いつの間にか認識のズレが起こっていたなどの問題が起こると、1on1ミーティングの効果が薄くなる恐れがあります。
定期的に1on1ミーティングの目的を共有し、認識のズレを修正しましょう。
相談したいことを自由に話してもらう
1on1ミーティングの議題は、マネージャーではなくメンバーが決めるのが望ましいです。
メンバーを指導する立場であれば、マネージャーは「率先して自分がメンバーを引っ張っていかなければ」と考えるでしょう。
メンバー側も、相手がマネージャーであれば緊張してしまい、自分らしくコミュニケーションが取れないことが多いです。
マネージャーに対して心を開くには勇気がいるものです。
しかし、勇気を出すことでメンバーをとりまく状況がよくなるかもしれません。
状況がよくなる可能性があることを、メンバーにも理解してもらうといいでしょう。
部下に自己開示してもらう
マネージャーは、メンバーが自分に対して何かしら心の壁を作っていることを自覚しておくといいでしょう。
マネージャーとメンバーといった立場上、2人で面談となれば、リラックスできないメンバーがいるのは当然のことです。
一般的には、プライベートの話や雑談をすることが相互理解をするために重要とされていますが、無理に話してもらう必要はありません。
そのときに必要であれば、マネージャーが話すきっかけを作っていきましょう。
話すことの重要性をわかってもらう
1on1ミーティングでは、メンバーに話してもらう内容がポイントになります。
マネージャーがコミュニケーションの議題を用意してしまうと、メンバーに考える機会が与えられません。
メンバーが「何も考えなくていい」と思われないために、話すことの重要性を理解してもらい、主体的に参加してもらうようにするといいです。
追い詰めたいわけではないことを理解してもらう
多くのマネージャーは、メンバーにプレッシャーをかけたいわけではないでしょう。
しかし、マネージャーがどれだけ優しい気持ちでメンバーを見ていても、相手に伝わらないこともあります。
1on1ミーティングで話した内容の影響で働きづらくなってしまう懸念があると、メンバーは本音を話せなくなります。
1on1ミーティングでは、メンバーの緊張がほぐれるように、決して追い詰めたいわけではないと事前に伝えましょう。
また、上記の内容に加えて、こちらの資料ではメンバーが主体的に話せるトピックの順番を紹介しています。
無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
「【1on1入門】知っておきたいマネジメント・仕事スタイル 〜Vol.3 メンバーが1on1に主体的になるために〜」
1on1ミーティングの前に部下側で準備してもらうもの
1on1ミーティングはマネージャーだけでなくメンバーにも準備してもらうことがあります。
トークテーマや振り返りなどをメンバーに自ら準備してもらうことで、メンバーの主体性を促せるからです。
トークテーマを考えてもらう
1on1ミーティングでは、マネージャーではなくメンバーにトークテーマを考えてもらうことがポイントです。
仕事で抱えている課題があれば、メンバーに話してもらうといいでしょう。
1on1ミーティングにおけるトークテーマの例
1on1ミーティングでは、以下のように将来のことに目を向けてもらいます。
- 今後のキャリアについて
- 自分がどう成長していきたいか
- 挑戦したいことはないか
例として、五年後の自分をどう描いているか、これから挑戦してみたい業務はあるかと聞いてみるといいでしょう。
そして、メンバーの将来像を理解して、目的を達成するための取り組みについて話し合います。
目的を達成する方法について話し合うことで、メンバーの成長に対するモチベーション向上につながっていきます。
上記の3点について、メンバーのにまとめておいてもらうと、1on1ミーティングが順調に進んでいくでしょう。
職場環境について考えていること
上記の3点以外にも、メンバーが働くうえで問題がないか職場環境について考えていることを話してもらいます。
例えば、残業が適切か、無駄な業務だと感じていることやチームに感じることなどです。
こちらのテーマは、他のメンバーの前では伝えにくい本音で話すことが多く、相互の信頼関係は必須なため、はじめは難しいかもしれません。
しかし、チームの職場環境の改善に効果的な意見が多いため、ミーティングを重ねるにつれテーマに入れてもらいましょう。
メンバーの仕事についての悩み
メンバーが、現状の仕事について課題と感じていることや悩みを話してもらいます。
業務でサポートしてほしいことや、苦手だと感じていることなど、こちらも本音で普段思っていることを吐き出してもらいましょう。
1on1ミーティングは、メンバーが話してよかったと思ってもらうことが大前提です。
マネージャーだけでは解決できない問題もあるかもしれませんが、メンバーが1人で問題を抱えている場合、話すだけでもストレスを軽減できます。
マネージャーは、決して否定せず寄り添いながら傾聴し、メンバー中心に話をしてもらい共感しましょう。
またメンバーの話を引き出し、1on1ミーティングを成功に導く質問について、次の記事でくわしく解説しています。気になる方はご覧ください。
『1on1ミーティングを成功させる質問とは?うまくいかない例と流れもご紹介』
振り返った内容を書き出してもらう
1on1ミーティングでは、現状の課題を確認することと、行動を振り返ることがポイントです。
目標までの距離を正しく理解するためには、現在地を理解することが欠かせません。
現状が目標からどれくらい離れているかを常に意識することで、今すべきことが見えてくるためです。
そのためメンバーに前回の1on1ミーティングで設定したアクションプランに対して、振り返った内容を書き出してもらいましょう。
次回に活かすためには、直近のできごとだけ書き出すのではなく、週から月単位で取り組んだ内容を書き出せるといいです。
常に現状と目標のギャップを意識することが、目標の達成につながっていきます。
マネージャーが1on1ミーティングで準備すること
1on1ミーティングの実施前は、メンバーだけでなくマネージャーも準備が必要です。
まずは、時間を有効的なものにするために、前もってメンバーと1on1ミーティングの目的や意図を共有します。
そのうえで、マネージャーが必要な準備をご紹介します。
進め方を決める
テーマはメンバーが決め、メンバー主体で進めてもらいます。
しかし、はじめからメンバーに丸投げしては、慣れていないメンバーは沈黙の時間が生まれるかもしれません。
そのため、メンバーをすぐにフォローできるように、マネージャーは進め方をあらかじめ決めておくとスムーズに進められます。
例)1on1ミーティングの進め方
- アイスブレイク
- 1on1ミーティングシートの確認する
- メンバーのテーマについて話す
- ネクストアクションを決める
毎回、上記の通りに進める必要はありません。
しかし、マネージャーとメンバーの関係がまだ浅い場合は、流れに沿って実施すると1on1ミーティングの型ができあがるでしょう。
マネージャーも話すことを用意しておく
1on1ミーティングはメンバーの内省の場でもあるため、基本的にテーマはメンバー主体に決めてもらうことで効果的なミーティングになります。
しかし、はじめからメンバーがテーマを準備するのが難しい場合もあるため、マネージャーも当日話すことを用意しましょう。
細かい質問などは必要ありませんが、メンバーが話しにくいときやテーマに詰まったときにフォローできる範囲です。
例えば、「前回のミーティング実施から、どうでしたか?」「最近、困っていることはないですか?」などです。
メンバーの話を引き出すような、オープンクエスチョンを用意するとよいでしょう。
メンバーが話しやすい雰囲気作り
メンバーは、マネージャーと1対1で面談するだけで緊張し、話したいことが言えない場合があります。
また、メンバーが話したくないと思っている場合や、マネージャーが一方的に話して終わるミーティングも成功とは言えません。
どのようなテーマに対しても、まずは傾聴し共感を心掛け、メンバーに「マネージャーにもっと話を聞いてほしい」と思われる雰囲気を作りましょう。
マネージャーも自己開示する
チーム結成をしてまもない場合や配属されてすぐなど、メンバーとの信頼関係がまだ浅いと、メンバーは自分の話をあまりしたがらないでしょう。
その場合は、マネージャーからの自己開示が有効です。
マネージャーの過去の失敗話やプライベートの話など、共感できて笑える話などがあれば、アイスブレイクになります。
特に1on1ミーティングを導入してすぐは、お互い慣れておらず話が進まないかもしれません。
その場合は、事前に準備したテーマやアジェンダは一旦置いておき、フランクにリラックスして話すよう注力してもよいでしょう。
聞き役に徹する
繰り返しになりますがメンバーの話を聞く際は、傾聴を心がけます。
話を途中でさえぎったり、否定したり、一方的にアドバイスしては、メンバーは話しても意味ないと思われる恐れがあります。
メンバーがどのような考えや価値観なのか正しく理解するため、どのような話題にも興味を持ち聞き役に徹しましょう。
また、こちらの資料ではメンバーの現状の活性度を4つのタイプで紹介しています。
無料でダウンロードできますので、1on1ミーティングに臨む前にぜひ一度ご覧になって、メンバーとのコミュニケーションの質を上げる一助としてください。
「【1on1入門】知っておきたいマネジメント・仕事スタイル 〜Vol.1 4つのタイプでメンバーを理解する〜」
実際の1on1ミーティングで部下側に促したい行動
1on1ミーティングの効果を高めるために、1on1ミーティングでメンバーに促したい行動を紹介します。
今から紹介する行動が見られたら、メンバーは1on1ミーティングを自分ごと化し主体的に取り組んでいると判断できます。
メンバーがマネージャーのことを信頼し、関係性が築けているかの指標としても活用可能です。
無理をしない範囲で自分のことを話す
1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーがお互いに歩み寄っていくことが重要です。
とはいえ、メンバーに無理をさせてまでプライベートの話を聞きだす必要はありません。
無理に聞き出そうとしてしまうと、1on1ミーティングが苦手な時間になってしまうでしょう。
お互いに歩み寄っていくことで、1on1ミーティングが成長につながる時間になります。
目的に合わせて会話のテーマを選ぶ
1on1ミーティングでメンバーに会話のテーマを選んでもらうときは、目的に合わせた内容にすることを意識してもらうことがポイントです。
毎回の1on1ミーティングで目的を決め、その目的に沿って進められれば、メンバーも成長できるでしょう。
メンバーがいつもテーマを決められるわけではないため、マネージャーは「最近迷っているみたいだから、動機づけのアクションができるテーマにしよう」と考えておくことも大切です。
人間同士の対話であることを意識してもらう
マネージャーと対話する機会を与えられると、つい業務の進捗状況ばかり話してしまいがちになります。
しかし、1on1ミーティングを成功につなげていくには、メンバーの感情や考え方に注目していくことが必要です。
具体的には、普段通り仕事をしていただけでは決して言語化することがないような、メンバーの満足感や充実感などを聞いていくといいでしょう。
満足感や充実感にフォーカスすることで、メンバーには責任をもって仕事に取り組もうとする意識が芽生えていきます。
マネージャーに素直な意見を伝えてもらう
1on1ミーティングの効果を高めていくためには、メンバーが主体性を持って取り組む姿勢が必要です。
そのため、メンバーには、マネージャーに素直な意見を伝えてもらうようにしましょう。
1on1ミーティングを実施している会社によっては、アンケートを作成しています。
例えば、マネージャーとメンバーに対して異なる項目を設定したアンケートを実施して、次回の品質向上につなげていきます。
アンケートといっても、複雑な内容は必要ありません。
あまり複雑な内容にしてしまうと、回答するほうも負担がかかり、アンケートに答えることが目的になって、本来の狙いから遠ざかる可能性があります。
1on1ミーティングを実施したあとで、メンバーに回答してもらう内容は、以下の通りです。
- 1on1ミーティングを実施してよかったか
- マネージャーに伝えたい内容は話せたか
- 現在の悩みや課題の解決につながりそうか
- 今後の1on1ミーティングはどのように実施すればいいか
メンバーからもらった意見を確認しながら、どうすれば今後の1on1ミーティングがよくなっていくかを考えてみましょう。
まとめ|1on1ミーティングでは部下側の心構えを理解しよう
1on1ミーティングは、メンバーの成長をサポートするための時間です。
成長をサポートするためには、メンバーの主体性が必要な場面もあります。
メンバーが主体性を持って取り組み、必要に応じてマネージャーが適切なサポートします。
適切なサポートが受けられると、メンバーは1on1ミーティングをやってよかった、と思えるようになるはずです。
また、こちらの資料では、メンバーがより主体的になるためのノウハウを紹介しています。
無料でダウンロードできますので、ぜひご覧になってください。