部下側が1on1ミーティングを苦手と感じる要因
メンバーが1on1ミーティングに対して苦手意識を持つ理由は以下の3つがあげられます。
- マネージャーの圧を感じ本音を話せないから
- マネージャーが一方的に話すから
- 目的がわからず意味がないと感じるため
マネージャーにはメンバーにプレッシャーをかけているつもりはなくても、マネージャーの存在自体が強者と感じているメンバーも少なくありません。
そのためメンバーはマネージャーとの対話で緊張し、本音を言いづらくなるのです。
またマネージャーが一方的に話す1on1ミーティングは、メンバーに負荷がかかりやすくなります。
一方的に話されるとメンバーは対応に困るでしょう。
本音を話せず、マネージャーが一方的に話す1on1ミーティングが続くと、メンバーは1on1ミーティングに意味がないと考えてしまい、結果メンバーは1on1ミーティングに苦手意識を持ってしまう可能性があります。
1on1ミーティングに苦手意識を持つメンバーに対策として、次の内容を伝えると問題解決につながります。
1on1ミーティングで部下側にも共有しておきたい心構え
1on1ミーティングでは、メンバーにも何のための時間であるかを理解してもらうことにより、質が向上していきます。
メンバーと1on1ミーティングの心構えを共有して、共通認識を持って取り組めるようにしましょう。
1on1ミーティングはメンバーの業務の遂行効率を高めるためにある
そもそも、1on1ミーティングは、メンバーの業務の遂行効率を高める目的で実施されます。
メンバー一人ひとりの業務効率が高まれば、チーム・会社全体の生産性やエンゲージメント向上につながります。
業務の遂行効率を上げるにはメンバーの成長が不可欠です。
そのため1on1ミーティングはメンバーのための時間であることを共有して、マネージャーとメンバー間で共通認識を持てるようにしましょう。
またはじめは目的の共通認識があったのに、いつの間にか認識のズレが起こっていたなどの問題が起こると、1on1ミーティングの効果が薄くなる恐れがあります。
定期的に1on1ミーティングの目的を共有し、認識のズレを修正しましょう。
相談したいことを自由に話してもらう
1on1ミーティングの議題は、マネージャーではなくメンバーが決めるのが望ましいです。
メンバーを指導する立場であれば、マネージャーは「率先して自分がメンバーを引っ張っていかなければ」と考えるでしょう。
メンバー側も、相手がマネージャーであれば緊張してしまい、自分らしくコミュニケーションが取れないことが多いです。
マネージャーに対して心を開くには勇気がいるものです。
しかし、勇気を出すことでメンバーをとりまく状況がよくなるかもしれません。
状況がよくなる可能性があることを、メンバーにも理解してもらうといいでしょう。
部下に自己開示してもらう
マネージャーは、メンバーが自分に対して何かしら心の壁を作っていることを自覚しておくといいでしょう。
マネージャーとメンバーといった立場上、2人で面談となれば、リラックスできないメンバーがいるのは当然のことです。
一般的には、プライベートの話や雑談をすることが相互理解をするために重要とされていますが、無理に話してもらう必要はありません。
そのときに必要であれば、マネージャーが話すきっかけを作っていきましょう。
話すことの重要性を分かってもらう
1on1ミーティングでは、メンバーに話してもらう内容がポイントになります。
マネージャーがコミュニケーションの議題を用意してしまうと、メンバーに考えられる機会が与えられません。
メンバーが「何も考えなくていい」と思われないために、話すことの重要性を理解してもらい、主体的に参加してもらうようにするといいです。
追い詰めたいわけではないことを理解してもらう
多くのマネージャーは、メンバーにプレッシャーをかけたいわけではないでしょう。
しかし、マネージャーがどれだけ優しい気持ちでメンバーを見ていても、相手に伝わらないこともあります。
1on1ミーティングで話した内容の影響で働きづらくなってしまう懸念があると、メンバーは本音を話せなくなります。
1on1ミーティングでは、メンバーの緊張がほぐれるように、決して追い詰めたいわけではないと事前に伝えましょう。
1on1ミーティングの前に部下側で準備してもらうもの
1on1ミーティングはマネージャーだけでなくメンバーにも準備してもらうことがあります。
トークテーマや振り返りなどをメンバーに自ら準備してもらうことで、メンバーの主体性を促せるからです。
トークテーマを考えてもらう
1on1ミーティングでは、マネージャーではなくメンバーにトークテーマを考えてもらうことがポイントです。
仕事で抱えている課題があれば、メンバーに話してもらうといいでしょう。
1on1ミーティングにおけるトークテーマの例
1on1ミーティングでは、以下のように将来のことに目を向けてもらいます。
- 今後のキャリアについて
- 自分がどう成長していきたいか
- 挑戦したいことはないか
例として、五年後の自分をどう描いているか、これから挑戦してみたい業務はあるかと聞いてみるといいでしょう。
そして、メンバーの将来像を理解して、目的を達成するための取り組みについて話し合います。
目的を達成する方法について話し合うことで、メンバーの成長に対するモチベーション向上につながっていきます。
上記の3点について、メンバーのにまとめておいてもらうと、1on1ミーティングが順調に進んでいくでしょう。
振り返った内容を書き出してもらう
1on1ミーティングでは、現状の課題を確認することと、行動を振り返ることがポイントです。
目標までの距離を正しく理解するためには、現在地を理解することが欠かせません。
現状が目標からどれくらい離れているかを常に意識することで、今すべきことが見えてくるためです。
そのためメンバーに前回の1on1ミーティングで設定したアクションプランに対して、振り返った内容を書き出してもらいましょう。
次回に活かすためには、直近の出来事だけ書き出すのではなく、週から月単位で取り組んだ内容を書き出せるといいです。
常に現状と目標のギャップを意識することが、目標の達成につながっていきます。
実際の1on1ミーティングで部下側に促したい行動
1on1ミーティングの効果を高めるために、1on1ミーティングでメンバーに促したい行動を紹介します。
今から紹介する行動が見られたら、メンバーは1on1ミーティングを自分ごと化し主体的に取り組んでいると判断できます。
メンバーがマネージャーのことを信頼し、関係性が築けているかの指標としても活用可能です。
無理をしない範囲で自分のことを話す
1on1ミーティングは、マネージャーとメンバーがお互いに歩み寄っていくことが重要です。
とはいえ、メンバーに無理をさせてまでプライベートの話を聞きだす必要はありません。
無理に聞き出そうとしてしまうと、1on1ミーティングが苦手な時間になってしまうでしょう。
お互いに歩み寄っていくことで、1on1ミーティングが成長につながる時間になります。
目的に合わせて会話のテーマを選ぶ
1on1ミーティングでメンバーに会話のテーマを選んでもらうときは、目的に合わせた内容にすることを意識してもらうことがポイントです。
毎回の1on1ミーティングで目的を決め、その目的に沿って進められれば、メンバーも成長できるでしょう。
メンバーがいつもテーマを決められるわけではないため、マネージャーは「最近迷っているみたいだから、動機づけのアクションができるテーマにしよう」と考えておくことも大切です。
人間同士の対話であることを意識してもらう
マネージャーと対話する機会を与えられると、つい業務の進捗状況ばかり話してしまいがちになります。
しかし、1on1ミーティングを成功につなげていくには、メンバーの感情や考え方に注目していくことが必要です。
具体的には、普段通り仕事をしていただけでは決して言語化することがないような、メンバーの満足感や充実感などを聞いていくといいでしょう。
満足感や充実感にフォーカスすることで、メンバーには責任をもって仕事に取り組もうとする意識が芽生えていきます。
上司に素直な意見を伝えてもらう
1on1ミーティングの効果を高めていくためには、メンバーが主体性を持って取り組む姿勢が必要です。
そのため、メンバーには、マネージャーに素直な意見を伝えてもらうようにしましょう。
1on1ミーティングを実施している会社によっては、アンケートを作成しています。
たとえば、マネージャーとメンバーに対して異なる項目を設定したアンケートを実施して、次回の品質向上につなげていきます。
アンケートといっても、複雑な内容は必要ありません。
あまり複雑な内容にしてしまうと、回答するほうも負担がかかり、アンケートに答えることが目的になって、本来の狙いから遠ざかる可能性があります。
1on1ミーティングを実施したあとで、メンバーに回答してもらう内容は、以下の通りです。
- 1on1ミーティングを実施してよかったか
- マネージャーに伝えたい内容は話せたか
- 現在の悩みや課題の解決につながりそうか
- 今後の1on1ミーティングはどのように実施すればいいか
メンバーからもらった意見を確認しながら、どうすれば今後の1on1ミーティングがよくなっていくかを考えてみましょう。
まとめ|1on1ミーティングでは部下側の心構えを理解しよう
1on1ミーティングは、メンバーの成長をサポートするための時間です。
成長をサポートするためには、メンバーの主体性が必要な場面もあります。
メンバーが主体性を持って取り組み、必要に応じてマネージャーが適切なサポートします。
適切なサポートが受けられると、メンバーは1on1ミーティングをやってよかった、と思えるようになるはずです。